クッソ……
 今日もっ。

「ハァ、ハァ……っ」

 苦しっ……


 夜の静けさとともに、ふいに襲われる発作。

 ずっとこんなの、おさまってたのにっ。

 突然やって来る。
 何処からともなく、じわじわと覆いかぶさってくるんだ。

 黒くて重たい幕。
 全身包んで締め付けられてる……


 思い出したくない感覚を―――
 一番恐れている幻想を―――


 目をつぶっても、振り払っても……
 脳裏に見せつけて、重くのしかかる。


 逃げられない―――。
 もう、ダメか……


 落ちる、直前で消えていく。

 また来るよ……
 ひっそりと、何処からか声が聞こえて。

 体の奥底に傷跡だけ残して去る。

 精神崩壊、寸前だ。



 はっ!

「…………はぁ、……ふぅー」

 息……落ち着いた。

 灯り、あかりが欲しい……

 手探りでつかんだ。
 まだ震える手で、ガラケーを灯す。


 凜……

 画面の中で、凜の眠る姿が光る。
 弱った俺を、癒やすように照らしてくれる。

 すぅーっと寒気が払われて、ほんのり肌をあたためるんだ。

 ―――今だけ。
 カッコ悪くても、いっかな……?


「―――会いたい ……」

 画面の中の小さな灯火に……こっそりと、 キスを―――。