「もうちょっと待っててね」と言われて、ランプの青色を眺めに行くことにした。
「いるか、それ好き?」
「なんか、すごくきれいで‥‥‥‥」
「あんまり見ないよね、そういう模様」近くで見るとすごく複雑に、いろんな色が細かく入っているみたいだった。
響がソファーに座ったのを見て、私も隣に腰掛ける。
濡れちゃうと嫌だからお尻の下にタオルを敷いたけど、それでもふかふかなのが伝わってきた。
「珍しいなって思うかもしれないけど、こういうのとかも、親の趣味なんだよね」と苦笑いする。
お仕事で、よく海外に行くんだって。
お部屋のいろんなところに模様がたくさんあったり、色が鮮やかになっているのは、そういうことなのかもしれない。
「そうなんだ!!あんまり見たことないのばっかりで、見てて楽しい!!」棚にある置物とか。
「そう言ってもらえたの、初めてかも」みんなは、ごちゃごちゃしてるとか言うみたいだけど。そんなふうには思わなかった。
____ピロピロピロ、とアラームが鳴って、響がキッチンに向かう。ふわっと紅茶のいい香りがする。
わくわくしながら待っていると、棚にある女の人の写真が目に留まる。
目元が響にそっくりだった。お母さんかな。響は瞳が碧色だけど、この人は黒くて、不思議な感じがする。
「いるか、できたよ」
「わぁ!!ありがとう!!」かわいいコップに入れて持ってきてくれた。
受け取っても熱くなかった。氷も入れてくれたみたい。
しばらく、手を温める。
じんわりしあわせな温度が身体に巡って、眠気を誘ってくる。



