冷淡な玄武様はオッドアイの神子の愛に溺れる

「こっちでいいですぅ?」
「うん。ありがとう」
「キツネさんおはようなの〜」
翌朝、翡翠の使いでもある動物たちのご飯の準備を十六夜の使いであるムクとミクが手伝ってくれる。

「葵様、オイラの宝物の木の実あげますエマ!」
「はぁ?ワタクシは魚しか食べないですわん」
「エマぁ………」
目を輝かせながら葵の前に木の実を置く水無月だが、見向きもされなていなかった。

「みゃ!みゃう〜!」
「にゃ!にゃ!」
「めんこいお嬢さん方、あっしの尻尾は猫じゃらしじゃねぇんで…」
パフェとチョコが豆福助のフリフリしている尻尾にじゃれている。

昨晩、色々と吐き出したのが良かったのか気分が清々しい。
香夜たちも賑やかな朝食を終え、会議がいよいよはじまる。

香夜は今朝からずっと無言の翡翠が気になっていた。
無表情ではあるが話しかけると高確率で反応してくれるのだが、今日は朝の挨拶をしても無視。

気になりつつも会議が始まってしまう…。

『じゃあはじめるね〜』
風雅が軽いノリで号令。

『今回の議題は東西南北の4つの島の掟についてだ。オレは紅葉が気に入ったこともあって半年ほど紅葉の家に滞在していて、年数回の視察ではわからない、色んな事を経験し触れて来たから掟を時代に合わせ変えていくべきだと考えた』
軽いノリだった風雅が真剣な顔つきになる。
紅葉は苦い顔をし十六夜と榛名は既に会議の議題について聞いていたのか難しい顔をする。

『……無理ですね』
翡翠は否定。島に住んでいない外部の人間である香夜には話が読めない。
察した十六夜がわかりやすく解説してくれる。

『香夜とか言ったな?翡翠から何故、4つの島に移ったかわかるか?』
「アヤカシが女性を攫ったからですよね?」
『ああ。当時はアヤカシの存在を知らない者たちから神隠しだと問題視されていた。だから神はアヤカシに取引を持ちかけた』

霊力のある4つの島に分けた。アヤカシには能力があるのでその力で日本の災いを守ったり毎月の物資やらを霊力のない人間たちに存在がバレずに運んだりしている。
分けたことでアヤカシも番が探しやすく、霊力だけではなくお互いに愛をしっかり育《はぐく》めるようになったんだとか。
変わりに人間は島から出られない掟。
神子は特例だが、島によっては漁師や物資の手伝いで島を出られるが規定やらが厳しい。
それでも昔よりは温和され、北ノ島で例えるなら左ノ島のように近くに無人島があれば行くのは可能にはなった。
しかし島から出られないゆえに香夜が住んでいた霊力がない人間の住む…島の住人たちが「街」と呼んでいる場所の技術や時代の進歩が遅れていることを懸念していた風雅。

他の島は北ノ島のように電気などのライフラインすらない。とはいえ、翡翠の神通力によって電気などの供給がされているだけで技術的には他の島同様だ。

テレビもなく電話どころかスマホもパソコンもない。得られる情報は雑誌とアヤカシの話のみ。
医学だけはアヤカシから技術を学んでいる。


香夜はなんだか罪人みたいと思った。
アヤカシの繁栄のためだけの島…島の住人側にメリットはない。そんな風に考えてしまった。

「仮に島に移住せず街に住んでたとして、現代だと戸籍ってので管理されてるんでしょ?番同意でもアヤカシの世界に行くんだから、いなくなれば不自然になる。だから神様の判断は間違いではないと思うのよね。あ〜女のアヤカシが産まれないせいよ!腹立つわ!!」
紅葉は話ながら呆れたり髪をワシャワシャし、乱れた髪を風雅に直してもらう。

「あの…なぜ女性のアヤカシが産まれないんでしょうか?」
発言権があると聞いていたが恐る恐る小さく手をあげ尋ねる香夜。

『さぁ?オレたちは神獣とはいえ神の部類だけど、どんな神でも万能じゃないんだよ〜だからアヤカシの世界は管轄外でわからない。稀だけど女性も産まれるよ。でも何かあったのかもね〜?』

「原因がわかりゃ苦労しませんねぇ…」
『アヤカシ側も原因と解決策がわからないんだろう。根は深そうだな』

『そこらへんは今後だね〜とりあえず今は島のこと考えようよ〜〜オレらより住んでた神子側の島の印象や悪い部分教えてほしいな。まずは榛名ちゃんから』

「はい。私が生まれた東ノ島は霊力の強さや番のアヤカシのランクで上下関係がありました。私は霊力がないので島中から酷い扱いを受けましたが、青龍の神子になると態度が変わりましたね…。十六夜様と住み、生活品を買うために街に行くようになって私にとっては世界が変わるほど刺激的でした」

香夜にとっては当たり前は島に住む者にとっては魅力的に見えたのだろう。