「私が入ってきたことに気付かなかったです。声を何度もかけたのですが反応しなかったのです。」
(え?)
「神様だからって食べないで寝ないでいたら体を壊すのに・・・」
伊津夏の顔を見ると、眉間にしわが寄って下唇を噛んでいた。
「そっか」
なんでそんなに彼女は、雨を降らすことに熱心なのだろう。
ずっと『嫌われ神様』とバカにされ、雨が降っても「ありがとう」と思ってもらえなくて。
「なんで、水李様は雨を降らすことを大事になされるのでしょうね?」
「そういえば、どうやって雨降らしてるんだ?」
ずっと、思っていた疑問。
だけど、本人には聞きずらくて聞けずにいた疑問だ。
「知らなかったんですか?水神は、天気を操れるんです。それと同時に水も軽く操れます」
「じゃあ、雨よ降れみたいな感じで力を使うのか?」
「まあ、そんな感じっちゃそんな感じです。強く強く願うんです。すると、雨が降ります」