な、なんとか戦いに勝てたわ。ふぅ~。
「さすがシャーリー様。センスがよろしいことです」
センスとは確か、感性がいいと言う意味だったはず。
「ふふ。センスがいいのはリュージさんのほうですよ。すっごく悩みました」
旅をするから色は茶色が基本ですが、意匠はとても素敵。庭仕事に使いたいくらいだわ。
「それはなによりの誉め言葉です」
見た目、三十歳くらいのリュージさん。地球では一般人(魔法使いなのは秘密らしい)なのに、ここら辺の貴族より所作が綺麗だ。それだけでわたしたちの世界より文明文化が発展してるのがよくわかるわ。
「では、それでお決めになさいますか?」
「はい。これと同じものを三着お願いします」
毎日着るのは抵抗があるし、替えはあったほうが安心だからね。
「ありがとうごさいます。鞄もそれでよろしいですか?」
旅をしてるのに手ぶらは怪しまれますからね。それっぽいものは持たないと。
「はい。お願いします」
「そちらの旅でしたら武器もご必要ですか?」
武器? あ、ああ。そうだったわね。
わたしは主におばあ様の転移で移動してるから忘れがちだけど、この世界には魔物がいる。人が多い場所や主要街道は騎士団が駆除するらしいけど、そうじゃないところはとても危険らしいわ。
まあ、霧の森にも凶悪な魔物は生息しているけど、霧の森ではガードゥが食物連鎖の頂点にいる。下手に近づいたらガードゥに食べられてしまう。一緒に暮らすわたしの臭いも覚えられて、よほどの命知らずな魔物以外は近づいても来ないわ。
「武器か~。わたし、剣とか槍とか不得意なんですよね~」
嗜みていどには使えるけど、本格的にやっている人には足元にも及ばないでしょう。
「でしたら、これなど如何でしょうか?」
と、なにか銀色の……なに? なにか無駄に意匠に凝ってるけど。
「こちらの世界では銃と言う武器です」
銃? って、火薬で鉄の玉を飛ばす武器……だったようななかったような……なにか本で読んだ記憶があるわ。
「銃は銃でもこれは別の世界で作られた魔銃で、魔力を熱に変換して撃ち出すものです」
魔銃? 別の世界? 異次元屋はわからないことばかりだわ。
「別の世界のものまで扱ってるんですか?」
「ええ。需要がありますので」
異次元屋にわたしたちの常識は通じない。あるがままを受け入れるのがよい付き合い方だわ。
「高価なものなんですか?」
「使い手がいなくて百年くらい埃をかぶってましたのでお安くさせていただきます」
リュージさんが勧めるのだから悪いものではないでしょうし、わたしに合うと判断して出して来たのでしょう。
「おいくらで?」
「四十万ポイントでどうでしょうか?」
すっごく高価なんですけど!?
「わかりました。いただきます」
一度、異次元屋で売っている剣を見せてもらったけど、どれも百万ポイントもした。高いのなんて二千万ポイントもしてたわ。これと言った付与魔法もないのにだ。
それの剣と比べたら四十万ポイントはお買い得すぎる。お買い得すぎてなにか問題があるのじゃないかと疑ってしまうわ。いや、買ってしまってから言うのもなんだけどさ。
「ありがとうございます。専用のホルスターはサービスさせていただきますね」
ホルスターとはなにかわからないけど、サービスはオマケみたいなものだったはず。なら、遠慮なくいただいておきましょう。
一旦、試着した服を脱ぎ──と言うか、服も霊体? なので一瞬で元の服に変えた。
「あ、ランチセット、ありますか?」
異次元屋は料理店もやっていて、リュージさんの奥様が作るランチセットがとっても人気で、とっても美味しいのよ。
「ふふ。ありますよ。何日分ご用意しますか?」
「三日分、お願いします。それと、チョコレート菓子は五日分お願いします!」
チョコレートはわたしの活力の元。ないなど許されないのです。
「はい。しっかりとご用意致します」
なんて仰々しくお辞儀するリュージさんに、わたしは恭しく頷き返した。ふふ。
「では、以上でよろしいでしょうか?」
「はい。お願いします」
足りないときはまた利用させていただきますわ。
「量が量なので、召喚にはかなりの魔力が必要となりますが、大丈夫でしょうか?」
「はい。問題ありません」
世界と世界を繋ぐには通常魔法師千人分の魔力を必要とするけど、おばあ様が道を作ってくれたので、馬車くらいまでなら余裕だわ。
「頼もしい限りです。また魔石を手に入れられたらお願いします」
