自分が大嫌いだ
神に呪われている

僕「!!」
追っ手から逃げていた僕に何かの光が差した
僕「何だ。月の光か…」
月の光でよかったと僕はほっとする
追っ手「おいっ!生贄がここにいるぞ!」
(っっ!早く隠れないと)
そう思い、近くの洞窟の中へと入った
(はぁ、何で僕が追いかけられるんだよ…)
しばらく洞窟に隠れて追っ手がいないことを確認した。(せめて水を飲むだけでも…)
素早く洞窟から抜け、逃げる途中で見つけた川へと行く。水面に映る自分を見ながら
僕「はぁ、役立たずか…。名も与えられない僕にはぴったりかな」
そう言った川の向こうで何かがドサっと落ちた気がした。落ちると同時に誰かの「いった!!」と言う声もした。まずい追っ手だ、いま見つかるわけには行かない。そう思ったが僕の後ろで
追っ手「いたぞ!!」
僕「挟まれた!!」
追っ手が僕に拳をあげる
(あぁ、もう逃げきれない。限界だ…)
目を閉じ、受け身の体制をとる。
拳が振り下ろされるその時ーーーー
???「ちょぉとまったぁーー!!」
(え?誰?)
誰かの声で殴られることがなくてよかった思った。
森の奥から、黒いフードで顔や服装を隠した人物が静かに現れた。
???「君、大丈夫?」
僕「は、はい……」
???「うーん。この人たちは君の敵、みたいだね。君!少し時間をもらうね。」
彼は手をひらりと振ると、風がどこからか舞い上がり、追っ手たちをあっという間に吹き飛ばした。
一撃で追っ手は倒れ、周囲は静けさを取り戻した。
一瞬だ。ほんの一瞬僕が瞬きするかしないかの間で彼は追っ手を追い払った。その動きはとても綺麗で鈴が鳴ったようだった。
???「まぁこんなものかぁ、じゃ行こっか」
僕「…え?…」
彼は僕の手を取り指をパチンッと鳴らすと、僕たちは光に包まれ、気がつくとどこかの見知らぬ部屋に転移していた。
???「君、この後どうしたい?」
少し心が動いた気がした。この人なら僕を救ってくれるのかもと…ザッザザッッ…頭の中にある記憶が蘇る。殴られる日々、一度村の同い年に裏切られた、空腹で倒れる瞬間。
(今助けられて、また裏切られるかもしれない…
冷静になれ、ちゃんと言葉を選んべ!)
僕「……えっと、僕は村で役立たずな存在なので、あなたには得がないと思います」
???「ええ〜!そんなこと言わないでよ!」
僕「っ!!。あなたに、あなたに何がわかるんですか!!明日生きているか分からないのに、今更どうしたいとか言われても困ります!」
そう言った後後悔した。いくら酷い目に遭ったとしてもこんなこと言っていいわけがない。僕がずっと俯いていると彼が自分の背をかがめてき、僕と視線を合わせた。
???「そう…だよね。ごめんね〜俺みたいな知らない人に連れてこられても困っちゃうか。」
初めてだ僕と目線を合わせてくれたのは、口調も優しい僕の中でぐちゃぐちゃになった感情が落ち着いた。
???「あっ!名前言うの忘れてた〜。俺の名前は朱雀(すざく)。ここだけの話、俺違う本当の名前があるんだ。みんなから朱雀様って言われてるけど朱雀って呼んでいいよ。ねぇ、君の名前教えてくれる?」
(朱雀…様。僕を助けてくれた朱雀様。でも僕には…)
僕「…ありません。名前、僕にはないです。役立たずなので。」
朱雀「そっか。じゃあ俺が名前決めるね!!」
僕「えっ決めてくれるんですか!?」
朱雀「え!!あたりまえだよ。だって名前は自分が生まれて初めて貰う大切な、とっても大切なプレゼントなんだから」
(この人なら信じてもいいかもしれない。大丈夫そう)
朱雀「うーん。レイ…違う。なぎ……!!これだ!!君の名前は今日からなぎだ!!俺から君へのプレゼントだよ!どう、かな…?」
(…最後僕に選択肢を与えてくれてる。僕が決めてのいいの?…。なら!)
僕「なぎ…。いい名前ですね!!最高のプレゼントありがとうございます!朱雀様。」
(よかった。ちゃんと名前で言えて。)
なぎは満面の笑みで感謝した。
朱雀「!!よかったー。なぎは笑顔でいるのがいいよ」
(そう言ってもらえたの初めてだ。今日は特別な日かもしれない。)
朱雀「ねぇ、少し考えてみたけど。なぎ、俺の側近にならないかな?なったら俺が助けれる。君を笑顔にすることもできる。自分で決めてもいいよ」
僕「信じます!!朱雀様を、なので僕をあなたの側近にしてください。」
朱雀「や、やったー。やっとだ!いやー俺の上司に早く部下を作れって言われてさ、頑張って探してたんだよね。でも拾った子が部下になってくれるなんて嬉しいなぁ。シアン様びっくりする!絶対するよ。言われてその日に部下を作っちゃうなんて。」
(シアン様…朱雀様の上司様かな。)
僕「朱雀様!!あの、僕失敗することもあると思いますが、これからよろしくお願いします。」
朱雀「うん。これからよろしくね、なぎを救えて嬉しいよ。」
ほっとした。もしかしたら僕を部下にしてくれることが全部僕の幻じゃないのかと。
落ち着いた時、頭がぐらぐらした。
(あっ。これ、まずかも)
なぎは急に倒れた。
朱雀「え!ど、どうしよう。そうだ!ロゼのところに連れてこう。」
(朱雀様が上司で良かった。)
そう思いながらなぎの意識は途絶えた…