碧と春    【ボカデュオ2025『 Azulight 』  原案・原作】



そろそろ受験だし____なんて、そんなことは、今はどうでもいいか。

少しずつ、いつもの教室がキンと冷たくなったように、緊張と焦りが入り交じった空気になるのを感じていた。

 
 


「いるかは、将来どうするの?」



今日の夜空は晴れ。
少し欠けた月が、木や周りを囲うフェンスを柔らかく照らしている。

これから暗くなると、もっと明るくなるだろうな。

本当は、新月か深夜の時間を狙って観るのが1番なんだけど。そんなことも言っていられない。



「____将来?大学ってこと?」


「うん、そう」


「うーん‥‥‥‥」しばらく星空を眺めて、「あんまり考えたことないかも」と呟く。


(おと)は?」


「え、僕?」


「聞いてきたの、(おと)だし‥‥‥」


「うーん、僕もあんまり。未来とか、よく分かんないや」


いつの間にか、星の数が多くなってきた。起き上がって、望遠鏡で空を見上げる。



「観える?」


「うーん、流星はまだ」



今日は月明かりがあるから、うまく観えないかもしれない。____けど、彼女を前にそんなことは言えなかった。

目印の星を見つけて、また望遠鏡を置く。

寝転ぶと、夏の大三角型が下の方にチラチラと光る。



(おと)、大学とか考えてるんだ‥‥‥‥」


「まぁ、そろそろね。見学とか行かないとでしょ」


「優秀だぁ〜」なんて言いながら、隣でゴロゴロとしている。


「全然決まんないけどね」



将来のことは、あまり考えたことなかった。
ただ受験だって言われて。それだけ。

決めなきゃとは思うけど、別にこれと言って今後続けていきたいことも無かった。



「星観るのは、これからも続けたいなって‥‥‥‥」隣を見ると、いるかの大きい瞳が僕を映していた。


「やっぱり、(おと)でよかった!!」


「なんの話?」


「なんでもなーいっ!!」いっぱい流れ星、降ってください!!とまたお祈りをしている。