碧と春    【ボカデュオ2025『 Azulight 』  原案・原作】





「ずっと同じ星しか観れないのに‥‥‥‥」と苦しまぎれにした言い訳も、
「時間が経つと、星座がぐるっと回るんだよ!!どこ見てもきれいだし、大丈夫!!」と返されてしまい。

結局、地獄の体育祭まで、晴れた日は地獄の日々を味わうことになってしまった。 





____毎日毎日、晴れ続きの天気で。

曇りならサボれると思っていた僕を、神様は許してくれないらしかった。





(おと)!!星きれいだねぇ!!」


____それでも、こんなふうにいるかの笑顔と星空を観ていると、その地獄も吹き飛んでしまうのが、とても情けなくなる。

 
土日以外が特訓になってしまったけれど、1週間くらいでようやくじわじわと、走り込みのタイムを更新しつつあった。

親にも「最近帰りが遅いわね」と言われたけど、なぜか嬉しそうに見守られている気がする。





____そして、体育祭当日。


「行って来い!!」バシバシと大吾に背中を叩かれて行くと、いるかが近くに寄ってきた。




(おと)!!一緒に頑張ろうね!!」


見ると、僕と同じ紫色のはちまきをしていた。
彼女の白い髪に、よく似合う。




「いるか、対抗リレー出てたんだね」


「うん!!立候補した!!走るの好きだから!!」まさか当日に分かるなんて、と思いながら、列に並ぶ。


(おと)と一緒に出れるの、嬉しいっ!!」係りの人から渡されて、紫色のゼッケンを着ている。


「アンカーなんだね」


「ふっふー!!すんごいでしょ!!」


「うん、なんか、納得する」


「反応薄いよー!!もーちょっとびっくりしててくれてもいいのにぃ!!」と口を尖らせて、先生の合図で反対側のコースに行ってしまった。



彼女にしては珍しく、秘密にしていたみたいだ。

言ってくれてもよかったのに、というのは、ちょっとわがままかもしれない。








____パァン。

ピストルが鳴って、走り終わったいるかが僕のところに駆けてくる。



(おと)ー!!」


「いるか、お疲れ様」


「んへへぇ、負けちゃったけどね!!」



____結果は、3位だったけど。

12組のうち、3位から7位までと、(僕から見て)常人じゃないスピードで走る選手の中、かなりの僅差で戦ってくれていた。

改めて、僕だけだったら到底無理な戦いだったろうなと思う。

 

「楽しかったねぇ!!」


「____うん、楽しかった」運動は得意じゃないけど。僕も、今までで1番よく走れた気がした。


「いるかのおかげだね」


「へっ____!?」


「僕、運動苦手だから。あんまり楽しいって思ったことなくて」


「けど、特訓も、リレーも、楽しかったよ」




「おっ‥‥‥‥おとぉ゙〜!!」   


「えっ!?なんで泣くの!?」


僕から受け取ったハンカチで丁寧に鼻までかんだあと、「(おと)のこと、置いてけぼりにしちゃったかなって思ってたから‥‥‥!!」と言われて、とても意外だった。


「よかった、(おと)も楽しくて!!」


「____うん」




「いるかも‥‥‥そういうとこ、あるんだね」僕が言うと、目を丸くしてこちらを見てくる。


「なんか、その、いつも元気だから。凹んだりとか、しないタイプかなぁって思って‥‥‥」


「私だって、そういう日くらいあるもん‥‥‥!!」


「なんか、安心した」


「‥‥‥‥そう、なんだ」


「あっ、ごめんね、なんか、気にしてることだったら‥‥‥‥」


「ううん。(おと)なら、言ってもいいかなって思っただけ!!」




「ありがとね!!」

その笑顔が、いつもより眩しく映った。