翌日の放課後、キリル先生のアドバイス通り図書館に来てみた。昼休みに訪ねてもどうやら閉まってたみたいで、いつもなら空いてるはずなのに珍しいとか。
しかし見つけるのにかなり苦労したよ。こないだの校舎探検では見つからなかった。教室よりひとつ上の四階は二つのエリアに分かれていて、校舎の対角線に沿って分断されている。視聴覚室はこことは別のエリアにあったみたいだね。
重たい木製のドアを開けて入ってみると、まだ誰もいない。明かりもついていない、棚がたくさんの広い部屋。分厚いカーテンが閉めきられているために廊下の光がかすかに射し込むだけの薄闇が広がっている。澄んで涼しい空気まで感じる。それなのにどこかから押し潰されるような気味の悪い閉塞感に浸っていると、
「ごめんねぇ、今日は営業日じゃないんだよぅ」
背後から突然気配と声が現れた。以前もガイアが後ろからひょこっと出てきてたけどあれとは質が違う。幽霊が無から現れ背中に触れたかのような感覚。この部屋には僕以外誰もいなかったはずなのに、存在というものそれ自体が増えたような気がした。
妙に延びたような発声も不安を誘う。
「あれ?その顔、もしかして新入生?」
なぜ顔でわかる。図書館に来ないとかで顔を見ない同学年という線もあるだろう。
「こんにちはぁ、私はルミナ・テネブラエだよぉ。君はどちら様かな?」
「はじめまして、一年生のサーシャ・デュアペルです」
ルミナ!キリル先生の言ってたルミナは彼女で間違いないんだろうか。
「一年生…さてはキリルちゃんの差し金だね?」
間違いないみたいだ。…キリルちゃんとは?仲良しだったのかな。
「キリルちゃんはねぇ、私の担任だったんだよぉ。このちょっと延びる感じの口調もキリルちゃんから感染っちゃったのかもねぇ」
にしては度合いが極端すぎる気も。まあやり投げな感じのやる気のない延び方のキリル先生、のんびりで「明日のことは明日考える」みたいなルミナの延び方では差別化はできてるみたいだけど。ちょっと待て、そもそもキリル先生いつからあの話し方になった。思えば自己紹介の時は普通の話し方だったと思うけど…
そういえば、ルミナは図書館では何をしてるんだろう。図書館と言えばルミナ、って感じで教えてもらったけど。
「うーんと…私はねぇ、ここで司書見習いをする代わりに自分の秘密を調べさせてもらってるんだよ」
「君にもなにか調べたいことがあるなら手伝うよ、特別サービスってもんだね」
あれ?どこか会話がおかしいような気がする。いや、言葉の応酬は成立してるしお互いの意思をお互いが理解してるはずだ。だけど何かが抜け落ちてるような。何が?
「ラリーパの郷土史とローゼンベルクの歴史について調べに来たんです。この間友達からテレストリアという名前を聞いたので」
"禁忌"についてはごまかす。暫定的でも関われば命を狙われるのだからなるべく隠し通した方がいいだろう。もう知ってしまった人(とキリル先生)はともかくとしてもね。それに元々ローゼンベルク家についても調べたかったんだ。嘘は言ってない。
「ふぅん、それだけじゃないんだよねぇ?」
「さしずめ本命は…"禁忌"っていったところかな?」
えっ?思考が読めるのか…?それとも僕は心理テストでもやらされてたのか?そもそもなぜ禁忌のことを知ってる?キリル先生から聞いたのか?疑問が絶えない中、答えが明かされるまではそう遠くなく、
「なんてね、勘だよ勘。他人の考えてることがわかる人なんてそうそういないよぉ」
異様な勘のよさとわかった。意外とマジックに種や仕掛けはないものか。
「そこで思考をやめちゃいけないよ」
え?
「それってどういう……」
「違和感がなかった?私との話」
確かにさっき違和感は覚えていた。でも結局その正体はわからずじまい。これに答えがあるのか?
