お母様から急ぎの手紙が届いた。
「シャーリーねえ様が侍女? なにがどうなってるの?」
手紙には詳しくは書いてない。ミディおばあ様が亡くなったことはつい先日聞かされ、お母様がラビアーズ城に向かったことも聞いた。
なのに、いつの間にかシャーリーねえ様が侍女として館で働くこととなった。
「もぉう、お母様ったらもっと詳しく書いてよ! 肝心な説明が抜けてるじゃない!」
どれだけ急いでたのよ? 社交界では冷笑の君と恐れられ、いつでも冷静なお母様なのに。
「ロコ。外出届の用紙をもらってきてちょうだい。すぐに帰るわよ」
「お嬢様。タリエラ様とのお茶会や大切な授業がありますよ。よほどの理由がなければお止めください」
あ、そうだった。授業はともかくタリエラ様との茶会は放り出せないわ。
「では、手紙を書くわ」
お母様がダメならお父様に尋ねるしかない。あと、留学しているお兄様にも連絡しないといけないわね。おそらく、お母様もお父様もお兄様に手紙なんて出してないわ。あの二人はシャーリーねえ様のことで精一杯でしょうからね。
シャーリーねえ様は特別だ。いや、特異と言ったほうがいいわね。あらゆる権力の外にいて、あらゆる力を持っている。そんなシャーリーねえ様がきてなにも起こらないってことはない。必ずなにか起きるわ。
「ザンバドリ侯爵家の名前を使っていいから、至急お兄様に手紙を届くようにお願いして」
あまりザンバドリの名を使うことは禁止されているけど、いざと言うときは惜しみなく使えと教えられている。ザンバドリ侯爵令嬢の本気を見せなければお母様に笑われてしまうわ。
何日かしてお父様から返事がきた。
「……さすがお母様。シャーリーねえ様を上手く丸めたわね……」
シャーリーねえ様を一人(精霊と一緒に暮らしてはいるけどね)にしたらなにが起こるかわからない。なら、近くに置いて見張るほうが対処しやすいわ。まあ、それはそれで大変でしょうけど……。
「サンビレス王国の大使に準災害級の嵐鳥。本当に問題に事欠かないシャーリーねえ様だわ……」
わたしも侯爵令嬢としていろいろあったけど、シャーリーねえ様が歩けば問題にぶつかる。いや、やってくるが正しいかしらね? シャーリーねえ様もシャーリーねえ様で問題を問題と思わないだけの力を持っている。そんな人だから穏便にとはしない。周りを巻き込んで大きな出来事となるのだ。
「お嬢様。外出許可をいただきました」
お母様から手紙が届いて一月近く。やっと外出が許可され、館へと帰った。
「シャーリーねえ様!」
館に帰るとシャーリーねえ様がいた。
くるならくると手紙くらい寄越して欲しかった。報告相談連絡は大事と教えたのはお母様じゃないのよ!
怒りは湧いたけど、シャーリーねえ様の変わりように驚いてしまう。
昔はお猿のように野性味があり、身形に無頓着だったのに、今は貴族のご令嬢も素足で逃げ出すくらい美しくなっていた。
いや、数年前から少しずつ綺麗にはなっていたけど、今のシャーリーねえ様は綺麗すぎて現実味がなくなっているわね。
でも、中身はシャーリーねえ様のままにホッとする。
昔のシャーリーねえ様はどこにいったの? と思うくらい、女性らしくなっており、料理も館の料理人にも負けていない。ケーキなどは奇跡のような美味しさだったわ。
ただ、安心すると同時にシャーリーねえ様がさらに強力になっていることに不安になってしまう。
スマホが欲しいと言ったらその解決法をあっさりおしえてくれ、魔石の買占めまで示唆してくる。これはきっと大騒ぎになるわね。
でも、その前に魔石は買占めておかないと。お小遣い、いくらあったかしら?
夕食が終わり、シャーリーねえ様とお風呂に、と思ったらお母様まで入ることとなり、なんだか大事になってしまった。
……シャーリーねえ様の体、どれだけ綺麗なの……。
同性ながらシャーリーねえ様の体に見とれてしまった。
輝くほどの白い肌。産毛すらなく、無駄な肉はどこにもない。細い体に合った胸。腰も細く、お尻も引き締まっており、頭の先から爪先まで完璧であった。
……完璧すぎて逆に男性はよってこないわね……。
シャーリーねえ様は気にしないでしょうが、姉のように慕っているわたしとしては心配になってくる。この完璧を受け入れられる男性はいるのだろうかと、ね……。
自分でも驚くくらい、髪も体も綺麗になり、お風呂を上がった。
さすがにお風呂に時間をかけすぎて、とっくに就寝の時間を過ぎていた。
「シャーリーねえ様、一緒に寝ましょう!」
子どものような願いをシャーリーねえ様は笑って受け入れてくれ、久しぶりに一緒の寝台に横になった。
……すっごくいい匂いだわ……。
人からこんな香りが出るとか、不思議でしかたがないけど、この匂いがとても落ち着く。
「ミアったら甘えん坊さんね」
シャーリーねえ様の胸に顔を埋めると、腕を背中に回して優しく抱き締めてくれた。
「今日は甘えん坊です」
こんなことできるのはわたしだけでしょうね。なら、いっぱいシャーリーねえ様に甘えさせていただきます!
