「死神さん、」
「ってか海夜って呼べば?」
海夜…
そういえばこの死神さんの名前は海夜だった
「海夜……さん?」
「そうそう」
「由来ってなんなんですか?名前の」
「海の夜。わかんないな。透明な夜もいるし、明るい夜もいる」
そのとき私のスマホが鳴った
「ごめんなさい、」
電話は幼馴染の晃太からだった
「もしもし?どうしたの?」
「陽〜今何してた?」
「えー、今…?」
(死神と話してるなんて絶対言えない)
私は死神をちらっと見たら不思議そうな顔をしていた
「あー、ごめん今忙しくて。後で折り返すね」
「そうか。またなー」
電話は切れた
「誰だ」
「あーえっと…言っちゃうと、元カレ!ちょっと前まで付き合ってて…まぁ私は好きじゃなかったんだけど…」
あまりにもペラペラと話しすぎたのか死神が困ってしまっている
「元カレ…あー、たしか元恋人という意味だったな?」
「海夜さんは恋人とかいたことないんですか?」
「俺のこと見える人がそもそもいないのにどうやって恋人作るんだよ。そもそも女の死神はいない」
死神は誰からも見えないということをいつも忘れる
私からは見えているからだ
「で、陽、ちょっと手を貸せ」
両手を出すと海夜さんが私の手に黒い闇を入れた
気持ち悪い感覚だ
「え…なにこれ」
「目閉じてろ」
「は、はい」
(うっわ…なんか変な感覚…何されてるんだ…これ)
「気分悪くないか?」
「大丈夫…です」
数分後にようやくその感覚が終わった
「目を開けろ」
私は目を開けた
とくに変わった様子はない
手もなにもなっていなかった
「何したんですか、?」
「一人でも黒闇のなかを行けるようにしたんだ」
「そんなことできるんですか…びっくり。後で教えてください!」
海夜さんは私を見つめている
「どうかしました…か?」
だんだんと海夜さんの手が私に近づいてくる
間もなくすると頬に手があたった
ひんやりと冷たい
「海夜…さ…ん?」
すとんと頬から手が落ち私の手に重なった
「陽…」
「は…い?」
心臓がいつもより早く動いている
何を言おうとしてるんだろうという気持ちでいっぱいだ
「陽、顔赤くないか?」
「え?」
そんなことなのかと思った
「具合でも悪いか?」
「はぁ、悪くないです」
「ならなぜ顔が赤いのだ?一度熱を測って…」
「あの!大丈夫ですよ!」
心の底から今苦しい
にしてもなんで私は顔が赤くなっているんだろう