「会話はキャッチボールっていうでしょ?さて、でも君は今本当にキャッチボールをしているのかな?これはトスバッティングだとは思わんかね?」
「トスバッティング…」
トスバッティング。ボールを近くからゆっくりふんわり投げてもらい、それを打つ野球の練習。一方、キャッチボールとはボールを取りやすいように投げ合うこと、会話においては相手に意図が伝わるように考えて言葉を発することだ。お互いに。
…そういうことか。対話と思っていたけどそれは最初の方だけで、実際はルミナが話しているだけだ。つまり、僕はテレパシー的に思考を伝えている…というよりは読み取られていたのか。
「"禁忌"について考えてたことも含め…なんらかの方法で心を読んでたんですよね?」
「正解だよぉ。それじゃその調子でもう一問いってみようかぁ」
「さて、じゃあどうやって私は君の心がわかってたのかな?ヒントはこのうすぐらーい部屋だよぉ」
ヒント曖昧すぎるだろ…!この部屋が暗いことと心が読めることになんの関係が。
「さすがに範囲広すぎたかな…じゃあ『いつもそばにいるのに今は見えないもの』がヒントだよぉ。これならどうだぁ!」
いつもそばにいる…ルーシーか?いや、だとしたらそれが日頃の僕の趣味嗜好を看破する材料になるとしても、今の僕の思考はわからないはずだ。服?たしかに全裸で出歩く人はそうそういないが、それは薄暗いというヒントには反する。なにより僕は脱いでないしね。
となるとなんだ。いつもはあるのに暗い部屋では見えないもの。見えない…存在自体はしてる?何かに隠れてる?
日が物に遮られた時、そこには影が生まれる。人間に遮られれば、無論人の形をした影が足元にいる。そういうことか。光のある場所なら足元には自分の影が這っている。この部屋は暗くて人の影も部屋の闇に溶け込んでしまう。だから見えない。つまり答えは、
「影に関連するなにかですよね?雑に言えば影に干渉することで色々できる、ってことですか」
「ご名答ぉ。影に訊けばいろいろわかるんだよぉ。誕生日とか好きなものとかもね」
「それだけじゃないよぉ。さっきみたいに影からじゃじゃーん☆と出てこれるし、このぐらいの距離感だったらたぶん殺せるんじゃないかなぁ。影に触ったり溶け込んだりできるって言い方が正確だね」
推測もあってたみたいだ。この質問を試験と思うならば合格、ってことでいいのかな。…ヒントは心を読んで教えてくれたのに答えは僕の口から言わせるんだね。形式や雰囲気にこだわるのかな。
「うん、合格。それじゃ正解したご褒美に私の部屋に連れてってあげよう。図書館には"禁忌"の本は置いてないからねぇ。みんなには需要も興味もないみたいだからね…」
僕の答えを聞き喜び、セルフサービスで落ち込んだ彼女に手を取られ、影を掴まれ連いていく。彼女の部屋はそう遠くなく、貸借りカウンター裏にあるドアの向こう側、より高い本密度のある図書館の倉庫だった。
「ようこそマイホームへ。ここが私の住処だよぉ」
私の部屋って…文字通りの意味だったのか。教室二つ分ぐらい、というかかつてそのサイズの大教室だったのだろうスペースに、それぞれ人一人しか通れない隙間しかないぐらい本棚がぎっちり詰まっている。そして、本来なら黒板や教卓があるべきスペースには勉強机、(おそらく個人用だろう)漫画雑誌やラノベ単行本の山、そしてベッドが綺麗に掃除され置いてある。
「たくさんの本…ベッドもあるんですね」
「寝る前まで調べたい時もあるしここに住ませてもらってるんだよ。家賃は学費に含んでもらってるんだよねぇ」
遅刻しなそうで羨ましい。僕も空き教室かロッカーの住人になろうかな?
