彼女が僕を呼び出したのは星空が綺麗に見える公園だった。彼女を探しているとベンチに座っている小さな背中が見えた。
「翠生、こんな時間にどうしたの?」
僕がそう声をかけると彼女が振り返った。ガラスのように透き通った綺麗な涙を彼女は目に浮かべていた。
「え、翠生?大丈夫?」
泣いている翠生を見て僕が慌てふためいていると、彼女が小さな口を開いた、
「ちょっと恭介くんに話したいことがあって。長くなっちゃうんだけど聞いてもらってもいいかな?」
小首を傾げて微笑みながら聞いてくる彼女の表情はいつもと違って笑顔の奥に大きな苦しみが感じられた。
僕が翠生の隣に座った。そうすると彼女は深く息を吐いて話し始めた。星空のどこか遠くを見つめながら。
「恭介くんは、人は死んだら星になるって話、信じる?」
唐突な彼女の問いに僕が呆然としていると、ふっと笑い、眼を細めて話を続けた。
「私ね、あの空で小さく光る星になりたいの。星って昼間は見えないでしょ?夜になって見ることはできるけど月より目立つことはない。不特定多数のひとつではあるけど、そのひとつ一つの光が誰かの心を救うことがある。そんな星に私はなりたい。大勢の人に注目されるんじゃなくて、たった一人でいいから、たった一人の大切な人にだけ見てもらえたら私はそれでいいんだ。」
そこで彼女は口を噤んだ。急に黙ってしまった彼女を心配に思い、僕がチラッと横目で見てみると、彼女の瞳から涙がとめどなく溢れていた。
「翠生?どうした?大丈夫?」
彼女がどうして泣いているのか全くわからず、翠生の小さな背中を優しくさすっていると彼女は小さく息をつき、僕に向き直った。
「実は私、恭介くんに話しておかないといけないことがあるの。」
 ̄ ̄ ̄先天性儚心症候群。
彼女は聞いたことのない病名を告げた。
