結婚式から三日目の朝、目覚めるとレオナールはまだ寝ていた。里桜はそっとレオナールの鼻筋を触った。すると、レオナールにその手は握られた。
「何だ?もっとちゃんと触ってもいいぞ。」
「まだ、朝目覚めて陛下がお側にいることが信じられないのです。触って実感しようと…」
レオナールは里桜を引っ張って抱きしめた。
「信じられないのは俺の方だ。リオは抱きしめても、抱きしめてもスルリと逃げてどこかへ行ってしまいそうな気がする。帰還術の時のトシコ嬢のように音もなくあっけなくな。あれは、自らにかけようとすればかけられるのだろう?」
「前にも言いましたが、としこさんは日本に体が完全な状態で残っているから出来たのですよ。私は日本では死んでしまっています。日本は亡骸を火で燃やしますから。私は骨しか残っていません。」
「燃やすのか?」
「はい。それが最も一般的だと思います。」
「だから、私は帰ることが出来ないんです。例え帰れてももう帰りませんけど。」
「帰れても、帰らないのか?」
「もう、こちらに大切なものが増えすぎました。陛下のせいで。」
里桜は笑う。
「婚約者がいたのだろう?大好きな。」
里桜は、苦笑いの様な、微妙な顔をする。
「確かに、結婚のための親への挨拶や、婚約の印のプレゼント、もらっていました…。」
「何だ?随分と歯切れの悪い言い方だな。」
「彼、浮気をしていたんです。」
「浮気?」
「…私以外にも夜を共にする人がいたんです。」
レオナールの表情が固まる。
「そう意味では、陛下と一緒ですね。んー。だから嫌だったのかも、しれません。どこに行っても自分は二番手に置かれている様な…。」
「何を。リオは二番などではなく、正妃だ。王妃で、この国一番の女だ。」
「わかっています。陛下。陛下とのことは、私なりにちゃんと折り合いを付けています。大丈夫ですよ。ただ、彼とのことは…知ったのは本当に偶然で。彼に問い詰めました。そしたら、必死で謝ってくれて、その彼女とは別れると。そして、私と結婚すると言って、親への挨拶や諸々をしたんですけど…彼と別れなかったのは今となっては付き合いが長すぎて、好きだと言う気持ちより執着だったのかもと思っています。」
レオナールは里桜を抱きしめたままで、仰向けの姿勢になった。そのせいで、里桜はレオナールに馬乗りの状態になってしまった。
「彼はそんな状況で相手が突然死んでしまったんです。心配になることはあります。だけど、もう私の一番は陛下です。心からお慕いしています。レオナール様。」
「何だ?もっとちゃんと触ってもいいぞ。」
「まだ、朝目覚めて陛下がお側にいることが信じられないのです。触って実感しようと…」
レオナールは里桜を引っ張って抱きしめた。
「信じられないのは俺の方だ。リオは抱きしめても、抱きしめてもスルリと逃げてどこかへ行ってしまいそうな気がする。帰還術の時のトシコ嬢のように音もなくあっけなくな。あれは、自らにかけようとすればかけられるのだろう?」
「前にも言いましたが、としこさんは日本に体が完全な状態で残っているから出来たのですよ。私は日本では死んでしまっています。日本は亡骸を火で燃やしますから。私は骨しか残っていません。」
「燃やすのか?」
「はい。それが最も一般的だと思います。」
「だから、私は帰ることが出来ないんです。例え帰れてももう帰りませんけど。」
「帰れても、帰らないのか?」
「もう、こちらに大切なものが増えすぎました。陛下のせいで。」
里桜は笑う。
「婚約者がいたのだろう?大好きな。」
里桜は、苦笑いの様な、微妙な顔をする。
「確かに、結婚のための親への挨拶や、婚約の印のプレゼント、もらっていました…。」
「何だ?随分と歯切れの悪い言い方だな。」
「彼、浮気をしていたんです。」
「浮気?」
「…私以外にも夜を共にする人がいたんです。」
レオナールの表情が固まる。
「そう意味では、陛下と一緒ですね。んー。だから嫌だったのかも、しれません。どこに行っても自分は二番手に置かれている様な…。」
「何を。リオは二番などではなく、正妃だ。王妃で、この国一番の女だ。」
「わかっています。陛下。陛下とのことは、私なりにちゃんと折り合いを付けています。大丈夫ですよ。ただ、彼とのことは…知ったのは本当に偶然で。彼に問い詰めました。そしたら、必死で謝ってくれて、その彼女とは別れると。そして、私と結婚すると言って、親への挨拶や諸々をしたんですけど…彼と別れなかったのは今となっては付き合いが長すぎて、好きだと言う気持ちより執着だったのかもと思っています。」
レオナールは里桜を抱きしめたままで、仰向けの姿勢になった。そのせいで、里桜はレオナールに馬乗りの状態になってしまった。
「彼はそんな状況で相手が突然死んでしまったんです。心配になることはあります。だけど、もう私の一番は陛下です。心からお慕いしています。レオナール様。」

