そろそろ受験だし____なんて、そんなことは、今はどうでもいいか。
少しずつ、いつもの教室がキンと冷たくなったように、緊張と焦りが入り交じった空気になるのを感じていた。
「いるかは、将来どうするの?」
今日の夜空は晴れ。
少し欠けた月が、木や周りを囲うフェンスを柔らかく照らしている。
これから暗くなると、もっと明るくなるだろうな。
本当は、新月か深夜の時間を狙って観るのが1番なんだけど。そんなことも言っていられない。
「____将来?大学ってこと?」
「うん、そう」
「うーん‥‥‥‥」しばらく星空を眺めて、「あんまり考えたことないかも」と呟く。
「響は?」
「え、僕?」
「聞いてきたの、響だし‥‥‥」
「うーん、僕もあんまり。未来とか、よく分かんないや」
いつの間にか、星の数が多くなってきた。起き上がって、望遠鏡で空を見上げる。
「観える?」
「うーん、流星はまだ」
今日は月明かりがあるから、うまく観えないかもしれない。____けど、彼女を前にそんなことは言えなかった。
目印の星を見つけて、また望遠鏡を置く。
寝転ぶと、夏の大三角型が下の方にチラチラと光る。
「響、大学とか考えてるんだ‥‥‥‥」
「まぁ、そろそろね。見学とか行かないとでしょ」
「優秀だぁ〜」なんて言いながら、隣でゴロゴロとしている。
「全然決まんないけどね」
将来のことは、あまり考えたことなかった。
ただ受験だって言われて。それだけ。
決めなきゃとは思うけど、別にこれと言って今後続けていきたいことも無かった。
「星観るのは、これからも続けたいなって‥‥‥‥」隣を見ると、いるかの大きい瞳が僕を映していた。
「やっぱり、響でよかった!!」
「なんの話?」
「なんでもなーいっ!!」いっぱい流れ星、降ってください!!とまたお祈りをしている。



