【ある人物からの証言】
だから隠してたってわけじゃなくて本当に忘れてたんだって!
もう父さんも死んでるし、母さんは知らない話だし
聞いたのだってめっちゃ前で…
多分もう犬飼じゃないんだから、俺らは関係ないって
え?
いや……そりゃ、そうだけど……
わかったよ
ちゃんと話す、話すから
い、犬飼の家は、江戸時代庄屋で裕福だったんだって。
小作人っていうの?
いっぱい抱えててさ。
村長もやってて、明治に入ると息子たちはちゃんとした学校に進学して、村の人たちから信頼されてたんだって。
だけど、いつの頃かは知らないけどその息子の中のひとりに変な癖がある人がいて……
小児性愛者っていうの?
小さな女の子が好きっていう癖があったみたい。
そんな顔すんなって。
俺じゃないよ?ご先祖さんの話だもん。
で、そいつがこっそり村の子供にいたずらするってことが続いたらしい。
まぁ当然噂になるよな。
それで家族が慌てて本人を諌めて、やめさせるようとしたんだけど、なかなかうまくいかなくてさ。
そういうのって、抑えられば抑えられるほど欲求が強くなるっていうじゃん?
いや、俺の話じゃなくて一般的に!
で、困った親が、その……生贄っていうかさ……特定の子をそいつにあてがうことにしたらしい……
嫌な話だけど、そしたら誰彼構わずっていうのはなくなるからさ……
今だったら絶対に無理なやり方だけど、当時はそれができたんだって。
小作人の中には貧しくて小作料も納められない家もあったから、そういう家の子をうまいこと言って。
その子が逃げないように蔵に閉じ込めてたんだって。
だけど子供は成長するだろ?
だからその度に子供を代えてさ……そいつが死ぬまで続けたらしい。
その子達がどうなったかって?
……それは聞いてない。
で、それからしばらくして、村で異変が起きはじめたんだ。
蔵に閉じ込められたのと同じ年くらいの女の子が次々に死ぬことが続いて。
犬飼の家の子も、村の子も。
事後とか事件とか原因不明の病気とか。理由はいろいろなんだけど、どう考えてもおかしいって話になって。
蔵に閉じ込められた子たちの怨念だって皆怯えて、それで慌てて神社を建ててその怨念を鎮めようとしたみたい。
それが乙張神社。
自業自得だよな。
え?
どうして犬飼家以外の村の子も……って?
親父が乙張神社の神主から聞いた話では、その……
そもそも女の子を閉じ込めるって話はさ、村中が知ってたんだよ。
知ってて皆見て見ぬふりをしてた。
だから女の子からしたら、皆同じように憎んでるんじゃないかって話。
まぁ、そうだよな。
皆知ってたでしょ?
それで助けてくれなかったんでしょ?
ってこと。
乙張神社を建ててからも、女の子が亡くなることは続いたんだけど、代替わりして、その時のことを知らない家が増えるにつれて、ちょっとずつ減っていったらしい。
それから、よそから来た家の子も無事だったって話だ。
つまりあの話を知らない家には、あの呪いは免れるってこと。
……ただ犬飼家は別で、知ってるとか知らないとか関係なく、やっぱり女の子は死ぬんだって。
俺が知ってるのはこれで終わり。
だけど、大丈夫だって。
……うちはじいちゃんの代で養子に出て犬飼の姓は捨てたんだから。
俺なんかその土地に行ったこともないんだよ?
え?
確率が下がる?
……まぁそりゃ、知ってる人が増えれば、そうなるんじゃない?
だから隠してたってわけじゃなくて本当に忘れてたんだって!
もう父さんも死んでるし、母さんは知らない話だし
聞いたのだってめっちゃ前で…
多分もう犬飼じゃないんだから、俺らは関係ないって
え?
いや……そりゃ、そうだけど……
わかったよ
ちゃんと話す、話すから
い、犬飼の家は、江戸時代庄屋で裕福だったんだって。
小作人っていうの?
いっぱい抱えててさ。
村長もやってて、明治に入ると息子たちはちゃんとした学校に進学して、村の人たちから信頼されてたんだって。
だけど、いつの頃かは知らないけどその息子の中のひとりに変な癖がある人がいて……
小児性愛者っていうの?
小さな女の子が好きっていう癖があったみたい。
そんな顔すんなって。
俺じゃないよ?ご先祖さんの話だもん。
で、そいつがこっそり村の子供にいたずらするってことが続いたらしい。
まぁ当然噂になるよな。
それで家族が慌てて本人を諌めて、やめさせるようとしたんだけど、なかなかうまくいかなくてさ。
そういうのって、抑えられば抑えられるほど欲求が強くなるっていうじゃん?
いや、俺の話じゃなくて一般的に!
で、困った親が、その……生贄っていうかさ……特定の子をそいつにあてがうことにしたらしい……
嫌な話だけど、そしたら誰彼構わずっていうのはなくなるからさ……
今だったら絶対に無理なやり方だけど、当時はそれができたんだって。
小作人の中には貧しくて小作料も納められない家もあったから、そういう家の子をうまいこと言って。
その子が逃げないように蔵に閉じ込めてたんだって。
だけど子供は成長するだろ?
だからその度に子供を代えてさ……そいつが死ぬまで続けたらしい。
その子達がどうなったかって?
……それは聞いてない。
で、それからしばらくして、村で異変が起きはじめたんだ。
蔵に閉じ込められたのと同じ年くらいの女の子が次々に死ぬことが続いて。
犬飼の家の子も、村の子も。
事後とか事件とか原因不明の病気とか。理由はいろいろなんだけど、どう考えてもおかしいって話になって。
蔵に閉じ込められた子たちの怨念だって皆怯えて、それで慌てて神社を建ててその怨念を鎮めようとしたみたい。
それが乙張神社。
自業自得だよな。
え?
どうして犬飼家以外の村の子も……って?
親父が乙張神社の神主から聞いた話では、その……
そもそも女の子を閉じ込めるって話はさ、村中が知ってたんだよ。
知ってて皆見て見ぬふりをしてた。
だから女の子からしたら、皆同じように憎んでるんじゃないかって話。
まぁ、そうだよな。
皆知ってたでしょ?
それで助けてくれなかったんでしょ?
ってこと。
乙張神社を建ててからも、女の子が亡くなることは続いたんだけど、代替わりして、その時のことを知らない家が増えるにつれて、ちょっとずつ減っていったらしい。
それから、よそから来た家の子も無事だったって話だ。
つまりあの話を知らない家には、あの呪いは免れるってこと。
……ただ犬飼家は別で、知ってるとか知らないとか関係なく、やっぱり女の子は死ぬんだって。
俺が知ってるのはこれで終わり。
だけど、大丈夫だって。
……うちはじいちゃんの代で養子に出て犬飼の姓は捨てたんだから。
俺なんかその土地に行ったこともないんだよ?
え?
確率が下がる?
……まぁそりゃ、知ってる人が増えれば、そうなるんじゃない?



