いつからか、言えなくなっていた。
本音を隠して、感情を隠して生きるようになっていた。
私の本音は、誰かの迷惑になる。
私の本音は、誰かを傷つける。
そう理解した時から、全てを隠すように生きてきた。
恋人にも、友人にも、大人にも。
どんな事でも受け止めると言った、唯一信じたあの人でさえ、私の本音は受け止めきれなかった。
あぁ、そうか。
私のことを、受け止めてくれる人なんていない。
期待するだけ無駄なんだと。
なぜかストンとその考えが胸に落ちた。
悲しみも苦しみも伴わなかった。
ただ、そう理解した。
本音さえ言わなければ、傷つかない。
隠して笑って、全てを飲み込んで。
その隠したモノの行く先は、どこなんだろう。
口を開きかけては、言葉にならない吐息が空気を汚す。
期待なんてするな。人間なんて、みんな同じだと。
頭の中で声が響く。
わかってる。だから、隠すんだ。
誰も傷つけないように。全てを飲み込んで。
傷つくのは、私だけでいい。
誰かを傷つけるくらいなら、私はいくらでも仮面を被る。
いくらでも取り繕う。また今日も、笑顔の裏に本音を隠す。