🎄倦怠期で迎えたクリスマスイブ


 雪で白くなった夜をふたりきりで歩いている。
 最近、「好き」って言ってくれる頻度、減ったよね。

 だから、最近の私は倦怠期なのかもって、少しだけ拗ねていて、
 君と一緒に暮らしているのに、
 クリスマス前でより、私の気持ちは揺れていた。

 「やっぱり、落ち着くかも」
 「落ち着くってどういう意味?」
 「好きってことだよ」
 
 そうさらりと言われて、
 その一言で嬉しくなった私はバカだよね。 
 
 うちに帰ったら、
 君が好きって言った記念に、
 生クリームたっぷりの5号のケーキ、一緒に食べようね。






🎄青白い世界で手を握ったままでいようね



 LEDで青白いクリスマスツリーを眺め、
 君と冷えた夜を共有できるのが嬉しいよ。

 街は今日も雪で凍りついているけど、
 切なさを凝縮した白色に染まっているね。

 手を握ったまま、
 来年もふたりで青い思い出をたくさん作ろう。




🎄君と笑いあえたら


 半額のオードブルと、ケーキを買って、
 忙しかった今日を駆け抜けたふたりは、
 ようやくクリスマスを彩れるね。

 イルミネーションを眺めることも、
 冷たい空気を吸えているかどうかも、
 わからないまま、12月は駆けていくみたいだったね。

 それでも、強いふたりはすれ違いも笑い飛ばし、
 1と1をプラスしたような未来はカラフルに思えるよ。

 だから、今日の夜更けは、それを確かめるために、
 しっかり生クリームの甘さを共有しようね。





🎄君はただ、疲れてるだけだよ。


 静かに肩を震わせ、
 泣き始めた君の青の涙を拭いたいから、
 疲れ切った君を、ただ、抱きしめたい。





🎄こうやって、親密さを紡ぎたい


 声を出して君と笑い合うだけで、
 なんで、こんなに親密で切なくなるんだろう。





🎄恋をもっと夢中にさせて。


 初雪に夢中な君と一緒に、
 ずっと、君と青い夢を見続けていたい。





🎄雪が降る街で君とはしゃぎたい。


 雪が降る街のなかで、
 雪だねって、ふたりではしゃぎながら、
 ただ、君の手を繋いだままでいたい。




🎄にぎやかな中でも、世界はふたりきりみたい


 赤と緑と電球色でクリスマスになった世界で、
 凛とした空気の中で、
 ホットワイン飲むのは最高だね。

 君の自由と、私の自由を混ぜて、
 雪で白くて静かな世界をカラフルにしたい。





🎄最高に寒くて、暖かいね


クリスマス色したイルミネーションの前で、
君と寒さを共有しながら、
今の幸せと悲しみを保存するみたいに、

iPhoneで自撮りして、
ふたりきりの世界をデータに残すのが、
最高のプレゼントに感じるよ。






🎄雨のイルミネーション


 雨で濡れたアスファルトに
 イルミネーションのLEDが青白く反射して、
 いつも見慣れた街がファンタジックになっていた。

 君に言えなかったこととか、
 そういうことを魔法にかけて、奇跡を起こしたい。

 水が合わないなら諦めてしまえばいいけど、
 まだ、君を諦めたくない。

 君に会いたい。





🎄クリスマスの思い出


 クリスマス色のイルミが、あまりにもきれいだから
 雰囲気に飲み込まれそうになる。

 肩くっつけて、自撮りしたら
 最高に青い写真ができた。

 撮ったあと、しばらくあなたと
 そのままでいたかった。
 だけど、そうしなかった。

 このまま、魔法にかかったように
 あなたと奇跡を一緒に共有したい。





🎄君の雪乞いは最高だね


 大好きな季節の中で君とはしゃぐのは最高だね。
 イルミネーションを背中に抱えて、
 カラフルな世界をiPhoneで自撮りして。

 君の微笑みは最強の武器なのに、
 それを簡単に使えるのは、君がはしゃいでいる証拠だね。

 冷たい世界をデーターに仕立てたあとに、
 そっと、手を繋いでゆっくり歩き始めた。
 あとで楽しかったことをスタバで振り返って、
 最後まで、はしゃいで思い出を深くしようよ。

