「それ…吸わないとだめですか…?」
「吸わないと…来世では幸せという日々送れない…だめだ…陽吸って…お願いだ…」
吸いたくない…
私は………
「忘れたくない………私は…海夜さんのこと…忘れたくないです!!」
「いや…だめだ…吸え…お願い…」
私は勝手に白い扉へ向かった
「陽!!!」
「あいて…!あいてよ!!」
私は扉をたたいた
次の瞬間海夜さんが後ろから腕を引っ張ってきた
「はなして…!!」
「陽!!!落ち着け!」
海夜さんの目は血走っている
「海夜さん!私…海夜さんのこと迎えに来ますから…」
「来なくていい…!だから吸うんだ…!」
「嫌だ…!忘れたくない…!お願い…」
気がつくと私は海夜さんに抱きついていた
「陽……」
「お願い…」
海夜さんは上を向いた
「わかった……じゃあ…絶対…絶対……俺のとこに戻ってこい。何百年でも何千年でも俺は待つから……」
ドアがゆっくりと開きはじめた
「海夜さん……絶対…来ます…」
ドアの少し奥にはお母さんが立っていた
「陽…ずっーと、待ってたよ…」
「お母さん…!」
お母さんだ…
お母さんだ…
お母さんと手をつなぎ、振り返らず階段を登った
9段目に足を乗っけたとき後ろから海夜さんの声がした
「陽…!」
私は振り返った
「陽……次会えたときは…伝えるから…!」
私は微笑んで10段目に足を乗せた
扉が閉まる音がきこえた瞬間、寂しさが押し寄せてきた
その後も白い階段を登り、天国と呼ばれる場所に着いた

