いつしか学校、そして校舎に到着。事前にクラス割りは知らされているので、それに従い三階の角部屋に向かう。角部屋…?表現合ってるのこれで?一番奥の部屋なら角部屋…だよね?
教室に入ると席の数のわりにそれなりに広く感じられた。正面には中学校の理科室みたいな四つに分かれているタイプのでかい黒板があり、座席は二席がくっついた木製の使い込まれたテーブルが三列×五行。左右に中央二つ、通路が広めに確保されているのか思ったより通りやすく空白感がすごい。これが広さの正体か。
そして着席。僕は教卓から見て右側、一番窓に近いの三行目の左側の席、窓際に座る。そして僕の右隣にルーシーが。僕はルーシーとは隣の席、というか同じクラスということに一番驚いている。確かに血の繋がりこそないけれど、兄弟姉妹は違うクラスに置かれるものではないのかな?とにかく二人で待っていると、四人五人と教室に人が入ってきて、二十分程で先生も参上。だいたい三十人、これでクラスが勢揃いだ。
そして時は来た…というより来てしまった。緊張と不安の止まらない自己紹介タイムだ。
「私はこのクラスの担任を受け持つことになったキリル・メルニチェンコ。まあ自分一人の力じゃどうしようもなくなったときとかはいつでも相談に来てくれていい。先生とはそのためにあるのだから」
先生が先陣を切ったら次は生徒の番だ。名前順に生徒が前に出て名乗っていく。
「我が名はアリス・シトロン」
「俺はガイア・イワノフ、"岩神"のガイアだ」
「氷魔法使い…ユーリ・タッカー」
「"ローゼンベルク"出身の…マリー・ローゼンベルク…です…」
順番は次々と流れていく。僕の順も徐々に迫ってくる。そのうちにルーシーのターンが回ってきた。
「わたくしの名前はルーシー・ゼブルですわ。趣味は紅茶を嗜むこと、特技は"なんでも"ですわ」
さすが生まれながらのお嬢様。こういう場には慣れっこなんだろう。すらすらと続けていくのは見事。でも"なんでも"、はなんかもうちょい言い方なかったんだろうか。ほら、もうちょっと貴族らしい高貴な言い方ってのがさ。
そうこう思っている間にさらに数人が終え、ついに僕の番だ。
深呼吸。深く息を吸って始めよう。まずは名前から――
「僕はサ…サーシャッ…デュアペルです!」
台本は読み込んだはずなのに…!現実は往々にしてうまくいかないものではあるけど、それがここで発動されてほしくはなかった。突然の大声に驚く者が半分、薄く笑う者が半分。そして呆れ顔のルーシーが一人。
周りの反応に少しずつ、僕の顔は熱く赤くなっていく。それこそ製鉄所の鉄板の如く。人生でこれほど顔を赤くする経験はあと三回もないだろう。一度は告白、もう一度は初めてのお酒。残りの一度はきっと…来年と再来年の自己紹介だ。じゃあやっぱ四回ぐらいはあるのかもしれない。
吃りに吃ってしどろもどろに脳内カンペを読み終え席に戻る。周囲の視線が痛い。かわいそうな人を見るような目はやめてくれ…ください。それとルーシー、そのゴミを見るような目はもっとご遠慮願いたい。
意外となんとかなるとはいうけど…ああ、僕の高校生活はどうなってしまうのやら。
教室に入ると席の数のわりにそれなりに広く感じられた。正面には中学校の理科室みたいな四つに分かれているタイプのでかい黒板があり、座席は二席がくっついた木製の使い込まれたテーブルが三列×五行。左右に中央二つ、通路が広めに確保されているのか思ったより通りやすく空白感がすごい。これが広さの正体か。
そして着席。僕は教卓から見て右側、一番窓に近いの三行目の左側の席、窓際に座る。そして僕の右隣にルーシーが。僕はルーシーとは隣の席、というか同じクラスということに一番驚いている。確かに血の繋がりこそないけれど、兄弟姉妹は違うクラスに置かれるものではないのかな?とにかく二人で待っていると、四人五人と教室に人が入ってきて、二十分程で先生も参上。だいたい三十人、これでクラスが勢揃いだ。
そして時は来た…というより来てしまった。緊張と不安の止まらない自己紹介タイムだ。
「私はこのクラスの担任を受け持つことになったキリル・メルニチェンコ。まあ自分一人の力じゃどうしようもなくなったときとかはいつでも相談に来てくれていい。先生とはそのためにあるのだから」
先生が先陣を切ったら次は生徒の番だ。名前順に生徒が前に出て名乗っていく。
「我が名はアリス・シトロン」
「俺はガイア・イワノフ、"岩神"のガイアだ」
「氷魔法使い…ユーリ・タッカー」
「"ローゼンベルク"出身の…マリー・ローゼンベルク…です…」
順番は次々と流れていく。僕の順も徐々に迫ってくる。そのうちにルーシーのターンが回ってきた。
「わたくしの名前はルーシー・ゼブルですわ。趣味は紅茶を嗜むこと、特技は"なんでも"ですわ」
さすが生まれながらのお嬢様。こういう場には慣れっこなんだろう。すらすらと続けていくのは見事。でも"なんでも"、はなんかもうちょい言い方なかったんだろうか。ほら、もうちょっと貴族らしい高貴な言い方ってのがさ。
そうこう思っている間にさらに数人が終え、ついに僕の番だ。
深呼吸。深く息を吸って始めよう。まずは名前から――
「僕はサ…サーシャッ…デュアペルです!」
台本は読み込んだはずなのに…!現実は往々にしてうまくいかないものではあるけど、それがここで発動されてほしくはなかった。突然の大声に驚く者が半分、薄く笑う者が半分。そして呆れ顔のルーシーが一人。
周りの反応に少しずつ、僕の顔は熱く赤くなっていく。それこそ製鉄所の鉄板の如く。人生でこれほど顔を赤くする経験はあと三回もないだろう。一度は告白、もう一度は初めてのお酒。残りの一度はきっと…来年と再来年の自己紹介だ。じゃあやっぱ四回ぐらいはあるのかもしれない。
吃りに吃ってしどろもどろに脳内カンペを読み終え席に戻る。周囲の視線が痛い。かわいそうな人を見るような目はやめてくれ…ください。それとルーシー、そのゴミを見るような目はもっとご遠慮願いたい。
意外となんとかなるとはいうけど…ああ、僕の高校生活はどうなってしまうのやら。