「好きなだけ読んでっていいよぉ。私も"禁忌"のやつ探してみるから、探して欲しいのがあったら声かけてねぇ」
さて、まずは1番左にある棚から探してみよう。ここには…漫画の雑誌ばっかじゃねぇか!!振り向いたら今度は別の会社の雑誌が。この行には辞書的なものも置いてないのか?
「あーっと、そこら辺はねぇ、30年前ぐらいから図書館で毎週買って公開してる週刊雑誌の置き場なんだよぉ。旬を過ぎて古くなったやつね。入口辺りに『今週のレヴィ』って書いたポップが置いてなかったかなぁ」
週刊レヴィテーション、略して週レヴィ。ルスラシアどころか世界中で知られる超人気漫画雑誌だ。なんならルスラシア原産ではなく、東洋のウグナピツという国のもの。あの海洋国家は世界に色々な文化を出しているのでルスラシアに限らず、世界中に大勢のファンがいるんだとか。僕がいつも読んでるのもだいたいはウグピナツの漫画で、意外とルスラシアの人が描いたやつは読んでない。
「ほら、雑誌の誌面と単行本掲載でセリフが微妙に変わっちゃったりするでしょ?ファン的には読みたいって人も多いだろうから保存してるんだぁ」
たしかに。言葉の間違いや作画ミスは単行本で修正されることが多い。それはネットミームになったり、ファンの間の伝説になったりするが、どのみちレアものには変わりない。"原典"を欲しがる人も多いだろう。逆に単行本に移す際にミスが出ることもあるが、それはまた別のおはなし。
「これ今度借りてもいいですか。」
「うん、もちろんいいよぉ。ただ図書館の蔵書とは扱いが違うから返す時には私に直接言ってねぇ」
棚全体を回って眺めてから一冊を手に取り、ルミナから借りるための許可をいただいた。帰ったら家の単行本と見比べてみよう。
「それはさておき、"禁忌"について知りたいならこれが見つかったよぉ。こっちにそれっぽいのたくさんあるみたいだから読んでみる?」
見つかってたのか。話しながらでも見つけたのか、それとも僕に色々見せたかっただけでもう場所は知ってたのか。とにかく行ってみよう。やっと真実に迫る時だ。
しかし見つけるのにかなり苦労したよ。こないだの校舎探検では見つからなかった。教室よりひとつ上の四階は二つのエリアに分かれていて、校舎の対角線に沿って分断されている。視聴覚室はこことは別のエリアにあったみたいだね。
重たい木製のドアを開けて入ってみると、まだ誰もいない。明かりもついていない、棚がたくさんの広い部屋。分厚いカーテンが閉めきられているために廊下の光がかすかに射し込むだけの薄闇が広がっている。澄んで涼しい空気まで感じる。それなのにどこかから押し潰されるような気味の悪い閉塞感に浸っていると、
「ごめんねぇ、今日は営業日じゃないんだよぅ」
背後から突然気配と声が現れた。以前もガイアが後ろからひょこっと出てきてたけどあれとは質が違う。幽霊が無から現れ背中に触れたかのような感覚。この部屋には僕以外誰もいなかったはずなのに、存在というものそれ自体が増えたような気がした。
妙に延びたような発声も不安を誘う。
「あれ?その顔、もしかして新入生?」
なぜ顔でわかる。図書館に来ないとかで顔を見ない同学年という線もあるだろう。
「こんにちはぁ、私はルミナ・テネブラエだよぉ。君はどちら様かな?」
「はじめまして、一年生のサーシャ・デュアペルです」
ルミナ!キリル先生の言ってたルミナは彼女で間違いないんだろうか。
「一年生…さてはキリルちゃんの差し金だね?」
間違いないみたいだ。…キリルちゃんとは?仲良しだったのかな。
「キリルちゃんはねぇ、私の担任だったんだよぉ。このちょっと延びる感じの口調もキリルちゃんから感染っちゃったのかもねぇ」
にしては度合いが極端すぎる気も。まあやり投げな感じのやる気のない延び方のキリル先生、のんびりで「明日のことは明日考える」みたいなルミナの延び方では差別化はできてるみたいだけど。ちょっと待て、そもそもキリル先生いつからあの話し方になった。思えば自己紹介の時は普通の話し方だったと思うけど…
そういえば、ルミナは図書館では何をしてるんだろう。図書館と言えばルミナ、って感じで教えてもらったけど。
「うーんと…私はねぇ、ここで司書見習いをする代わりに自分の秘密を調べさせてもらってるんだよ」
「君にもなにか調べたいことがあるなら手伝うよ、特別サービスってもんだね」
あれ?どこか会話がおかしいような気がする。いや、言葉の応酬は成立してるしお互いの意思をお互いが理解してるはずだ。だけど何かが抜け落ちてるような。何が?
