小児科で看護師を勤める真栄田さんは、つい最近小児科に異動してきたばかりだった。元々は救急で働いて看護師としての技術を伸ばし、その後異動希望を出して小児科に配属になった。昔から小児科で働くのが夢だったので、異動が決まった時はかなり喜んだそうだ。
看護師としての知識や技術は申し分ない真栄田さんだったが、それでも小児科はまた別の技術も求められる。成人とは違った部分を必死に勉強しながら、真栄田さんは毎日を過ごしていた。
真栄田さんが勤務していたのは小児科内科だった。長期にわたる入院をする子も多く、そういった子は院内学級に通っていた。
院内学級とは、長期入院する子たちの学びの場を設けた特別学級のことで、M病院内にある。ずっと学校に通えないと学ぶ機会が減るだけでなく、友達と過ごしたりする社会性を育む機会も減ってしまう。院内学級はそういった子供たちをフォローする大切な役割がある。
もちろん急な体調不良にも対応できるし、一人一人の体力や能力に合わやすい。真栄田さんの病棟の子たちも、朝院内学級に出発し、十五時頃帰ってくる子が多くいた。
ある日、院内学級に行っている子を受け持つことになり、帰ってきてから話をしにいった。その子は由真ちゃんという三年生の女の子で、真栄田さんが異動してくる前から入院している子だった。
「由真ちゃーん? 午後の熱を測ろうか」
由真ちゃんは部屋でゲームをしている最中だった。真栄田さんは笑顔でそれを覗き込む。
「あ、ゲームしてるの?」
「お母さんが新しく買ってくれた。着せ替えが出来る!」
「お洒落なゲームだね」
「隣の麻美ちゃんにも貸してあげた」
麻美ちゃん、とは隣の病室にいる、小学二年生の女の子だ。二人は一緒に院内学級に通っているせいもあり、とても仲良しだった。
「麻美ちゃんも楽しんでた?」
「うん、今度通信出来るゲームをお母さんに買ってもらって、二人でやりたいねって話してるの」
にひっと笑って語る由真ちゃんに、真栄田さんは微笑ましく思いながら、熱を測り出す。
「麻美ちゃんと仲良しだねえ。院内学級でもよく話す?」
「休み時間とかは話したりもするよ」
「休み時間は何してるの?」
「んーと、最近流行ってるのは『イスルギさん』だよ」
「『イスルギさん』?」
真栄田さんは首を傾げた。初めて聞く遊びだったからだ。この職種のため、子供に人気のキャラや遊びなどには敏感で人より詳しい自覚があったが、まだまだ知らないことも多い。
「それ、どういう遊びなの?」
真栄田さんが尋ねると、由真ちゃんがたどたどしく説明してくれた。内容はこうだ。
看護師としての知識や技術は申し分ない真栄田さんだったが、それでも小児科はまた別の技術も求められる。成人とは違った部分を必死に勉強しながら、真栄田さんは毎日を過ごしていた。
真栄田さんが勤務していたのは小児科内科だった。長期にわたる入院をする子も多く、そういった子は院内学級に通っていた。
院内学級とは、長期入院する子たちの学びの場を設けた特別学級のことで、M病院内にある。ずっと学校に通えないと学ぶ機会が減るだけでなく、友達と過ごしたりする社会性を育む機会も減ってしまう。院内学級はそういった子供たちをフォローする大切な役割がある。
もちろん急な体調不良にも対応できるし、一人一人の体力や能力に合わやすい。真栄田さんの病棟の子たちも、朝院内学級に出発し、十五時頃帰ってくる子が多くいた。
ある日、院内学級に行っている子を受け持つことになり、帰ってきてから話をしにいった。その子は由真ちゃんという三年生の女の子で、真栄田さんが異動してくる前から入院している子だった。
「由真ちゃーん? 午後の熱を測ろうか」
由真ちゃんは部屋でゲームをしている最中だった。真栄田さんは笑顔でそれを覗き込む。
「あ、ゲームしてるの?」
「お母さんが新しく買ってくれた。着せ替えが出来る!」
「お洒落なゲームだね」
「隣の麻美ちゃんにも貸してあげた」
麻美ちゃん、とは隣の病室にいる、小学二年生の女の子だ。二人は一緒に院内学級に通っているせいもあり、とても仲良しだった。
「麻美ちゃんも楽しんでた?」
「うん、今度通信出来るゲームをお母さんに買ってもらって、二人でやりたいねって話してるの」
にひっと笑って語る由真ちゃんに、真栄田さんは微笑ましく思いながら、熱を測り出す。
「麻美ちゃんと仲良しだねえ。院内学級でもよく話す?」
「休み時間とかは話したりもするよ」
「休み時間は何してるの?」
「んーと、最近流行ってるのは『イスルギさん』だよ」
「『イスルギさん』?」
真栄田さんは首を傾げた。初めて聞く遊びだったからだ。この職種のため、子供に人気のキャラや遊びなどには敏感で人より詳しい自覚があったが、まだまだ知らないことも多い。
「それ、どういう遊びなの?」
真栄田さんが尋ねると、由真ちゃんがたどたどしく説明してくれた。内容はこうだ。