======== この物語はあくまでもフィクションです =========
 ============== 主な登場人物 ================
 中津敬一警部・・・警視庁テロ対策室所属。副総監直轄。
 中津[本庄]尚子・・・弁護士。中津と事実婚だったが正式に結婚した。(今回は出番無し?)
 中津健二・・・中津興信所所長。中津警部の弟。実は、元巡査部長。
 中津[西園寺]公子・・・中津健二の妻。愛川静音の国枝大学剣道部後輩。元は所員の1人だった為、調査に参加することもある。
 泊哲夫所員・・・中津興信所所員。元警視庁巡査。元夏目リサーチ社員。
 泊[根津]あき所員・・・中津興信所所員。元大田区少年課巡査。同僚の泊と結婚した。
 高崎八郎所員・・・中津興信所所員。元世田谷区警邏課巡査。EITO東京本部の馬越と結婚した。

 新里[筒井]警視・・・警視庁テロ対策課勤務。

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 ==EITOとは、Emergency Information Against Terrorism Organizationを指す==


 午後1時。中津興信所。会議室兼所長室。
 マルチディスプレイに、肩肘ついた中津警部が映っている。
 「何だよ、兄貴。映るそうそう溜息かよ。また、奥さんに殴られた?不倫もしていない品行方正な夫に。」
 「健二。後ろ後ろ。」
 中津健二所長の後ろには、恐ろしい兄嫁が立っていた。
 「今、殴られたって言ったよね?」
 「言いました。」「言いました。」公子と根津が言った。
 「失言です。撤回して謝罪します。」
 「いつも、そんなこと言ってるの?」
 「言ってます。」「言ってます。」
 「以後、反省します。」

 彼らのやり取りに泊と高崎は、固まっていた。
 「昨日は、何の日だっけ?」「9月15日、ですね。」
 「敬老の日、ですね。警部はまだ・・・。」高崎が言いかけると、「まだ、敬老でもない。で、昨日、デパートで置き引き3人組に出くわした、って話。」と、本庄は言った。
 「ひょっとしたら、ランドセルの?」と高崎が改めて尋ねた。
 「ニュースになったからな。俺達が取り押さえたのは2人。3人目は逃げられた。逃げられた方は夏目リサーチに調査を依頼した。取り押さえた内の一人が連行中に暴れ、滑って転んで大怪我。今、病院だ。で、怪我した奴から『変だ似る』の成分が体から出た。つまり、ただの置き引き犯人じゃない。奪おうとしたランドセルからも『変だ似る』が出た。臭うだろ?」
 「麻薬だけに?・・・ごめんなさい。緊迫場面だった。」と健二は素直に謝った。
 「病院に行って。警護のカバー。半グレか反社かマフィアかが絡んでいる。奴らはね、ケビィちゃんのストラップで間違えたの。置き引きだーって叫んだ声に気づいて行ったんだけど、そこのお祖母ちゃんが孫に買ったランドセルは、まだ現場にあったの。同じストラップがランドセルに付いてた。」
 本庄の説明に、「詰まり、そのストラップを目印に、『ヤク』の取引が行われていたんですね。」と、泊が言った。

 ある、都内の病院。
 外国人らしき集団が、病室に押し寄せてきた。
 中津警部、中津健二、泊、高崎、根津は容赦なく応戦した。
 新里警視がやってきて、片っ端から投げ飛ばした。
 「ニッポンの警察を舐めるな!!」
 "Don't underestimate the Japanese police"
 新里は、日本語と英語で彼らを『平定』した。

 「ここにいる訳ないのにね。」と、中津警部は言った。

 午後5時。中津興信所。会議室兼所長室。
 「どうやら、仲間割れらしい。隣国人だ。後は夏目リサーチの結果次第だな、3人目は。」
 「しかし、なんで敬老の日なのに、孫にランドセル買う日になったんですかあ?」と、泊が言うと、「マスコミの商戦よ。下らない。なんで、右にならえするのか。」と、画面の本庄は言った。そして、マルチディスプレイから消えた。

 「民衆は踊らされやすい、か。難民と嘘ついて『陣取り』するような民族を『可哀想』扱いするからな。不法移民は犯罪だよ。」と、高崎は言った。
 「じゃ、これから子作りするから、店終いね。」と、公子は、さらっと言った。
 3人は、黙って、トイレの通用口から帰った。

 「お前、露骨なこと・・・。」
 振り向いた健二は、露骨なことを言った意味が分かった。
 公子は、バニーガール姿だった。
 「飯は?」「あと。」「はい。」
 兄弟揃って恐妻家だった。

 ―完―