死に戻った私の幸せな人生


孝也の指摘に柚月はドキッとした。そうだ、今の自分は12歳なのに22歳のまま喋ってしまう。そんな柚月を孝臣は鋭い目つきで観察している。眼力が強く、柚月は心の中で悲鳴を上げた。まさか中身が22歳とは思われてないはずだが、怪しいものを見る目つきに戦々恐々とする。

「この子は年の割に大人びているのです。私達が不甲斐ないせいで苦労をかけてしまったので」

祖父が同情を誘う言い回しでフォローしてくれる。大人びている、で誤魔化せるのか疑問だ。

「成程、確かにあの東雲家で育ったのなら精神的に大人にならざるを得ないのでしょうね…柚月さん、息子と婚約すれば自分を蔑ろにしていたご両親を見返せますよ?どうですか?」

孝也は子供に対してとは思えない挑発的な言い方をする。祖父も孝臣も困惑していた。

(私を試してるのかしら。神宮寺様を利用したい思ってると判断されたらこの話は無かったことにされる?)

ただの小娘が鬼の一族の長たる孝也の思惑を読むことも腹芸も出来ない。出来ることと言えば。

「いいえ、正直に申し上げて両親のことも、妹のこともどうでも良いのです。見返したいとも思っておりません。私は自分を顧みない人に構うほど暇ではないのですし、私らしく自由に生きたいのです。神宮寺様を利用しようなどと、恐れ多いこと考えたこともありません」

「ふーん、はっきり言いますね。ですがこれくらいの方が良いでしょうね」

孝臣は意味深な笑みを浮かべると突然立ち上がった。

「私たちばかり話していても仕方ありません。孝臣と柚月さんは互いのことをよく知りませんから、少しでも仲を深めてもらいましょうか。いずれ家族になるのですから」

「…それもそうですね」

祖父も孝也に続き腰を上げると「若人2人でごゆっくり」と部屋を出て行った。いきなり2人きりにされてしまった。