冷淡な玄武様はオッドアイの神子の愛に溺れる

香夜は午後の授業に出るため少し遅れて学校に向かう。
担任の雪村には欠席理由を伝えているので問題ないし今日一日欠席でもよかったのだが、午後からは通常授業の予定を変更し近々、社会科見学でアヤカシ界に行くのでクラスで話し合いやらが行なわれるので、香夜は参加しに行く。
天界も未知だがアヤカシ界も未知の世界で楽しみではある。

移動中、水無月は愛しの葵を想いモフモフの毛が更にモッフモフになって海や空を寂しそうに眺めていた。

香夜が教室に恐る恐る入るとザワッとなり一気に注目を浴びる。
遅刻や保健室から戻る時はクラス中から視線を向けられ気まずいアレだ。

机とイスがちゃんとあることに、まずはホッとする。
転校してきた翌日に机とイスは捨てられたのだが、その一度だけで何もされていない。

教室を見回すと昼休みのようで食事をしている生徒がいた。香夜は麗菜子と目が合い、思わず「あ!」と言ってしまう。
麗菜子はギロッと睨みつける。
香夜は麗菜子が制服ではなく私服に気づいた。

「麗菜子さん、もしかして昨日…お漏らし……粗相したの?」
「なっ!?…うるさい!!うるさい!!」
麗菜子の怒りから間違いなさそう。
麗菜子や京介に限らず霊力の強弱くらいはわかる島の住人たちは四神が2人と霊力が強力な紅葉にわかる人にはわかる榛名の神通力……そんな存在が現れたらもはや大災害レベル……いや、恐怖の大魔王ノストラダムスがやってきたようなもの。
島全員が知っているわけではなさそうなのが幸いか。

「どういうこと?麗菜子様が私服でいらした時にビックリしたんだけど理由教えてくれなくて」
「昨日、白虎様と青龍様が神子様を連れて北ノ島の観光をされて麗菜子さんと京介さんは特に西ノ島の歴代5本の指に入るほど霊力が強い白虎様の神子様に制服が濡れるほどビビりまくっていて…」
「だから喋るな!!」

麗菜子の取り巻きとはいえ、クラスメイトに話かけられて嬉しくなって話してしまい麗菜子に止められる。
香夜も麗菜子に配慮がなかったと気づいて、何も言わなかった。
教室でその話を聞いていたであろう取り巻きではない中立の生徒たちはプッと笑ったり、親か近隣から聞いたのか白虎&青龍が来たと話を知っていたものの半信半疑だった生徒たちは事実だと知り話が盛り上がる。

午後の授業が始まる。
アヤカシ学科の光璃がやってくると生徒たちは話をやめそれぞれの席につく。

「じゃあ授業を始めるよ。今日から何回かにわけてクラスで話し合いをしてもらうけど、まずはしおりを配る」

山のように持ってきたプリントを配る光璃。
生徒が1枚ずつとり後ろの席に回すのだが、香夜にはわざと床に投げたり、両隣の席の生徒から「ごめ〜ん」と笑いながら破ったり、ぐしゃぐしゃに丸めてゴミ箱に放り投げる嫌がらせ。
香夜は「やめて」と言ったが逆効果のようでニヤニヤしていた。

そんな香夜を光璃は新しく綺麗なプリントを渡してくれた。
「ありがとうございます」
「ううん。予備があってよかったよ」 


プリントを番号順に折り揃えてホチキスで留める。
しおりをペラペラめくるとルートが決まっていたり簡易的な地図があるが絵では特別に変な…アヤカシ界特有の珍しそうなものがなかった。

「スケジュールにある通り、基本的にはクラス全員でまわるけどカッコ内の部分が空白になっている部分がある。いくつか安全な場所をピックアップしているから選んで見学になる。…じゃあ学級委員長にバトンタッチね」

ピックアップされた場所はアヤカシの番になる女子向けが多い印象。
リスのアヤカシによるアヤカシの界の料理体験、虎のアヤカシが営む病院、シロクマのアヤカシの美白エステやグリズリーのアヤカシの日焼けサロンなど。
男子生徒が好みそうなアヤカシの能力疑似体験などもある。
多数決で決まるとしおりに予定を書き込む。
楽しみで仕方がない香夜。

「香夜、嬉しそうエマね。オイラも香夜のボディーガードとして付いて行くエマ〜」
「ありがとう、水無月ちゃんがいたら安心ね」
顎をこちょこちょしてあげると目を細め「ジュルリ」と鳴く水無月。