____ガチャ。
扉の奥には、ガランとした室内。
部室棟の一番端。
1人になりたいとき。私はたまにここに来て、ちょっとだけ反省会をする。
____思ったことすぐに言っちゃうの、直したほうがいいと思う。
そんなの、私が、いちばん思ってるって。
さっきのことを思い出してうずくまる。
「はぁー‥‥‥‥‥」また、やっちゃったなぁ‥‥‥。
しばらくそこで小さくなって、そろそろ帰ろうかと顔を上げかけたとき。
ガチャ、と部屋に光が差す。
え、うそ、誰かきた。
ここ、使ってたんだ‥‥‥‥。
その人は私には見向きもせずに窓の前までつかつかと歩いて行く。
どさっ、となにかを取り出してから鞄を放り投げる。慣れているみたいだった。
もうずっとここにいる人なんだ、とその空気で分かった。
いつの間にか、出るタイミングを逃してしまったことを、今更に気がつく。
ガチャガチャと組み立て、それを上に取り付ける。
____望遠鏡、だ。
よく見る白くて大きいのではなくて、なんだか黒っぽい、ところどころきらきらとしたデザイン。
きっとこれは、今のじゃないんだと、直感が言う。
「うーん、やっぱ見えないか‥‥‥‥‥」その人はガシガシと短い髪の毛を掻いて、スマホと丸くて青いものを見比べる。
星、見てるんだ。
今日は空が青くて、きれいだもんね。
窓に映る暗がりの中に、いくつもきらきらと輝いているのが、目を凝らすと分かる。
ふわ、と窓からの風が髪を揺らした。
____気がついたとき、私はそこに立っていて。
背中も横顔も、全部が「星が好きだ」と言っている人だった。
「なに見てんの?」
「こと座流星群」
言ってから、視線が合う。
薄い色の髪。
スッと長く伸ばした髪の奥で、小さくなる瞳。
私は今、ちゃんと、この人と同じものが見えているんだ、と嬉しくなった。
うっすらとした月明かりで、彼の表情が浮かび上がる。
とても綺麗な碧。
私の、いちばん好きな色。
____私はその碧を、もっと見てみたくなったんだ。



