碧と春    【ボカデュオ2025『 Azulight 』  原案・原作】




____ガチャ。

扉の奥には、ガランとした室内。


部室棟の一番端。

1人になりたいとき。私はたまにここに来て、ちょっとだけ反省会をする。




____思ったことすぐに言っちゃうの、直したほうがいいと思う。


そんなの、私が、いちばん思ってるって。
さっきのことを思い出してうずくまる。




「はぁー‥‥‥‥‥」また、やっちゃったなぁ‥‥‥。


しばらくそこで小さくなって、そろそろ帰ろうかと顔を上げかけたとき。

ガチャ、と部屋に光が差す。


え、うそ、誰かきた。

ここ、使ってたんだ‥‥‥‥。




その人は私には見向きもせずに窓の前までつかつかと歩いて行く。

どさっ、となにかを取り出してから鞄を放り投げる。慣れているみたいだった。
もうずっとここにいる人なんだ、とその空気で分かった。

いつの間にか、出るタイミングを逃してしまったことを、今更に気がつく。



ガチャガチャと組み立て、それを上に取り付ける。

____望遠鏡、だ。


よく見る白くて大きいのではなくて、なんだか黒っぽい、ところどころきらきらとしたデザイン。
きっとこれは、今のじゃないんだと、直感が言う。




「うーん、やっぱ見えないか‥‥‥‥‥」その人はガシガシと短い髪の毛を掻いて、スマホと丸くて青いものを見比べる。

星、見てるんだ。

今日は空が青くて、きれいだもんね。


窓に映る暗がりの中に、いくつもきらきらと輝いているのが、目を凝らすと分かる。

ふわ、と窓からの風が髪を揺らした。




____気がついたとき、私はそこに立っていて。

背中も横顔も、全部が「星が好きだ」と言っている人だった。




「なに見てんの?」

「こと座流星群」



言ってから、視線が合う。

薄い色の髪。

スッと長く伸ばした髪の奥で、小さくなる瞳。



私は今、ちゃんと、この人と同じものが見えているんだ、と嬉しくなった。

うっすらとした月明かりで、彼の表情が浮かび上がる。

とても綺麗な(あお)

私の、いちばん好きな色。



____私はその碧を、もっと見てみたくなったんだ。