碧と春    【ボカデュオ2025『 Azulight 』  原案・原作】









____雨、降りそうだな。



もこもことした重苦しい雲が、空から迫ってくる。

帰りのHRが終わって騒がしくなる教室からそれを見上げて、少し悲しくなる。


最近は曇りの日が多くて、あまり星が見えていなかった。

そうでなくとも、いるかとは一緒にいるんだけど____。




曇りの日は、『天文部』は活動休止だ。

今日はどうしようかな、と考えて。図書館に映画を観に行くことにした。



体育祭が終わって、6月。
____本当はそろそろ期末試験の時期なんだけど。今日くらいは、ちょっとサボってみよう。





自動ドアが開いて、本の匂いがする。
ここに来るのも、久しぶりだ。

前は____1人でいたときは、よく来てたけど。
最近は天文部の活動だったり、体育祭の特訓だったりで忙しかったから。


パソコンの並ぶスペースに鞄を下ろして場所を取っておく。考えてみたら、図書館で映画を観るのは初めてだった。

カウンター前にある棚に移動する。ここに映画のDVDがたくさん置いてあるのは知っていたけど、いざ立ってみると目移りしてしまって、決めるのに時間がかかった。









「____終わったら、棚に戻してくださいね」

司書さんに貸し出し手続きをしてもらって、スペースに戻る。
あとは家にいるときみたいに、パソコンを点けて、プレイヤーにDVDを入れて、再生するだけ。

まだ放課後になったばかりで、図書室には僕以外に2,3人程度しか見かけなかった。
こういう時間に映画を観るのも、いいかもしれない。




「おお‥‥‥‥!!」


じゃーん、と画面に表示された映画スタジオのロゴと、貸し出しのヘッドフォンから流れる音にわくわくする。

僕が選んだのは、『気まぐれ天使の大逆襲』という子供向けの映画だった。
本当は外国の映画とかもたくさんあって迷ったけど、小さい頃にテレビで観たのが懐かしくなって、気が付いたら手に取っていた。

いるかもこういうのが好きかな、なんて思いながら、カラフルな画面を観る。





____始まって、どのくらいだろうか。周りが騒がしくなってきた。

そろそろトイレにでも行こうかな、と思っていると、目の前が急に白く染まる。



「____わぁ!!」


(おと)、なにしてんの?こんなとこで」目の前の星空が、僕に言う。






「な、____なんでいるの」


「ひっどいなー!!」ぶー、と唇を尖らせて、ガラガラと近くの椅子を持ってくる。


「なにしてるの」


「それ!!『天使ちゃん!!』のやつ!!」りんご星人がかわいいよねぇー!!と隣で画面に張り付いている。



「あ、‥‥‥‥一緒に観る?」


「うん!!____あっ、でもヘッドフォンなんだ?」


「ここ、イヤホンも挿せるよ、ジャックがあるし」


「うわぉ!!‥‥‥‥実はぁ、イヤホンを持ってるんだよねぇ〜!!」いそいそとリュックサックを弄り始める。

 

いるかに断って、トイレに向かう。
彼女が来たことに少し安心したなんて____だいぶ、侵食されてるみたいだ。

前は1人でいるのも、なんとも思わなかったのに。



いつの間にか、隣にいるかがいたらな、なんて。自然に思うようになっていた。

2人だったら、もっと楽しい気がする____なんて。
さすがに、言うのは恥ずかしいけど。最近はそんなことを思い始めている。