私はね、教師になる前は人に夢を与える仕事に就いていたの。詳しい話は出来ないんだけど、私はみんなを裏切り、傷付けるようなことをした。

 それで一時期はすべてがダメになって、私のいたグループもバラバラになって、前に応援してくれた人たちも一斉に私のことを攻撃するようになって、毎日が地獄だった。

 いや、悪いのは私自身。どんなことがあっても、私はもう少しマシな手を打たないといけなかった。あの地獄を生み出したのは、他ならぬ私自身だった。

 それで、もう死んじゃおうかって思っていたあたりで、今の校長先生に声をかけられてね。勉強をやり直して、学校の先生でもやってみないかって言われたの。一度道を踏み外した君にしか見えない道があるって言われてね。

 それで何を血迷ったのか、私はまったく知らない教師への道へと進んだの。単に誰かを助けていないとおかしくなりそうだったのかもしれないね。

 時間はかかったけど、私は教員免許を取得した。だから、君が思っているよりも私は若くない。悲しいけれど。

 ……それはいいとして、一生懸命に誰かを助けるぞって思っていた矢先にあれを見たら、昔の悲しいことを思い出しちゃって……。もう大丈夫だって思っていたけど、トラウマってやっぱり残っているもんだね。

 でも、須藤君が来てくれたからもう大丈夫。「何があってもあなたを守る」なんて、本当は私の方こそ言わなきゃいけないセリフだったのにね。

 だからごめんね。もう大丈夫だから。君が私を必要としてくれているって知って、本当に心から嬉しかった。

 少し泣いたら、もうどうでもよくなっちゃった。

 須藤君、本当にありがとう。