「ご懐妊でございます。」
「王妃様。おめでとうございます。」
便秘に始まり、最近では強い吐き気を感じるようになりさすがの里桜も、もしやと思って医者を呼んだ。
その日の夜、里桜はレオナールにその事を告げた。
「やはり。そうだったか。」
レオナールは嬉しそうに里桜の側に跪いた。
「陛下は分かっていらっしゃったのですか?」
「実は、しばらく前からリオの腹に光が見える様になった。前からリオは人の不調が目に見えると言っていただろう。虹の力を分けられてから、俺にもそれが分かる様になった。リオの食が細くなる前からリオの腹に今まで見たことのない光が見えるようになって、まさかと思っていたのだが。」
「自分自身のことは見えないので、分かりませんでした。だから、陛下は少し前から乗馬を暫く控えるようにとか、早く医者に診てもらうようにと言っていたのですか?」
「あぁ。しかし、良かった。今はどれほどなのだ?いつ産まれるのか?」
「つわりが始まったので妊娠初期だと。言われれば月の物も遅れていますし、おそらく三ヶ月くらいではないかと言っていました。産まれるのは、初夏になるようです。」
「そうか……。」
レオナールは、握っていた里桜の手を更に強く握った。
「リオに子が出来たと聞いて、こんなにも幸福を感じるとは。世界の全ての幸福を手に入れた気分だ。これからは今まで以上にリオを大切にし、守ることを約束する。だからリオも暫くは元気な子を産むことだけを考えてくれ。心労が一番良くないと聞くから、何かあれば必ず言えよ。」
「はい。陛下。」
∴∵
里桜は酷い吐き気に襲われる様になり、一日の大半を横になって過ごさざる得なくなった。
「そうか…そんなに酷いのか。うちの妻もつわりが酷く、殆どの食べ物を口に出来なかったが、子は元気に生まれた。心配だろうが、王妃陛下がそれで心を疲れさせる方が良くない様だ。お前も、心配だからと彼女の前であまりしかめっ面ばかりするなよ。」
「分かってはいるが、あんなに臥せってばかりのリオを見ると、可哀想で。色々試したが、冷やした果物やイルフロッタントならば口に出来る様で、リナやアニアが魔術で冷やしてから食べさせてくれている。」
「魔術をかけた食べ物を食べたらダメだろう。」
「それは大丈夫だ。スプーンや器を冷やして間接的に冷える様にしてくれているみたいだから。そのせいで食事はどちらかが付きっきりで食べさせているがな。医者からは子供に影響が出るといけないから魔術を使うなと言われた様で、自分で冷やすことが出来なくてな。」
「妊娠中には、胎児への影響も考えて、治療に魔術を使うことも忌避されているからな。通常の魔力でもそうなんだ。あれだけ規格外の魔力だと何が影響を与えるか誰にも分からないからな。用心に超したことはないだろう。」
レオナールは‘あぁ’と短い返事をした。
「王妃様。おめでとうございます。」
便秘に始まり、最近では強い吐き気を感じるようになりさすがの里桜も、もしやと思って医者を呼んだ。
その日の夜、里桜はレオナールにその事を告げた。
「やはり。そうだったか。」
レオナールは嬉しそうに里桜の側に跪いた。
「陛下は分かっていらっしゃったのですか?」
「実は、しばらく前からリオの腹に光が見える様になった。前からリオは人の不調が目に見えると言っていただろう。虹の力を分けられてから、俺にもそれが分かる様になった。リオの食が細くなる前からリオの腹に今まで見たことのない光が見えるようになって、まさかと思っていたのだが。」
「自分自身のことは見えないので、分かりませんでした。だから、陛下は少し前から乗馬を暫く控えるようにとか、早く医者に診てもらうようにと言っていたのですか?」
「あぁ。しかし、良かった。今はどれほどなのだ?いつ産まれるのか?」
「つわりが始まったので妊娠初期だと。言われれば月の物も遅れていますし、おそらく三ヶ月くらいではないかと言っていました。産まれるのは、初夏になるようです。」
「そうか……。」
レオナールは、握っていた里桜の手を更に強く握った。
「リオに子が出来たと聞いて、こんなにも幸福を感じるとは。世界の全ての幸福を手に入れた気分だ。これからは今まで以上にリオを大切にし、守ることを約束する。だからリオも暫くは元気な子を産むことだけを考えてくれ。心労が一番良くないと聞くから、何かあれば必ず言えよ。」
「はい。陛下。」
∴∵
里桜は酷い吐き気に襲われる様になり、一日の大半を横になって過ごさざる得なくなった。
「そうか…そんなに酷いのか。うちの妻もつわりが酷く、殆どの食べ物を口に出来なかったが、子は元気に生まれた。心配だろうが、王妃陛下がそれで心を疲れさせる方が良くない様だ。お前も、心配だからと彼女の前であまりしかめっ面ばかりするなよ。」
「分かってはいるが、あんなに臥せってばかりのリオを見ると、可哀想で。色々試したが、冷やした果物やイルフロッタントならば口に出来る様で、リナやアニアが魔術で冷やしてから食べさせてくれている。」
「魔術をかけた食べ物を食べたらダメだろう。」
「それは大丈夫だ。スプーンや器を冷やして間接的に冷える様にしてくれているみたいだから。そのせいで食事はどちらかが付きっきりで食べさせているがな。医者からは子供に影響が出るといけないから魔術を使うなと言われた様で、自分で冷やすことが出来なくてな。」
「妊娠中には、胎児への影響も考えて、治療に魔術を使うことも忌避されているからな。通常の魔力でもそうなんだ。あれだけ規格外の魔力だと何が影響を与えるか誰にも分からないからな。用心に超したことはないだろう。」
レオナールは‘あぁ’と短い返事をした。