「ラリーパの郷土史とローゼンベルクの歴史について調べに来たんです。この間友達からテレストリアという名前を聞いたので」
"禁忌"についてはごまかす。暫定的でも関われば命を狙われるのだからなるべく隠し通した方がいいだろう。もう知ってしまった人(とキリル先生)はともかくとしてもね。それに元々ローゼンベルク家についても調べたかったんだ。嘘は言ってない。
「ふぅん、それだけじゃないんだよねぇ?」
「さしずめ本命は…"禁忌"っていったところかな?」
えっ?思考が読めるのか…?それとも僕は心理テストでもやらされてたのか?そもそもなぜ禁忌のことを知ってる?キリル先生から聞いたのか?疑問が絶えない中、答えが明かされるまではそう遠くなく、
「なんてね、勘だよ勘。他人の考えてることがわかる人なんてそうそういないよぉ」
異様な勘のよさとわかった。意外とマジックに種や仕掛けはないものか。
「そこで思考をやめちゃいけないよ」
え?
「それってどういう……」
「違和感がなかった?私との話」
確かにさっき違和感は覚えていた。でも結局その正体はわからずじまい。これに答えがあるのか?
「会話はキャッチボールっていうでしょ?さて、でも君は今本当にキャッチボールをしているのかな?これはトスバッティングだとは思わんかね?」
「トスバッティング…」
トスバッティング。ボールを近くからゆっくりふんわり投げてもらい、それを打つ野球の練習。一方、キャッチボールとはボールを取りやすいように投げ合うこと、会話においては相手に意図が伝わるように考えて言葉を発することだ。お互いに。
…そういうことか。対話と思っていたけどそれは最初の方だけで、実際はルミナが話しているだけだ。つまり、僕はテレパシー的に思考を伝えている…というよりは読み取られていたのか。
「"禁忌"について考えてたことも含め…なんらかの方法で心を読んでたんですよね?」
「正解だよぉ。それじゃその調子でもう一問いってみようかぁ」
「さて、じゃあどうやって私は君の心がわかってたのかな?ヒントはこのうすぐらーい部屋だよぉ」
ヒント曖昧すぎるだろ…!この部屋が暗いことと心が読めることになんの関係が。
「さすがに範囲広すぎたかな…じゃあ『いつもそばにいるのに今は見えないもの』がヒントだよぉ。これならどうだぁ!」
いつもそばにいる…ルーシーか?いや、だとしたらそれが日頃の僕の趣味嗜好を看破する材料になるとしても、今の僕の思考はわからないはずだ。服?たしかに全裸で出歩く人はそうそういないが、それは薄暗いというヒントには反する。なにより僕は脱いでないしね。
となるとなんだ。いつもはあるのに暗い部屋では見えないもの。見えない…存在自体はしてる?何かに隠れてる?
