愛されたかった。
人の顔色を伺って、したくない事もしてきた。
私が本心で何かを言ったことなんてほとんど無い。
上辺だけの友達に、見捨てられないように媚びへつらう。
嘘に塗れた醜い私と。
そんな私を守るために必死に笑ってくれた『アリス』。
自分を騙して、アリスに頼って。
愛されるのはいつだって私じゃなくてアリス。
私なんて。私のことなんか。誰も求めてない。必要としてない。私1人居なくなった所で、世界は上手く回っていく。
ずっとそう思って生きてきた。
初めて、私を求める人がいた。
アリスではなく、私を求める変な人。
信じたい。けれど、いつまでも亡霊が邪魔をする。過去が壁を作る。
独りにしないで。どこにも行かないで。置いていかないで。私だけを愛して。
ドロドロとした物が、私を取り巻く。
上手く笑って隠せているだろうか。きっと、見透かされてしまうんだろうな。
せめてもう少しだけ、聞き分けのいい良い子の『アリス』でいさせてほしい。
私の本心なんて、醜いだけだから。
貴方の目には、可愛く映っていたい。
そんな愚かな考えを、この春の日に。