「フェデリーコ、お前はなんと・・」
客間のソファーに、カルロ、マウラ、フェデリーコ、里桜が座り、里桜の後ろにはアナスタシア、リナ、ジルベールなどが侍っている。
「父上、私の話を聞いて下さい。ゼフェン・プリズマーティッシュ・クルウレンはこの渡り人に良いように操られているのです。きっと我が国も・・」
「止めなさい。」
「いいえ、止めません。父上はお調べになったのですか?渡り人が来て以来あの国は災難が続いているのです。王妃になってからは、レオナール陛下にも次々に不幸が起こっています。第一側妃の急死、第二側妃アリーチェの幽閉、第一王子の王籍降下、第一王女の死。それがすべて、この渡り人が来てからの数年で起こっているのです。これは無関係ではありません。この渡り人が何かを企んでいるのです。」
「止めろと言っている。」
今まで穏やかに話していたカルロの突然の大声は、里桜までも衝撃を受けた。
「お前は、自分がどれだけの失態を演じているか分からないのか?成人し、立太子したとは言えまだ子供だと私も王后も思い込んでお前には何の事情も話しはしなかった。それが、こんな結果になるとは。」
カルロは、里桜の方へ体を向けた。
「リオ王妃陛下。我が愚息の礼儀を欠いた態度を改めてお詫び申し上げます。」
「陛下、気になさらないで下さい。こちらは大丈夫です。」
里桜はカルロに向って笑いかける。
「私と王后は五人の子に恵まれました。側妃にも二人の子に恵まれましたが、全てが王女。そしてやっと八人目の子として側妃との間に生まれたのがフェデリーコでした。私も王后も側近たちも待望の王子を甘やかしすぎたようです。何の考えもなしにあのような社交の場で、なんとお詫びをすれば良いのか、お詫びの言葉もありません。」
「陛下。本当に私は大丈夫ですから。よろしければ、殿下へ私からご説明申し上げてよろしいでしょうか?」
里桜は向いに座るフェデリーコを真っ直ぐに見た。
「殿下が仰っていたことは、大筋としては、間違いがございません。」
それを聞いたフェデリーコはふんっと鼻を鳴らした。
「確かにプリズマーティッシュには私ととしこさんと言う二人が渡り人として召喚されました。彼女は救世主として活動していましたが、魔物が現れた際に命を落としました。しかし、彼女と陛下が婚約をしていた事実はございません。あの時にとしこさんが亡くなっていなくても、陛下は私を選んで下さったはずだと私は信じています。」
里桜は用意された紅茶を一口飲んで、
「次に、私が王妃になってから起った様々な出来事ですが…」
フェデリーコは、テーブルに身を乗り出すようにした。
「それについては調べました。王妃であるあなたを我が国から行った侍女が殺そうと企み、毒を盛った。それは知っています。しかし、アリーチェに、そしてその侍女に、あなたを殺す利点がない。アリーチェはもうその時既に第一王子を産んでいた。誇り高いレオーネ王の血を継いだ公爵令嬢で、誰よりも敬われるべき人物だ。あなたのように得体の知れない人間ではない。あなたが死んで彼女が得をすることなど、何もない。これは、あなたが起こした自作自演なのでは?本当はあなたがアリーチェを陥れたのではないのですか?」
客間のソファーに、カルロ、マウラ、フェデリーコ、里桜が座り、里桜の後ろにはアナスタシア、リナ、ジルベールなどが侍っている。
「父上、私の話を聞いて下さい。ゼフェン・プリズマーティッシュ・クルウレンはこの渡り人に良いように操られているのです。きっと我が国も・・」
「止めなさい。」
「いいえ、止めません。父上はお調べになったのですか?渡り人が来て以来あの国は災難が続いているのです。王妃になってからは、レオナール陛下にも次々に不幸が起こっています。第一側妃の急死、第二側妃アリーチェの幽閉、第一王子の王籍降下、第一王女の死。それがすべて、この渡り人が来てからの数年で起こっているのです。これは無関係ではありません。この渡り人が何かを企んでいるのです。」
「止めろと言っている。」
今まで穏やかに話していたカルロの突然の大声は、里桜までも衝撃を受けた。
「お前は、自分がどれだけの失態を演じているか分からないのか?成人し、立太子したとは言えまだ子供だと私も王后も思い込んでお前には何の事情も話しはしなかった。それが、こんな結果になるとは。」
カルロは、里桜の方へ体を向けた。
「リオ王妃陛下。我が愚息の礼儀を欠いた態度を改めてお詫び申し上げます。」
「陛下、気になさらないで下さい。こちらは大丈夫です。」
里桜はカルロに向って笑いかける。
「私と王后は五人の子に恵まれました。側妃にも二人の子に恵まれましたが、全てが王女。そしてやっと八人目の子として側妃との間に生まれたのがフェデリーコでした。私も王后も側近たちも待望の王子を甘やかしすぎたようです。何の考えもなしにあのような社交の場で、なんとお詫びをすれば良いのか、お詫びの言葉もありません。」
「陛下。本当に私は大丈夫ですから。よろしければ、殿下へ私からご説明申し上げてよろしいでしょうか?」
里桜は向いに座るフェデリーコを真っ直ぐに見た。
「殿下が仰っていたことは、大筋としては、間違いがございません。」
それを聞いたフェデリーコはふんっと鼻を鳴らした。
「確かにプリズマーティッシュには私ととしこさんと言う二人が渡り人として召喚されました。彼女は救世主として活動していましたが、魔物が現れた際に命を落としました。しかし、彼女と陛下が婚約をしていた事実はございません。あの時にとしこさんが亡くなっていなくても、陛下は私を選んで下さったはずだと私は信じています。」
里桜は用意された紅茶を一口飲んで、
「次に、私が王妃になってから起った様々な出来事ですが…」
フェデリーコは、テーブルに身を乗り出すようにした。
「それについては調べました。王妃であるあなたを我が国から行った侍女が殺そうと企み、毒を盛った。それは知っています。しかし、アリーチェに、そしてその侍女に、あなたを殺す利点がない。アリーチェはもうその時既に第一王子を産んでいた。誇り高いレオーネ王の血を継いだ公爵令嬢で、誰よりも敬われるべき人物だ。あなたのように得体の知れない人間ではない。あなたが死んで彼女が得をすることなど、何もない。これは、あなたが起こした自作自演なのでは?本当はあなたがアリーチェを陥れたのではないのですか?」

