朝からうるさい蝉の声、学校までは自転車で約50分...

ここはド田舎の中のド田舎、"西榮町(にしさかえまち)"

あるのは駄菓子屋ひとつ、コンビニまでは約1時間...
自分でもどうやって生きてるのかわかんないほどつまらない。

「行ってきまーす」

それでも学校は好き、ほとんど全員友達だし、先生はチョロいし、なんなら家の方が嫌い。

「おはよ、サナ」

「あッ、おはよー、レイ!」

自転車で学校まで向かっていると、親友のレイと遭遇した。

「今日は田んぼに落ちないようにね」

「そーやッて馬鹿にしてーッ!」

レイは可愛い、すごく可愛い、だから彼氏もいる。
たまにウザイけど好き、だって彼氏よりも私に優しくしてくれるから。

基本無口だけど、私の前ではよく喋ってくれる気がする。無愛想だし、チビだけど、何故かよくモテる。肌が白くて、可愛いからかな?

「サナ、ぼーっとしてないで前見て、また田んぼに落ちるよ」

「わッ、あっぶなー...ありがと、レイ...」

そうこうしているうちに、私たちの学校に着いた。

「おはよー」

「おはよー、エマ」

「琴もおはよ」

「ん」

私の友達のエマと琴、この2人は大親友で正直入る隙がない。どっちもなんか凄い霊媒師の家系らしい?