日が物に遮られた時、そこには影が生まれる。人間に遮られれば、無論人の形をした影が足元にいる。そういうことか。光のある場所なら足元には自分の影が這っている。この部屋は暗くて人の影も部屋の闇に溶け込んでしまう。だから見えない。つまり答えは、
「影に関連するなにかですよね?雑に言えば影に干渉することで色々できる、ってことですか」
「ご名答ぉ。影に訊けばいろいろわかるんだよぉ。誕生日とか好きなものとかもね」
「それだけじゃないよぉ。さっきみたいに影からじゃじゃーん☆と出てこれるし、このぐらいの距離感だったらたぶん殺せるんじゃないかなぁ。影に触ったり溶け込んだりできるって言い方が正確だね」
推測もあってたみたいだ。この質問を試験と思うならば合格、ってことでいいのかな。…ヒントは心を読んで教えてくれたのに答えは僕の口から言わせるんだね。形式や雰囲気にこだわるのかな。
「うん、合格。それじゃ正解したご褒美に私の部屋に連れてってあげよう。図書館には"禁忌"の本は置いてないからねぇ。みんなには需要も興味もないみたいだからね…」
僕の答えを聞き喜び、セルフサービスで落ち込んだ彼女に手を取られ、影を掴まれ連いていく。彼女の部屋はそう遠くなく、貸借りカウンター裏にあるドアの向こう側、より高い本密度のある図書館の倉庫だった。
「ようこそマイホームへ。ここが私の住処だよぉ」
私の部屋って…文字通りの意味だったのか。教室二つ分ぐらい、というかかつてそのサイズの大教室だったのだろうスペースに、それぞれ人一人しか通れない隙間しかないぐらい本棚がぎっちり詰まっている。そして、本来なら黒板や教卓があるべきスペースには勉強机、(おそらく個人用だろう)漫画雑誌やラノベ単行本の山、そしてベッドが綺麗に掃除され置いてある。
「たくさんの本…ベッドもあるんですね」
「寝る前まで調べたい時もあるしここに住ませてもらってるんだよ。家賃は学費に含んでもらってるんだよねぇ」
遅刻しなそうで羨ましい。僕も空き教室かロッカーの住人になろうかな?
「好きなだけ読んでっていいよぉ。私も"禁忌"のやつ探してみるから、探して欲しいのがあったら声かけてねぇ」
さて、まずは1番左にある棚から探してみよう。ここには…漫画の雑誌ばっかじゃねぇか!!振り向いたら今度は別の会社の雑誌が。この行には辞書的なものも置いてないのか?
「あーっと、そこら辺はねぇ、30年前ぐらいから図書館で毎週買って公開してる週刊雑誌の置き場なんだよぉ。旬を過ぎて古くなったやつね。入口辺りに『今週のレヴィ』って書いたポップが置いてなかったかなぁ」
週刊レヴィテーション、略して週レヴィ。ルスラシアどころか世界中で知られる超人気漫画雑誌だ。なんならルスラシア原産ではなく、東洋のウグナピツという国のもの。あの海洋国家は世界に色々な文化を出しているのでルスラシアに限らず、世界中に大勢のファンがいるんだとか。僕がいつも読んでるのもだいたいはウグピナツの漫画で、意外とルスラシアの人が描いたやつは読んでない。
「ほら、雑誌の誌面と単行本掲載でセリフが微妙に変わっちゃったりするでしょ?ファン的には読みたいって人も多いだろうから保存してるんだぁ」
たしかに。言葉の間違いや作画ミスは単行本で修正されることが多い。それはネットミームになったり、ファンの間の伝説になったりするが、どのみちレアものには変わりない。"原典"を欲しがる人も多いだろう。逆に単行本に移す際にミスが出ることもあるが、それはまた別のおはなし。
「これ今度借りてもいいですか。」
「うん、もちろんいいよぉ。ただ図書館の蔵書とは扱いが違うから返す時には私に直接言ってねぇ」
棚全体を回って眺めてから一冊を手に取り、ルミナから借りるための許可をいただいた。帰ったら家の単行本と見比べてみよう。
「それはさておき、"禁忌"について知りたいならこれが見つかったよぉ。こっちにそれっぽいのたくさんあるみたいだから読んでみる?」
見つかってたのか。話しながらでも見つけたのか、それとも僕に色々見せたかっただけでもう場所は知ってたのか。とにかく行ってみよう。やっと真実に迫る時だ。
