碧と春    【ボカデュオ2025『 Azulight 』  原案・原作】



「ひぃ‥‥、はぁ、はぁ」


「こらー!!おと!!もっと軽々と!!ほら!!走って!!」


「む、むり‥‥‥‥」まるでオアシスのような木陰のベンチに助けを求める僕。


「だめー!!まだやるの!!」


「無理です無理です、いじめないで」



抵抗する僕の腕をビヨンビヨンに引っ張ってくるいるか。

____なぜこんな事になっているかと言うと。




「____最悪だ」

そう、すべては、教室の真ん中でじゃんけんに負けたところから始まる。



「どんまい如月!!」と僕の絶望具合を知らない、幼なじみの大吾が肩を叩いてくる。


「僕が走れないの、知ってるくせに‥‥‥」


「しょうがねぇだろ、あそこでパーを出さなきゃなー!!」


「‥‥‥‥う」



僕はスポーツが苦手だ。
そして、じゃんけんも苦手だった。


____5月にある体育祭。
負けた人から決まる、色別対抗戦のメンバーに選ばれてしまった僕。

ずっと負け越して、現在に至るわけで。


「あそこで活躍したらモテるぞー!!」と盛り上がっている大吾の隣で、僕の気持ちはどん底に沈んでいくのだった。





「____帰りたい」


「もー!!(おと)!!なに言ってんの!!これからオリオン座見るんでしょ!!」


「うーん‥‥‥‥」
今までずっと触っていた望遠鏡も、今日は何の調整もしないまま、ぼんやりと目の前だけを眺める。


「珍しいねぇ?響が、星観ないなんて‥‥‥」なんかあった?と星空のような瞳にのぞき込まれる。


「えっ!?もしかして!!具合悪いっ!?」いるかが勝手な解釈であわあわとし始める。大丈夫、そんなんじゃないから。と手をひらひらとさせておく。




「‥‥‥‥なんか、あった?」


珍しく、いるかは静かに僕の話を聞いてくれるらしかった。
____そして、僕の地獄が始まることになったのだ。