『ほんとはどう思っているのか、心の中を見ることはできないから。だから人は、言葉を紡ぐのだ』と。どこかで読んだ本に書いてあった。だけど、本音は隠した方が人生上手くいく事を私は知っている。取り繕って、仮面を付けて、周りに合わせる。そんな人生はつまらないけれど、そういうものなのだと言い聞かせて。友達も、恋人も、家族も。誰一人として信じられないまま。信じてると今まで付き合った人にも、友達にも言ってきた。ほんとは、イチミリたりとも信用などしていないのに。平気で嘘が吐ける自分が、とても気持ち悪い。笑顔で、優しい、面倒見の良いその仮面の下は。歪んでいて醜い、臆病な私。そんな私を、受け止めて愛してくれるあの人は、かなりの変わり者だと思わず笑みが零れた。みんな、何かを抱えて生きている。私だけじゃない。私を愛してくれる、私の愛するあの人も。長い付き合いの友人も。みんな何かを抱えて、それでもひたむきに笑いながら日々を過ごしている。私は、自分が嫌い。だけど、愛する人と笑い合う自分は嫌いじゃないと。そう思えるんだ。