運命だと思った。


恋に落ちるってこんなにもわかりやすいんだと思った。


耳がカッと熱くなり、じんわりと熱が頬に伝わる。

ドクドクと身体中が心臓になったみたいに大きな音を立てる。

私は思わず両手で顔を覆い、中指をそっとずらし、1人の男子に視線を送った。


朝の混雑した車内で何をするでもなく、ただじっと外を眺めている『彼』


私の小さなロマンスはここから始まった。