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 話を聞いていると自然と涙が流れていた。自分の中でバラバラだったパーツが一つ一つ繋がっていく。

「あやかしの転生は早いが、人間の転生には時間がかかる。やっと、また二人同じ時代に生まれてこられたんだ」
「いつ、私だって気づいたの?」
「すぐ気づいたよ。始めて会ったあのときに」

 今までの朔都を思い出すと、確かに初めから距離が近かった。ずっと私だと分かって見守ってくれていた。

「代償……代償は大丈夫なの!?」

 彼は私のために大きな力を使ったと言っていた。それは代償を伴い、実際に一度苦しむ姿を目にしている。私のせいで彼が苦しんでいたのだ。

「大丈夫なんだ。瑠莉と再会してからは一度も苦しいこともない」

 彼の言葉に安堵する。私の記憶が完全に戻った今、代償のことは気にしなくていいのだろうか。彼は私のためと言い、あまりにも大きいことをいくつもしている。

「ありがとう。でもこれからは私のためと言って無理をしないで」
「うーん……」

 彼は煮え切らない返事をする。

「俺は瑠莉が一番大切なだから、君のためならなんだってできるよ」
「私も朔都さんが大切だから、苦しむところなんて見たくないの」

 二人ともお互いが大切で、相手のために自分も大切にしなくてはならない。

「朔都さん、好きだよ」

 強く彼を抱きしめると、彼もその手に力を込める。

「俺は愛してる」

 優しく微笑み、甘い口づけを交わす。

 私たちは数百年の時を越えて、やっと二人の幸せを手にできるかもしれない。
 二人がいつまでも笑っていられる未来のため、私たちはまた出会えたのだと彼の腕の中で信じている。