 空から綿のような雪が振り始めて、
 君は右手をそっと空間に伸ばして、
 何かを掴もうとした。




🎄隣の君はいつも違う世界を見ている


 巡る季節の中で、
 あなたと私は取り残されたみたいに、
 無口なまま手を繋ぎ、雪を踏みしめている。

 雪が降り積もった静かな朝の中を
 ゆっくり切り裂いているみたいだね。

 冷たい手で美しい世界を描く君の才能は、
 スノードームを振ったような揺らぎで、
 それは、切なくて最高の世界だよ。

 きっと、今この瞬間も私には見えない何かを
 あなたは受け止めているのかな。

 それがたまに寂しくなるときもあるよ。
 そんな離れそうなあなたを離したくない。





🎄クリスマスはゆっくり進む


 クリスマス前のカフェは騒がしさとは無縁で、
 君とのんびりした希望を話すのは、
 なんだか、はぐれた2羽のペンギンみたいだね。

 窓越しの世界は白色に染まっていて、
 きっとこのまま、綺麗な季節が落ち着きそうだから、
 そっとしてほしいって、ふと思った。

 君の小指、イエローゴールドを反射させ、
 君はそっと、マグカップを持ち上げた。

 「君の口元まで来るとカップが大きく見えるよ」
  小声でそう伝えると、
  君はココアを飲んだあと、そっと微笑んだ。

 「ずっと一緒がいいな」って、
 マグカップを置きながら、君は透明な声でそう返してくれた。
 




🎄12月は昔の夢が詰まっている


 イルミネーションされた街を
 カフェ代わりにしたデニーズから眺めている。

 並木道が青白く放たれているから、
 思わず、うっとりしてしまうよ。

 持ったままの読みかけの文庫に栞を挟み、
 そっとテーブルに置いて一息ついて、
 誤魔化してきた気持ちを少しだけ思い出した。

 左の薬指は照明で弱く輝きを放った。
 冷えた世界で一人で息をしているみたいに
 孤独を強さに変えるように、
 頭の中で大好きな曲を再生した。

 すれ違った恋は簡単には戻らないけど、
 あのときのことを思い出してしまって、
 憂鬱になっているのはどうしてだろう。

 あと少ししたら、
 また忘れて今に戻るよ。




🎄クリスマスマーケット


 クリスマスマーケットは暖かい色している。

 クリスマスイブを君と過ごすのは最高で
 まだ緊張するけど、君の横にいることに少し慣れてきた。

 手を繋いだだけで舞い上がっちゃってさ。
 手袋越しに伝わる温もりは新鮮で胸がときめく。

 気持ち、落ち着かせるためにホットチョコ飲もう。




🎄楽しいことを共有しよう


 不思議な気持ちを追い求めるためにクリスマス色した街で、
 二人で歩いて気分を高めるよ。

 夜の街はいつものように冷たいけど、
 切なさはおいて、幸せを求めよう。
 そうやって、ファンタジックを君と分け合いたい。

 大人になると冷めてしまうから、
 今くらいは忘れてしまおう。

 ロマンティックを白い布に染めるように、
 憂鬱な毎日を衝動でカラフルに染めて、
 瞳の中に写った景色を楽しく話して共有しよう。
 LEDの輝きを追って、一緒に走り出そうよ。

 このまま夜の隅まで向かって、いつもの歩道橋まで行こう。
 そして、夜の忙しい国道をゆっくり眺めよう。



🎄クリスマスイブ


 マライア・キャリーが館内をクリスマスに染めている。

 アトリウムを貫く大きなクリスマスツリーは
 正統派なきらめきを放っていて、
 赤や緑に帯びた電球色にうっとりする。

 君と手を繋いだまま、
 こうしてツリーを眺めていると
 時間が止まったみたいで
 このまま何もかも終わらない気がした。





🎄初雪が降った街は


 ミルクと砂糖をコーヒーに入れて、
 ぼんやり初雪の街を眺めている。
 
 憂鬱な日々は変わらないけど、
 景色が変われば気持ちも変わりそうだね。

 切なさは青いって、いつも決まっていて、
 期限付きだった恋のことをふと思い出す。

 スプーンでマグカップの中に白い渦を作り、
 大好きな味に仕立てていくよ。

 昼に雪が簡単に溶けて消えるように、
 そんなことは遥か昔のことで、
 それをもう、取り返すことはできない。

 無垢なままじゃ生きていけないから、
 MacBookで仕事を確認して、
 身体を灰色に馴染ませていく。

 そして、朝の澄んだ世界なんて、
 無縁な世界に飛び込み、
 苦みを甘さで打ち消してしまおう。




🎄メリークリスマス


 去年、君とクリスマスツリーの前で、
 誓った約束は有効のままで、
 今、こうして、君と手を繋いでアトリウムの中に立っている、
 LEDで青色のもみの木を眺めている時間は、
 すごく大切になりそうだよ。
 
 外は雪が降っていて、冷たくて寒いクリスマスだけど、
 信じることでより熱くなる気持ちが溢れて、嬉しいよ。

 「来年も大切にするね」
 君が急に耳元でそう囁いた。
 
 だから、私はゆっくり頷くと、君はまた笑顔になった。
 オーロラを眺めるアザラシのように、
 今夜は二人でのんびりと、サンタクロースを待とうね。
 



【初出】

「倦怠期で迎えたクリスマスイブ」本編書き下ろし作

 蜃気羊X(@shinkiyoh)
 https://twitter.com/shinkiyoh

 2021,22,23年12月