「____ここが、(おと)の家?」


「うん、ちょっと待っててね」ピピピ、と番号をいれて、ロックを解除する。 


「わ、なんか秘密基地みたい!!」


「暗証番号入れただけだよ」ちらっと、ポストになにも入ってないことを確認して、2階へ上がる。




「うわぁ‥‥‥!!すごくきれい‥‥‥!!」   
  

「ちょっと待っててね」洗面所まで行って、タオルを取ってくる。   


「これで拭いて」


「わぁ!!ありがとう!!」ふわふわだぁー!!と顔を埋めている。身体を拭いてほしいんだけどな。


「____あ」お風呂を沸かそうかなと思ったけど、沸く前に親が帰ってくるとまずい。
いるかを見られたくない。絶対に騒ぐから。




(おと)?どうしたの??」 


「あっ、いや‥‥‥‥‥服、乾かさないとね」自分で誘ったくせに、突然の来客で僕もだいぶ動揺している。平常心平常心。 


「制服、ここで脱いでね」お風呂場に案内して、ハンガーを渡す。 

 
「えーっとぉ、それはいいんだけどぉ‥‥‥」と僕の前でもじもじし始める。




「そのぉ、私、なんにも着れなくなっちゃう、なぁ‥‥‥‥‥‥って」


「あ゛っ‥‥‥‥‥‥!!ごめん!!」慌ててTシャツとジャージの下を渡して、「これ!!着たら制服ハンガーにかけて!!」とドアを閉める。


「ふぅ‥‥‥‥‥‥」僕も、だいぶ余裕なかったみたいだ。




(おと)、いつも遅いのに、今日は新幹線みたいだね?」いるかの声がよく通るせいで、よく聞こえる。


「‥‥‥‥うるさい」向こうでふふふ、と楽しそうな音が聞こえた。