======== この物語はあくまでもフィクションです =========
 ============== 主な登場人物 ================
 中津敬一警部・・・警視庁テロ対策室所属。副総監直轄。
 中津[本庄]尚子・・・弁護士。中津と事実婚だったが正式に結婚した。(今回は出番無し?)
 中津健二・・・中津興信所所長。中津警部の弟。実は、元巡査部長。
 中津[西園寺]公子・・・中津健二の妻。愛川静音の国枝大学剣道部後輩。元は所員の1人だった為、調査に参加することもある。
 泊哲夫所員・・・中津興信所所員。元警視庁巡査。元夏目リサーチ社員。
 泊[根津]あき所員・・・中津興信所所員。元大田区少年課巡査。同僚の泊と結婚した。
 高崎八郎所員・・・中津興信所所員。元世田谷区警邏課巡査。EITO東京本部の馬越と結婚した。

 依田俊介・・・伝子の大学の翻訳部の後輩。高遠学と同学年。あだ名は「ヨーダ」。名付けたのは伝子。やすらぎほのかホテル支配人。
 井関民恵・・・警視庁鑑識課井関権蔵の妻。井関五郎の母。
 井関[新町]あかり・・・五郎と結婚、EITOを離れた。みちるの後輩で仲良し。


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 ==EITOとは、Emergency Information Against Terrorism Organizationを指す==

 ※このエピソードは、「大文字伝子が行く347」(大文字伝子の冒険386)より前の出来事です。
 ※「東京都における煙火の消費に関する基準」では天候による中止の要件として、「地上風速7m以上の強風が10分以上継続して吹いている場合」「打ち上げ現場に持ち込んだAMラジオの雑音回数が増え、音が大きくなった場合(落雷のおそれがある)」などとしています。 雨、風、雷のどれもが花火大会には招かれざる客といえるのです。

 8月10日。午後3時。中津興信所。会議室兼所長室。
 千葉県の花火大会は、天候不良のため中止になった。
 中津の女性陣は皆、ぐったりとなっている。
 お揃いの浴衣を新調したのである。
 「雨を恨むのはいいが、俺達を恨むなよ。」と、中津警部が言った。
 「17日までの開催予定だが、10日の分は、24日に順延になった。他にも雨で順延または中止になった花火大会があるんだし。」と、健二所長もなだめた。
 「質問!」「はい、公子。」と健二は妻の公子を指刺した。
 「花火大会の日と仕事、ダブらない?」
 「ダブる場合が多いかもな。OLみたいなこと言うなよ。」
 「そうそう。仕事はいつ入るか分からないからな。皆、大人でしょ。大人になろうよ。」
 珍しく、本庄は加勢した。
 「普通のお勤めじゃないんだから、ね。」

 「ね、何か焦げ臭くない?」と根津が言った。
 表がチラチラ明るい。

 皆が外に出ると、花火で遊んでいた子供達がオロオロしている。
 「バケツリレー!!」中津警部の一声で、皆はトイレから、バケツリレーして、燃えている立て看板を消した。
 子供達は四散した。
 「だから、木はダメって言ったじゃない!!」と泊に根津が食ってかかった。
 立て看板は、泊の自作である。防犯のチラシがよく警視庁から届くので、玄関に貼る訳にも行かず、作成したのである。
 本庄は、秘密の出入り口から、EITO秘密基地に行った。
 で、すぐに戻ってきた。
 「訴訟します。子供達の親に。」
 本庄弁護士の剣幕に、一同は驚いた。

 午後7時。中津家。
 健二のスマホ宛に、兄の中津警部から電話があった。健二はスピーカーをオンにした。
 「本郷さんから、防犯カメラの映像を提供して貰ったよ。はっきり映っている。たまたま、警邏が見かけた、という体裁(てい)で、所轄署から子供達の親に説諭して貰った。花火で遊ぶ時は必ず大人が付き添うことと、水の入ったバケツを用意すること。これは、消防と警察から回覧を廻して貰っている事案だ。注意喚起のいい案件になった。尚子には、まだ言ってないけど、公ちゃん、説得出来る?」
 「オッケーでーす。」公子は軽く返事をした。
 健二が電話を切ると、「一個、貸し!!」という妻に「恐いな。」と健二は呟いた。
 ―完―