碧と春    【ボカデュオ2025『 Azulight 』  原案・原作】













「いるか、どう?」


「うん、だいたい乾いたよ!!」思ったより速く。だけど、他の人のお家だし、念入りにしておこう。濡らしちゃったら悪いもん。



「なんか飲む?」


「えっ‥‥‥!!いいよいいよ!!気を使わないで!!」


「いやでも、寒いだろうし‥‥‥」私が下着つけたままだからかな。一応、タオルで水気は吸っておいたんだけど。


「じゃあ、いただきます!!」


「えーっと、ジュースがなくて。コーヒーと紅茶しか‥‥‥‥‥あっ、ホットミルクとかもできるよ。あとは水」



がちゃん、と両開きの冷蔵庫を開けた先に、ペットボトルの水がたくさんあるのが見える。

私の家のより、冷蔵庫大きいかも。
キッチンにオーブンレンジがついてる。
リビングの電気には、ガラスの傘のついたランプ。ステンドグラスの模様が細かくてきれい。

外国のお家みたいで、なんだか新鮮。





「____いるか?」


「ふぁっ!!ごめん、ぼーっとしてた」


「珍しいでしょ、僕の家」みんなそうだよ、と四角い缶を開ける。


「それ、なに?」


「紅茶だよ?」


「こっ‥‥‥紅茶」ティーバッグのやつしか知らない。


「いるかも、これにする?」


「えっ、ええでも、お高いんじゃ‥‥‥」


「お客さんなんだから、遠慮しないでいいよ」




そう言われてしまうと、さすがに断れなくて、紅茶を選んだ。

「ドライフルーツ入れる?ジャム?____あ、ハチミツもあるけど」なんて言われて、
さすがにそんなにレパートリーあるなんて思わないじゃん。

ミルクティーにして、お砂糖とハチミツを入れてもらった。




私は甘いのが好きだけど、
(おと)が「この紅茶美味しいんだよね」って言いながらスプーン3杯くらいお砂糖をドバドバ入れてるの、見ちゃった。

ちょっと意外だった。
コーヒーとか好きなタイプだと思ってたんだもん。

なんか、身長が高くて大人っぽいけど、
同い年なんだなって分かるかわいいところもあって、なんだか安心した。







「その辺座ってていいよ」と言われて、部屋を改めてよく見る。

壁付けに2つ、模様の入ったふわふわのソファーが並んでいて、____その間に置かれたランプの模様に目が留まる。青色が、鮮やかですごくきれい。

水色のクッションに、細かい刺繍がたくさんある。もう1つのソファーも色が違うのに、ちゃんとお部屋に合ってる。

いろんなところに、複雑な模様の布がかけてあって、見ていてすごく楽しい。



視線を戻すと、ご飯を食べるテーブルと椅子。
その周りには素敵な絵やドライフラワーが飾ってあって、テーブルクロスにはたくさんの模様が敷き詰められていた。

さっき、ここに来る手前でちらっと見た寝室も、水色のランプが光っててきれいだった。






「いいなぁ、なんか、水族館みたい‥‥‥!!」


「水族館?」


「うん、青がすごくきれいだから!!」


「気に入ってくれたんだね、よかった」





「もうちょっと待っててね」と言われて、ランプの青色を眺めに行くことにした。



「いるか、それ好き?」


「なんか、すごくきれいで‥‥‥‥」


「あんまり見ないよね、そういう模様」近くで見るとすごく複雑に、いろんな色が細かく入っているみたいだった。



(おと)がソファーに座ったのを見て、私も隣に腰掛ける。
濡れちゃうと嫌だからお尻の下にタオルを敷いたけど、それでもふかふかなのが伝わってきた。




「珍しいなって思うかもしれないけど、こういうのとかも、親の趣味なんだよね」と苦笑いする。

お仕事で、よく海外に行くんだって。
お部屋のいろんなところに模様がたくさんあって、色が鮮やかなのは、そういうことなのかもしれない。



「そうなんだ!!あんまり見たことないのばっかりで、見てて楽しい!!」この、棚にある置物とか。


「そう言ってもらえたの、初めてかも」



みんなは、ごちゃごちゃしてるとか言うみたいだけど。
そんなふうには思わなかった。






____ピロピロピロ、とアラームが鳴って、(おと)がキッチンに向かう。ふわっと紅茶のいい香りがする。


わくわくしながら待っていると、棚にある女の人の写真が目に留まる。

目元が(おと)にそっくりだった。お母さんかな。
(おと)は瞳が碧色だけど、この人は黒くて、不思議な感じがする。





「____いるか、できたよ」


「わぁ!!ありがとう!!」かわいいコップに入れて持ってきてくれた。
受け取っても熱くなかった。氷も入れてくれたみたい。


しばらく、手を温める。
じんわりしあわせな温度が身体に巡って、眠気を誘ってくる。





「僕もここにしよ」そう言ってコップに口をつけて、「入れすぎた‥‥‥」とすぐに立ち上がって、紅茶を追加して戻ってくる。


ぽふ、とまた軽い振動が伝わってきてから、「いただきます」と口をつけた。

はちみつの甘さがちょうどよくて、すごく美味しい。

こういうおしゃれなの、初めて飲んだ。




「____どう?」


「すっっっごく美味しい!!」


「よかった」


(おと)は、なに入れたの?」


「お砂糖とママレードだよ」


「ママレードって、ジャムだよね‥‥‥紅茶に入れたりするんだ?」


「するよ。ジャムティーってやつ。甘くて美味しいよ」


「わ、なんか、すごくおしゃれ!!」初めて聞いた。


「いるかも、ちょっと飲む?」


「いいの!?やったぁ!!」自分のを飲み干して、2杯目までいただく流れになっちゃった。


「はい、どーぞ」ありがとう!!と受け取って飲んでみる。フルーティーですごく美味しかった。




横で2杯目に口をつけて、「あっつ!!」と言っているのを見る。


(おと)、猫舌?」


「ん‥‥‥‥‥‥、そう」痛かったのか恥ずかしかったのか、顔を逸らされてしまった。


「実は、私も‥‥‥‥‥‥なんだよねぇ」なんだか恥ずかしくて、手を温めるふりをしてたけど。





「「一緒だねぇ」」が同時に出てきて、2人で思わず笑っちゃった。



こういうのも、たまにはいいかも。