「ねぇ?なんでなにも言わないの?」

 わたしは目の前の人物に訴えた。

「今にも、あなた、死にそうでしょ?、、、ねぇ?」

 ナイフを首筋に当てても、なにも言葉を発しようとしない。
涙ながらにわたしは訴えているのに、なにも言わない。
これじゃあ、、、、、、

「これじゃあ、、、またあの時と一緒じゃない!」

 わたしはナイフを投げ捨てた。

─あの時?

「えぇ、、、。オモテの顔のあなたが、北條美加子っていう問題児に殺されかけた時(、、、、、、、)!」

 わたしは腹の底から声を出した。

「翔真くんに、あの時否定されたでしょ?お前、、、誰?って!、、、オモテのあなたは演じているだけの人で、ホントのあなたじゃないってことでしょ!ホントのあなたを見つけるために、わたし、、、ウラのわたしは生まれたのよ?」

 鏡の先にいる私をわたしは見つめた。
なにも答えようとしない、私に向かって訴えた。

「ホントのあなたを、、、早く見つけてよ!」

 心の底からの願いを叫ぶ。

「わたしはずっと願ってるのよ?、、、ホントの私を見つけられるように。ホントの私になりたいから。、、、いい加減早く見つけてよ!見つけてくれないからわたしは私をいじめ続けなきゃならないの!否定された私じゃない、、、ホントの私を、、、見つけてよ!そうじゃないと、、、私は翔真くんみたいになれないよ?」

 一度大きく息を吸い込んだ。

「ホントの私、、、探しています」

 でも、、、その私の悲しい叫びは、もう誰にも届かなかった。



                      ──了