======== この物語はあくまでもフィクションです =========
 ============== 主な登場人物 ================
 中津敬一警部・・・警視庁テロ対策室所属。副総監直轄。
 中津健二・・・中津興信所所長。中津警部の弟。実は、元巡査部長。
 中津[西園寺]公子・・・中津健二の妻。愛川静音の国枝大学剣道部後輩。元は所員の1人だった為、調査に参加することもある。
 泊哲夫所員・・・中津興信所所員。元警視庁巡査。元夏目リサーチ社員。
 泊[根津]あき所員・・・中津興信所所員。元大田区少年課巡査。同僚の泊と結婚した。
 高崎八郎所員・・・中津興信所所員。元世田谷区警邏課巡査。EITO東京本部の馬越と結婚した。
 新里あやめ・・・警視庁テロ対策室勤務の女性警察官。
 愛宕みちる・・・丸髷署勤務の女性警察官。

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 ==EITOとは、Emergency Information Against Terrorism Organizationを指す==
 ==エマージェンシーガールズとは、女性だけのEITO本部の精鋭部隊である。==

 ※公選弁護人とは、刑事事件の被疑者や被告人に対して、国が公費で選任する弁護士です。憲法によって日本国民には弁護人選任権が認められていますが、弁護士費用を支払うことができない場合は、国選弁護人制度を利用して弁護人をつけることができます。
 国選弁護人制度の利用条件は次のとおりです。
 1.被疑者や被告人が資力要件(現金や預金を合わせて50万円未満)を満たしている
 2.被疑者や被告人が「貧困」「その他の事由」により弁護人が選任できない
 3.被疑者や被告人以外の者が選任した弁護人がいない。

 午前9時。中津興信所。所長室兼会議室。
 「許せる訳ないわよ。相手は死んでるのよ。だから、言ってやったの。口論で殺していいって、法は日本にはないって。」
 本庄弁護士が怒っているのは、司法書士の友人から紹介された男の裁判の弁護だった。
 高速道路上で、ウインカーを出しているのに気がつかなくて接触しそうになった被害者と路肩で口論になり、被害者が自動車に手を掛けているにもかかわらず、同自動車を発進させて走行し、被害者を転倒させて怪我を負わせて逃走したという事件だった。
 後続車のドライブレコーダーに一部始終が撮影されており、後続車のドライバーが救急と警察を呼んだ。
 病院に搬送されている途中、被害者は亡くなった。事件は『障害』から『傷害致死』になった。
 ナンバープレートから指名手配され、すぐに逮捕された被疑者は容疑を否認した。
 被疑者に有利な案件ではない、と公選弁護人は辞退した。
 替わって被疑者の弁護をする為に、被疑者の知人である司法書士が本庄弁護士に依頼してきたのだ。
 明らかに、『殺人』であり、『口論』は『情状酌量の余地無し』と判断される。
 「で、お義姉さん、その司法書士さんは義理ある人なの?」
 「全然。司法書士事務所にも縁を切るって言ってやったわ。」
 本庄は、義妹に当たる公子に憤然として言った。
 「まあ、誰が弁護に立っても、有罪だよね。成人だから、『被告の将来を』じゃない。ところが、被疑者は阿寒国人の3世だ。裁判長は2世だ。妙な判決にならなければいいけどね。最近は、本来は『国を持たない民族』の『来来人』がレイプされても警察も司法も黙って好き放題している地域がある位だ。那珂国人だけじゃないんだよな、日本民族の敵は。那珂国人は、『合法的』に転売で日本の土地を買うが、やつらは勝手に住み着いている。で、権利権利を騒いでいる。帰化してから権利を言うのが筋なのに、『どこのものでもない土地』を『先に見付けた』みたいに言っている。彼らがやって来た、元の国のトロッコ共和国では強制送還してくれれば、対処すると言っているのに、変な団体がかばい立てしている。今回の案件が『来来人』なら、起訴すらされないかもな。」
 中津警部が溜息混じりに言った。
 「で、兄貴は何をさせたいの?」と、中津健二は言った。
 「ドライブレコーダーのデータがあるって言ったろう?そのドライバーに『コバエ』が寄ってくるのを何とかして欲しいんだ。今の例でなくとも、どんな奴らが後ろにつくか分からないからな。」
 午前10時。春山家。
 提出したドライブレコーダーのデータの持ち主のドライバー、春山悦子は、マスコミに取り囲まれそうになった。
 「何か御用かしら?」と、公子は言った。
 一方、悦子の夫、守は、市役所に出勤すると、反社らしき男達が担当受付に殺到した。
 「春山って職員はいるか?」「いません。」
 どこからか、『返答用』の声が言った。
 「館内放送です。ナンバープレート『〇〇』のドライバーの方、お車の移動をお願い致します。駐車違反です。」
 男が市役所を出ると、外には、愛宕みちると新里あやめが待ち構えていた。
 そして、いきなり手錠をかけた。
 ―完―