「響、ちょっとお洋服を見てもいいかな?」
「____うん」
僕が言うと、ぱぁぁっと笑顔を咲かせて「ありがとうっ!!」とスキップしながら歩き始める。
「いるか、ずっと見てたもんね」
「あははー、ばれてた?」
「そわそわしてたから」
「わー‥‥‥‥恥ずかしいなぁ」
そんな会話をしながら、カジュアルな雰囲気のお店に入っていく。
今日の私服にりぼんやフリルがついているから、もっとこう‥‥‥お姫様みたいなところに行くのかなと思っていた。
そういうところに自分がそぐわないことは知っているので、内心ほっとしつつ、「響も一緒に見よ!!」という彼女を追う。
「いるか、それ持つよ」
お財布とケータイしか入らなそうな鞄だったのに、どこからともなく紙袋を取り出して、買ったものを詰めていた。
さすがに、買い物中にガサガサとしてしまうのは邪魔だろうし。
「ありがとうっ!!」彼女は僕に袋を預けて、「これ、かわいいねぇ!!」と鏡で合わせてみたり、店員さんに話しかけられたりしていた。
なにか買うわけではないみたいだったけど、楽しそうにしているのを見て、僕も楽しい。
親がファッション関係の仕事をしているから、こういう形の服もあるんだなとか、思いながら。
「____ねぇ、どっちがいいかなっ!!」くるっとこちらを振り向いて、パーカーを合わせている。
「なんかこういう感じの、淡い色のが欲しくて!!」
いくつか回って、この店までたどり着いたけれど。そう言われると、淡い色の服ばかり見ていた気がする。
「いるかは肌が白いから、鮮やかなのも似合うと思うよ」
「えっ!!そーかな!!」あんまり挑戦してみたことないやぁ!!と言いつつ、嬉しそうにしている。
彼女のこういうところを見ていると、気持ちがほんわかする。
小さくて、パタパタしているのが、仔犬を見ているような気分になる。
「さっきのお店の、赤いのも似合ってたよ」
「ほんとっ!?嬉しい〜!!」さっきのも、シルエットがかわいいなって思ってたんだぁ〜!!と白が揺れる。
「これか〜、これかな〜?」とハンガーにかかったパーカーを見ている。
「ピンクとグレーだったら、ピンクかも」
「え〜とぉ、こっち??」ひとつ、掲げてみせる。
「えっと、それじゃなくて____」彼女が取ったのは、グレーだった。
なにかが、カチッとはまった気がした。
____信号待ちで、青に変わってもなかなか渡らなかったこと。
____僕からジュースを受け取る時、どちらか迷っていたこと。
____そして今、グレーとピンクが分からなかったこと。
彼女は洋服についたタグを見て「わっ!!ほんとだ!!グレーだったかぁ〜!!」といつもの調子で、特に気に留めた様子もない。
「また間違えちゃった〜、ごめんね?」とこちらに向かって申し訳なさそうな表情をする。
「あっ、こっち見ておけばよかったんだぁ〜、バカいるか!!」とスマホを眺めている。
____いるかは、僕と同じ景色が見えないのかもしれない。
「____どしたの?響」
「‥‥‥あっ、いや、」なんでもない、と口にしようとして。自分の表情が少し硬くなっていることに気がつく。
そんなつもり、なかったのに。
「____あは、やっぱ、厳しい?」
彼女はそう言って、店をあとにした。
いつもきらきらしている瞳に、少しだけ哀しさが混ざっていて。
そのことが、とても哀しかった。
「____うん」
僕が言うと、ぱぁぁっと笑顔を咲かせて「ありがとうっ!!」とスキップしながら歩き始める。
「いるか、ずっと見てたもんね」
「あははー、ばれてた?」
「そわそわしてたから」
「わー‥‥‥‥恥ずかしいなぁ」
そんな会話をしながら、カジュアルな雰囲気のお店に入っていく。
今日の私服にりぼんやフリルがついているから、もっとこう‥‥‥お姫様みたいなところに行くのかなと思っていた。
そういうところに自分がそぐわないことは知っているので、内心ほっとしつつ、「響も一緒に見よ!!」という彼女を追う。
「いるか、それ持つよ」
お財布とケータイしか入らなそうな鞄だったのに、どこからともなく紙袋を取り出して、買ったものを詰めていた。
さすがに、買い物中にガサガサとしてしまうのは邪魔だろうし。
「ありがとうっ!!」彼女は僕に袋を預けて、「これ、かわいいねぇ!!」と鏡で合わせてみたり、店員さんに話しかけられたりしていた。
なにか買うわけではないみたいだったけど、楽しそうにしているのを見て、僕も楽しい。
親がファッション関係の仕事をしているから、こういう形の服もあるんだなとか、思いながら。
「____ねぇ、どっちがいいかなっ!!」くるっとこちらを振り向いて、パーカーを合わせている。
「なんかこういう感じの、淡い色のが欲しくて!!」
いくつか回って、この店までたどり着いたけれど。そう言われると、淡い色の服ばかり見ていた気がする。
「いるかは肌が白いから、鮮やかなのも似合うと思うよ」
「えっ!!そーかな!!」あんまり挑戦してみたことないやぁ!!と言いつつ、嬉しそうにしている。
彼女のこういうところを見ていると、気持ちがほんわかする。
小さくて、パタパタしているのが、仔犬を見ているような気分になる。
「さっきのお店の、赤いのも似合ってたよ」
「ほんとっ!?嬉しい〜!!」さっきのも、シルエットがかわいいなって思ってたんだぁ〜!!と白が揺れる。
「これか〜、これかな〜?」とハンガーにかかったパーカーを見ている。
「ピンクとグレーだったら、ピンクかも」
「え〜とぉ、こっち??」ひとつ、掲げてみせる。
「えっと、それじゃなくて____」彼女が取ったのは、グレーだった。
なにかが、カチッとはまった気がした。
____信号待ちで、青に変わってもなかなか渡らなかったこと。
____僕からジュースを受け取る時、どちらか迷っていたこと。
____そして今、グレーとピンクが分からなかったこと。
彼女は洋服についたタグを見て「わっ!!ほんとだ!!グレーだったかぁ〜!!」といつもの調子で、特に気に留めた様子もない。
「また間違えちゃった〜、ごめんね?」とこちらに向かって申し訳なさそうな表情をする。
「あっ、こっち見ておけばよかったんだぁ〜、バカいるか!!」とスマホを眺めている。
____いるかは、僕と同じ景色が見えないのかもしれない。
「____どしたの?響」
「‥‥‥あっ、いや、」なんでもない、と口にしようとして。自分の表情が少し硬くなっていることに気がつく。
そんなつもり、なかったのに。
「____あは、やっぱ、厳しい?」
彼女はそう言って、店をあとにした。
いつもきらきらしている瞳に、少しだけ哀しさが混ざっていて。
そのことが、とても哀しかった。



