「ならば、その手紙の内容をもう少し詳しく知りたいところね。」
「王妃陛下は、セシルの言う事を信じるおつもりですか?」
アルチュールは驚いたように言う。
「明日、自分が殺されるかも知れない局面で、こんな陳腐な作り話しはしないでしょう? “私はやっていません、犯人はあの人です” “その証拠は?” “燃やしてしまいました” って、誰かを貶める為にセシルが仕組んだことならば、お粗末過ぎるでしょう?」
「私も、嘘はなかったように思います。」
「私も。リオ様のように、ベルナルダ妃が全て仕組んだことと考えた方が、物事の辻褄は合う気がいたします。」
里桜の言葉に、アナスタシアとリナは同調する。
「ベルナルダが何故…。」
「陛下。それは陛下をお慕いしていたからだと思います。そこに嘘や偽りはなかったはずです。陛下。お願いです。セシルとお話しをさせて下さい。」
∴∵
里桜は騎士団の詰め所へ来た。
ジルベールが、扉を開けるとそこには、疲れ切った様子のセシルが座っていた。
彼女の自慢の艶めいていたブロンドは整えられることもなくボサボサで艶もなかった。
里桜はセシルの向かいの席に座り、その後ろにはリナ、アナスタシア、ジルベールが控えている。
「久し振りね、セシル。」
「王妃様…。私は、王妃様を殺めようなどと・・」
「その話しはもう良いの。私が聞きたいのは、あなたが燃やしてしまったという、ベルナルダ様からの手紙の事。」
里桜は後ろに控えるリナに合図をする。すると、リナはポットから水を注いでセシルの目の前に差し出した。しかし、セシルは手を付けようとしない。
里桜は、少し笑って、その水をジルベールに一口飲むように促した。
「そうね…あなたの心配は無理もない。この水には毒も魔術も込められてはいないから安心して。」
里桜が、再び差し出すと、セシルは勢いよくその水を飲んだ。
リナはもう一度水を注ぎ、セシルは再びそれを飲み干した。
「この暑い最中、喉も渇いたでしょう?少しは落ち着いた?」
セシルは、何度も頷いた。
「では、手紙の内容を話してちょうだい。」
「アナスタシア様にも言いましたが、その手紙には王妃様殺害を企んだのは自分だと書いてありました。マルタ様を唆し、王子様を唆し、陛下や王妃様を苦しめようとしたと。」
里桜は一つため息を吐いた。
「もう少し、細かく覚えている?手紙には生い立ちや、私を殺そうと考えるようになった経緯も書かれていたんでしょう?それが知りたいの。お水を飲みながら、ゆっくりで良いから。思い出せる範囲で出来るだけ細かく話してちょうだい。」
セシルは一つ頷くと、もう一度お水を半分ほど飲んだ。
∴∵
「リオは大丈夫だろうか。」
書いていた途中の書類から視線を上げて、クロヴィスに話しかける。
「もう、一度許可したんだから諦めろ。それに、リナ嬢にジルベールもいるし、アナスタシア嬢もいる。剣でも魔術でもこれ以上にない最強布陣だから大丈夫だよ。」
「それで、アルチュール。噂の方はどうだ?」
「はい。寮で拘束されたわりには、セシルが尋問を受けていることは王宮内で噂として広がっていません。巷では全くと言っていいほど、会話には上っていないようです。」
「そうか。」
「マルタが拘束された時とは大分違うな。」
「やはり、あの時もセシルかベルナルダが吹聴してたって事なんだろうな。」
「王妃陛下は、セシルの言う事を信じるおつもりですか?」
アルチュールは驚いたように言う。
「明日、自分が殺されるかも知れない局面で、こんな陳腐な作り話しはしないでしょう? “私はやっていません、犯人はあの人です” “その証拠は?” “燃やしてしまいました” って、誰かを貶める為にセシルが仕組んだことならば、お粗末過ぎるでしょう?」
「私も、嘘はなかったように思います。」
「私も。リオ様のように、ベルナルダ妃が全て仕組んだことと考えた方が、物事の辻褄は合う気がいたします。」
里桜の言葉に、アナスタシアとリナは同調する。
「ベルナルダが何故…。」
「陛下。それは陛下をお慕いしていたからだと思います。そこに嘘や偽りはなかったはずです。陛下。お願いです。セシルとお話しをさせて下さい。」
∴∵
里桜は騎士団の詰め所へ来た。
ジルベールが、扉を開けるとそこには、疲れ切った様子のセシルが座っていた。
彼女の自慢の艶めいていたブロンドは整えられることもなくボサボサで艶もなかった。
里桜はセシルの向かいの席に座り、その後ろにはリナ、アナスタシア、ジルベールが控えている。
「久し振りね、セシル。」
「王妃様…。私は、王妃様を殺めようなどと・・」
「その話しはもう良いの。私が聞きたいのは、あなたが燃やしてしまったという、ベルナルダ様からの手紙の事。」
里桜は後ろに控えるリナに合図をする。すると、リナはポットから水を注いでセシルの目の前に差し出した。しかし、セシルは手を付けようとしない。
里桜は、少し笑って、その水をジルベールに一口飲むように促した。
「そうね…あなたの心配は無理もない。この水には毒も魔術も込められてはいないから安心して。」
里桜が、再び差し出すと、セシルは勢いよくその水を飲んだ。
リナはもう一度水を注ぎ、セシルは再びそれを飲み干した。
「この暑い最中、喉も渇いたでしょう?少しは落ち着いた?」
セシルは、何度も頷いた。
「では、手紙の内容を話してちょうだい。」
「アナスタシア様にも言いましたが、その手紙には王妃様殺害を企んだのは自分だと書いてありました。マルタ様を唆し、王子様を唆し、陛下や王妃様を苦しめようとしたと。」
里桜は一つため息を吐いた。
「もう少し、細かく覚えている?手紙には生い立ちや、私を殺そうと考えるようになった経緯も書かれていたんでしょう?それが知りたいの。お水を飲みながら、ゆっくりで良いから。思い出せる範囲で出来るだけ細かく話してちょうだい。」
セシルは一つ頷くと、もう一度お水を半分ほど飲んだ。
∴∵
「リオは大丈夫だろうか。」
書いていた途中の書類から視線を上げて、クロヴィスに話しかける。
「もう、一度許可したんだから諦めろ。それに、リナ嬢にジルベールもいるし、アナスタシア嬢もいる。剣でも魔術でもこれ以上にない最強布陣だから大丈夫だよ。」
「それで、アルチュール。噂の方はどうだ?」
「はい。寮で拘束されたわりには、セシルが尋問を受けていることは王宮内で噂として広がっていません。巷では全くと言っていいほど、会話には上っていないようです。」
「そうか。」
「マルタが拘束された時とは大分違うな。」
「やはり、あの時もセシルかベルナルダが吹聴してたって事なんだろうな。」