「シャーリーねえ様が侍女? なにがどうなってるの?」
手紙には詳しくは書いてない。ミディおばあ様が亡くなったことはつい先日聞かされ、お母様がラビアーズ城に向かったことも聞いた。
なのに、いつの間にかシャーリーねえ様が侍女として館で働くこととなった。
「もぉう、お母様ったらもっと詳しく書いてよ! 肝心な説明が抜けてるじゃない!」
どれだけ急いでたのよ? 社交界では冷笑の君と恐れられ、いつでも冷静なお母様なのに。
「ロコ。外出届の用紙をもらってきてちょうだい。すぐに帰るわよ」
「お嬢様。タリエラ様とのお茶会や大切な授業がありますよ。よほどの理由がなければお止めください」
あ、そうだった。授業はともかくタリエラ様との茶会は放り出せないわ。
「では、手紙を書くわ」
お母様がダメならお父様に尋ねるしかない。あと、留学しているお兄様にも連絡しないといけないわね。おそらく、お母様もお父様もお兄様に手紙なんて出してないわ。あの二人はシャーリーねえ様のことで精一杯でしょうからね。
シャーリーねえ様は特別だ。いや、特異と言ったほうがいいわね。あらゆる権力の外にいて、あらゆる力を持っている。そんなシャーリーねえ様がきてなにも起こらないってことはない。必ずなにか起きるわ。
「ザンバドリ侯爵家の名前を使っていいから、至急お兄様に手紙を届くようにお願いして」
あまりザンバドリの名を使うことは禁止されているけど、いざと言うときは惜しみなく使えと教えられている。ザンバドリ侯爵令嬢の本気を見せなければお母様に笑われてしまうわ。
何日かしてお父様から返事がきた。
「……さすがお母様。シャーリーねえ様を上手く丸めたわね……」
シャーリーねえ様を一人(精霊と一緒に暮らしてはいるけどね)にしたらなにが起こるかわからない。なら、近くに置いて見張るほうが対処しやすいわ。まあ、それはそれで大変でしょうけど……。
「サンビレス王国の大使に準災害級の嵐鳥。本当に問題に事欠かないシャーリーねえ様だわ……」
わたしも侯爵令嬢としていろいろあったけど、シャーリーねえ様が歩けば問題にぶつかる。いや、やってくるが正しいかしらね? シャーリーねえ様もシャーリーねえ様で問題を問題と思わないだけの力を持っている。そんな人だから穏便にとはしない。周りを巻き込んで大きな出来事となるのだ。
「お嬢様。外出許可をいただきました」
お母様から手紙が届いて一月近く。やっと外出が許可され、館へと帰った。
「シャーリーねえ様!」
館に帰るとシャーリーねえ様がいた。
くるならくると手紙くらい寄越して欲しかった。報告相談連絡は大事と教えたのはお母様じゃないのよ!
怒りは湧いたけど、シャーリーねえ様の変わりように驚いてしまう。
昔はお猿のように野性味があり、身形に無頓着だったのに、今は貴族のご令嬢も素足で逃げ出すくらい美しくなっていた。
いや、数年前から少しずつ綺麗にはなっていたけど、今のシャーリーねえ様は綺麗すぎて現実味がなくなっているわね。
でも、中身はシャーリーねえ様のままにホッとする。
昔のシャーリーねえ様はどこにいったの? と思うくらい、女性らしくなっており、料理も館の料理人にも負けていない。ケーキなどは奇跡のような美味しさだったわ。
ただ、安心すると同時にシャーリーねえ様がさらに強力になっていることに不安になってしまう。
スマホが欲しいと言ったらその解決法をあっさりおしえてくれ、魔石の買占めまで示唆してくる。これはきっと大騒ぎになるわね。
でも、その前に魔石は買占めておかないと。お小遣い、いくらあったかしら?
夕食が終わり、シャーリーねえ様とお風呂に、と思ったらお母様まで入ることとなり、なんだか大事になってしまった。
……シャーリーねえ様の体、どれだけ綺麗なの……。
同性ながらシャーリーねえ様の体に見とれてしまった。
輝くほどの白い肌。産毛すらなく、無駄な肉はどこにもない。細い体に合った胸。腰も細く、お尻も引き締まっており、頭の先から爪先まで完璧であった。
……完璧すぎて逆に男性はよってこないわね……。
シャーリーねえ様は気にしないでしょうが、姉のように慕っているわたしとしては心配になってくる。この完璧を受け入れられる男性はいるのだろうかと、ね……。
自分でも驚くくらい、髪も体も綺麗になり、お風呂を上がった。
さすがにお風呂に時間をかけすぎて、とっくに就寝の時間を過ぎていた。
「シャーリーねえ様、一緒に寝ましょう!」
子どものような願いをシャーリーねえ様は笑って受け入れてくれ、久しぶりに一緒の寝台に横になった。
……すっごくいい匂いだわ……。
人からこんな香りが出るとか、不思議でしかたがないけど、この匂いがとても落ち着く。
「ミアったら甘えん坊さんね」
シャーリーねえ様の胸に顔を埋めると、腕を背中に回して優しく抱き締めてくれた。
「今日は甘えん坊です」
こんなことできるのはわたしだけでしょうね。なら、いっぱいシャーリーねえ様に甘えさせていただきます!


