「ずっと同じ星しか観れないのに‥‥‥‥」と苦しまぎれにした言い訳も、
「時間が経つと、星座がぐるっと回るんだよ!!どこ見てもきれいだし、大丈夫!!」と返されてしまい。
結局、地獄の体育祭まで、晴れた日は地獄の日々を味わうことになってしまった。
____毎日毎日、晴れ続きの天気で。
曇りならサボれると思っていた僕を、神様は許してくれないらしかった。
「響!!星きれいだねぇ!!」
____それでも、こんなふうにいるかの笑顔と星空を観ていると、その地獄も吹き飛んでしまうのが、とても情けなくなる。
土日以外が特訓になってしまったけれど、1週間くらいでようやくじわじわと、走り込みのタイムを更新しつつあった。
親にも「最近帰りが遅いわね」と言われたけど、なぜか嬉しそうに見守られている気がする。
____そして、体育祭当日。
「行って来い!!」バシバシと大吾に背中を叩かれて行くと、いるかが近くに寄ってきた。
「響!!一緒に頑張ろうね!!」
見ると、僕と同じ紫色のはちまきをしていた。
彼女の白い髪に、よく似合う。
「いるか、対抗リレー出てたんだね」
「うん!!立候補した!!走るの好きだから!!」まさか当日に分かるなんて、と思いながら、列に並ぶ。
「響と一緒に出れるの、嬉しいっ!!」係りの人から渡されて、紫色のゼッケンを着ている。
「アンカーなんだね」
「ふっふー!!すんごいでしょ!!」
「うん、なんか、納得する」
「反応薄いよー!!もーちょっとびっくりしててくれてもいいのにぃ!!」と口を尖らせて、先生の合図で反対側のコースに行ってしまった。
彼女にしては珍しく、秘密にしていたみたいだ。
言ってくれてもよかったのに、というのは、ちょっとわがままかもしれない。
____パァン。
ピストルが鳴って、走り終わったいるかが僕のところに駆けてくる。
「響ー!!」
「いるか、お疲れ様」
「んへへぇ、負けちゃったけどね!!」
____結果は、3位だったけど。
12組のうち、3位から7位までと、(僕から見て)常人じゃないスピードで走る選手の中、かなりの僅差で戦ってくれていた。
改めて、僕だけだったら到底無理な戦いだったろうなと思う。
「楽しかったねぇ!!」
「____うん、楽しかった」運動は得意じゃないけど。僕も、今までで1番よく走れた気がした。
「いるかのおかげだね」
「へっ____!?」
「僕、運動苦手だから。あんまり楽しいって思ったことなくて」
「けど、特訓も、リレーも、楽しかったよ」
「おっ‥‥‥‥おとぉ゙〜!!」
「えっ!?なんで泣くの!?」
僕から受け取ったハンカチで丁寧に鼻までかんだあと、「響のこと、置いてけぼりにしちゃったかなって思ってたから‥‥‥!!」と言われて、とても意外だった。
「よかった、響も楽しくて!!」
「____うん」
「いるかも‥‥‥そういうとこ、あるんだね」僕が言うと、目を丸くしてこちらを見てくる。
「なんか、その、いつも元気だから。凹んだりとか、しないタイプかなぁって思って‥‥‥」
「私だって、そういう日くらいあるもん‥‥‥!!」
「なんか、安心した」
「‥‥‥‥そう、なんだ」
「あっ、ごめんね、なんか、気にしてることだったら‥‥‥‥」
「ううん。響なら、言ってもいいかなって思っただけ!!」
「ありがとね!!」
その笑顔が、いつもより眩しく映った。



