孝臣との再会から更に1週間後、父との話し合いが終わったと告げられた。何でも柚月がこちらに来てすぐ手紙を送っていたようだ。柚月に送ったプレゼントの存在を本人が知らないこと、会いたがってないと聞いていたが本人はそんなことを言ってないこと等事の是非を問いただす圧力の籠った手紙を父に渡した。今まで大人しかった柚月がいきなり影山家に乗り込んだ事で父は大いに焦り、往生際悪く直接話し合おうという祖父の要望、いや命令を避け続けたせいでここまで時間がかかったと祖父は語る。
プレゼントを渡していなかった件は預かってすぐ美月に見つかり、欲しい欲しいと駄々を捏ねられてしまいつい…という呆れたものだった。1度目はそうでも祖父は毎年送っているが何1つ貰ってない。それらも全て美月に渡していたのだ。曰くただでさえ義母や美月とうまくいってない柚月が影山と関わる事でこちらの歩み寄りを拒絶することを恐れ、影山との繋がりを断つために行ったと白状した。
「うまくいってないって、あんなに嫌そうな雰囲気出す人と仲良く出来ません」
義母は母に似る柚月が気に食わないのか、関わろうとしなかったし美月との接し方にも差があった。柚月に責任があるような言い方に腹が立つ。祖父も「何言ってるんだ」と怒りを露わにしたらしい。
使用人が嘘を吹き込んだことは知らないと主張していたが、それは主人が使用人を管理出来ていないことになる。その辺りも容赦なく追求したら父は黙ってしまった。祖父はここぞとばかりに自分達の要求を突きつけ、父に強引に承諾させた。父方の祖父が生きていた頃はともかく、今の東雲と影山の家格の差はあまりない。その上父達には柚月に関して実の祖父母である影山夫妻に虚偽の申告をしていたのだ。それ以前に反対を押し切って早くに再婚した負い目が父にはある。拒否する術はなかった。
柚月はそれから更に1週間後東雲家に戻ることになった。1週間の間に柚月が快適に過ごすための準備をしていたのだ。まず両親や美月に迎合して柚月に嫌がらせをしていた使用人を探し出して解雇させた。主人が蔑ろにしている娘を軽んじて何が悪い、と反省してない様子の者には次の職場の推薦状もなしに追い出したそうだ。そして使用人に対しての注意喚起。柚月はれっきとした東雲の娘であり影山の孫。使用人如きが軽んじていい存在ではない。柚月付きの使用人として影山から数人送り、常に監視している。もし怪しい行動を取れば…とたっぷりと脅した。
「いつでも遊びに来るのよ。連絡くれたら迎えをやるから」
「ありがとうございますお祖母様」
祖父はいつも通り仏頂面だったが「…暇ならいつでも来い」とボソリと呟いた。柚月はにっこりと微笑んで影山家を後にしたのだった。


