碧と春    【ボカデュオ2025『 Azulight 』  原案・原作】



____それはちょうど、3時間目の休み時間。
体育の授業が終わって、着替えを済ませて、本を開いた直後だった。

賑やかな音の中に、なんだかよく通る声が挟まっていて。
どこかで聞いたことある声だな、と思っていた。



「あっ!!いたっ!!如月くーん!!」

「き・さ・ら・ぎ、くーん!!!!」



とんとん、とクラスメイトに肩を叩かれ、映した先。

月光のように淡く透き通る白。
見間違えるはずがなかった。




「如月くんっ!!ねぇねぇねぇみて!!
鍵!!部室の鍵っ!!借りてきたよぉぉお!!!!」

教室と廊下をつなぐ窓から必死に身を乗り出している。
そんなことしなくたって、普通にドアから入ってくればいいのに。



「如月、あの女子と知り合い?」と隣の席に座った幼馴染の大悟が声をかけてくる。


「いや、全然」


「は?じゃあなんで」と気の抜けた声を背中で聞きながら、彼女のもとへ向かう。




「あっ!!如月くんっ!!」僕の視線の下で、きらきらきらきら、と星空が光る。


「ほら、持ってきたよっ!!鍵!!」はいっ、と差し出された小さな手には、黄色の中に空白のネームプレートのついた鍵。間違いなく、あの部屋の。


「あっ、間違えちゃった!!それより先に、こんにちはだったね!!如月くん!!」また会えたね!!と笑顔を向けてくる。


「こ、こんにちは‥‥‥?なんで僕の名前知ってるの?
というか、なんで教室(ここ)が分かったの?」


「んっ?碧い綺麗な()の男の子知ってますかー?って聞きながら、ここまで来た!!」


「そう、なんだ」碧い瞳‥‥‥。


「あり?だめだった?」


「いや、だめじゃないけどさ‥‥‥‥名前は?」


「ん?私は、夕凪(ゆうなぎ)いるか!!」


「いや違くて‥‥‥‥僕の、名前は、どこで知ったんですか」


「あっ、ごめん!!聞いてたら、如月くんだと思うよーって言われて!!‥‥‥んで、碧い綺麗な瞳の如月くんを探してたらっ、会えましたーっ!!」もう無理かと思ったー!!という声を聞きながら、1学年10クラス以上もある校内を探すのは大変だったろうな、と思う。


「‥‥‥‥ってことで、はいっ!!」


「なんで、鍵持ってんの」


「職員室に行ったら、先生がやっと壊れた鍵治ったーって話ししてて、それってもしかして天文部のですかーって聞いて、そうだって言うから!!持ってきた!!」


「いや、行くの放課後だし‥‥‥‥」


「部長は如月くんだよっ?」


「いや、だから部活じゃ____」





「んじゃっ、如月くんっ!!また放課後にねーっ!!」チャイムと共に遠ざかる背中。


「‥‥‥‥いや、なんで」呟いた僕の手には、黄色いプレートのついた鍵。



白髪(しろかみ)女子との関係について、大悟たちいつものメンバーに根掘り葉掘り聞かれる羽目になるとは、このときは思っていなかった。