碧と春    【ボカデュオ2025『 Azulight 』  原案・原作】




____それから1時間。
だいぶ暗くなってきた空に、いくつか星が流れてくるのが観えた。


「いるか、流星観えたよ!!」反応がなくて横を見ると、幸せそうな顔で寝ていた。


「やっぱり寝るんじゃん‥‥‥‥」

ここに来る前、絶対に寝ないってあれだけ意気込んでいたのに。




「むふふふ、お星さまぁ」という寝言を聞きながら「いるか!!観えたよ!!」と小さい肩を揺らす。


「ふぁっ‥‥‥‥!!?」なに、なに!?とキョロキョロしている。


「流星、来たよ」


「りゅうせ‥‥‥‥?ふぁっ!!流れ星!!」ぽやんとしていた瞳が、星空を反射する。


「観えた?」


「うん!!観えた!!ひとつだけ!!」


「さっきからいくつか観えてるよ。今ので3つ目」


(おと)だけずるぅい!!」と僕の肩を揺らす。


「だっているか、寝てたじゃん‥‥‥」


(おと)、」


「ん?」


「流れ星って細いんだね?」


「そうだよ?」


「なんか、もうちょっとこう‥‥‥光の帯??みたいなのが、ひゅーんて出るものかとぉ‥‥‥‥」


「それはたぶん、火球だと思う」


「かきゅーって、なに??」



「流れ星の、光が強いやつ。帯もすごくきれいに観えるよ」


「そうなんだぁ!!____あっ、また流れ星!!」


「いるか、見つけるの上手だね」


「にひひぃ、それほどでもぉ」


「でも、流れ星って。もっとたくさん観れるのかなって思ってた」


「今日はよく流れてる方だよ、ラッキかも!!」僕の言葉にほぇ~と間の抜けた返事をしながら、「やっぱり、遠征しか!!」と瞳をきらきらさせる。


「遠征、行きたいんだね」


「うんっ!!もっとたくさん観れるところだったら、うれしいなって!!」 


「深夜だと、大人限定だからなぁ‥‥‥‥」こういうとき、高校生はなにかと不便だ。




「じゃぁ!!大人になっても、(おと)と星観る!!」お願い、これにしようっ!!と空に向かってまた瞳を閉じてお祈りを始めた。


そんなことしてるから、寝ちゃうんだろうけど‥‥‥。


「‥‥‥‥ふふ」嬉しすぎて、ちょっとこの表情は見られたくなかった。










「____いるか、起きてる?」


「んもー、寝てないってばぁ!!」僕の方を見て、「ほらね!!」の表情を浮かべてくる。なんでそんなに偉そうなの。


(おと)、どうしたの?」
 

「そろそろ、文化祭の出し物‥‥‥‥決めようかなと思いまして」うっかりしていたけど、そろそろ締め切りだったんだよな。


「あっ、そういえば!!」


「天文部っぽいもの‥‥‥‥」ずっと考えてるけど、いまいち出てこない。





「文化祭、ちょっとだけ展示もやるみたいなんだ」


「えっ、天文部の展示!?」


「科学部の、展示ね」


「んぇえ、ひどいぃ‥‥‥」


「で、ちょっとだけスペース貸してもらえるみたい」


「えっ!!天文部の展示!!やったぁ!!」


「パネルも1/2だから、狭いけど」




「いーのっ!!それでも!!」



 
(おと)と一緒なの、嬉しいもん!!」


「‥‥‥‥うん。僕も嬉しい」




「わーい!!」と抱きついてくる。


「ぐふっ‥‥‥‥‥!!」もげる。首が。



「ふぁっ!?ごめん、(おと)!!?」


「ぅっ‥‥‥頼むから優しくしてください」


「ごっ、ごめんねぇ、ごめんねぇ!!」





シュッ、と光が横切る。



「あ、流星」


「えっ!?どこどこ!!」私まだ3回お願いできてないのに!!と探し始める。






そのうち、また光の筋がいくつか星空に浮かんで消えていく。




「わぁあ!!流れ星いっぱいー!!」

きらきらと2つくらい連続で流れる。時計を見ると、もう20時近かった。







「____時間だよ、そろそろ戻らないと」


「んぇえ〜、まだ観たいのにぃ‥‥‥‥」これからでしょ!!と言われてしまって、それはそうなんだけど、と思う。

またこの『捨てられた仔犬』をされてしまうと、だいぶ離れ難くなってしまう。



「残りは‥‥‥‥帰りながらでね」僕が言うと、「やったぁ!!」と飛び跳ねる。

ブルーシートはこれからも使うので部室に片付けて、職員室に鍵を返しに行く。



『テスト採点中 入らないでください』と書かれたドアの前で待っていると、
「本当にこの時間までやるんだな」と先生が呆れたような嬉しそうな表情で顔を出した。

「暗いから気をつけろよ」と言われて、急いで下駄箱に向かう。



「私、靴持ってくるっ!!」この前と同じように、いるかは途中で第2昇降口へ走って行った。

その背中がこの前よりも楽しそうで、僕もちょっと楽しくなった。