長く生きた魔物から魔石が採れるけど、長く生きただけに強力に育ち、知恵も身につけている。見つけるだけでも一苦労だわ。すぐ逃げちゃうからね。
「はい。わかりました」
暇なとき王都巡りしますか。大きいのは大都市に流れて来ると聞いたことがあるしね。
「では、用意が調いましたら通知します」
「はい。出店──」
で、異次元屋を出た。
一瞬の喪失感ののち、宿屋の部屋に意識が戻った。
「ふぅ~。さすがに長居したわね」
異次元屋に霊体を飛ばすのも魔力は必要なのだ。
しばらくベッドに横になっていると、ピロンとスマホが鳴った。
ベッドから起き上がり、床に召喚魔法陣を描く。
「次元連結」
魔法陣が薄く輝き、異次元屋の転移魔法陣と繋がったことを示す。
「召喚」
で、商品が魔法陣に現れた。
「結構凄い量になってるわね」
鞄に収納魔法をかけ、気合いを入れて買ったものを詰め込みを開始した。
「さすがシャーリー様。センスがよろしいことです」
センスとは確か、感性がいいと言う意味だったはず。
「ふふ。センスがいいのはリュージさんのほうですよ。すっごく悩みました」
旅をするから色は茶色が基本ですが、意匠はとても素敵。庭仕事に使いたいくらいだわ。
「それはなによりの誉め言葉です」
見た目、三十歳くらいのリュージさん。地球では一般人(魔法使いなのは秘密らしい)なのに、ここら辺の貴族より所作が綺麗だ。それだけでわたしたちの世界より文明文化が発展してるのがよくわかるわ。
「では、それでお決めになさいますか?」
「はい。これと同じものを三着お願いします」
毎日着るのは抵抗があるし、替えはあったほうが安心だからね。
「ありがとうごさいます。鞄もそれでよろしいですか?」
旅をしてるのに手ぶらは怪しまれますからね。それっぽいものは持たないと。
「はい。お願いします」
「そちらの旅でしたら武器もご必要ですか?」
武器? あ、ああ。そうだったわね。
わたしは主におばあ様の転移で移動してるから忘れがちだけど、この世界には魔物がいる。人が多い場所や主要街道は騎士団が駆除するらしいけど、そうじゃないところはとても危険らしいわ。
まあ、霧の森にも凶悪な魔物は生息しているけど、霧の森ではガードゥが食物連鎖の頂点にいる。下手に近づいたらガードゥに食べられてしまう。一緒に暮らすわたしの臭いも覚えられて、よほどの命知らずな魔物以外は近づいても来ないわ。
「武器か~。わたし、剣とか槍とか不得意なんですよね~」
嗜みていどには使えるけど、本格的にやっている人には足元にも及ばないでしょう。
「でしたら、これなど如何でしょうか?」
と、なにか銀色の……なに? なにか無駄に意匠に凝ってるけど。
「こちらの世界では銃と言う武器です」
銃? って、火薬で鉄の玉を飛ばす武器……だったようななかったような……なにか本で読んだ記憶があるわ。
「銃は銃でもこれは別の世界で作られた魔銃で、魔力を熱に変換して撃ち出すものです」
魔銃? 別の世界? 異次元屋はわからないことばかりだわ。
「別の世界のものまで扱ってるんですか?」
「ええ。需要がありますので」
異次元屋にわたしたちの常識は通じない。あるがままを受け入れるのがよい付き合い方だわ。
「高価なものなんですか?」
「使い手がいなくて百年くらい埃をかぶってましたのでお安くさせていただきます」
リュージさんが勧めるのだから悪いものではないでしょうし、わたしに合うと判断して出して来たのでしょう。
「おいくらで?」
「四十万ポイントでどうでしょうか?」
すっごく高価なんですけど!?
「わかりました。いただきます」
一度、異次元屋で売っている剣を見せてもらったけど、どれも百万ポイントもした。高いのなんて二千万ポイントもしてたわ。これと言った付与魔法もないのにだ。
それの剣と比べたら四十万ポイントはお買い得すぎる。お買い得すぎてなにか問題があるのじゃないかと疑ってしまうわ。いや、買ってしまってから言うのもなんだけどさ。
「ありがとうございます。専用のホルスターはサービスさせていただきますね」
ホルスターとはなにかわからないけど、サービスはオマケみたいなものだったはず。なら、遠慮なくいただいておきましょう。
一旦、試着した服を脱ぎ──と言うか、服も霊体? なので一瞬で元の服に変えた。
「あ、ランチセット、ありますか?」
異次元屋は料理店もやっていて、リュージさんの奥様が作るランチセットがとっても人気で、とっても美味しいのよ。
「ふふ。ありますよ。何日分ご用意しますか?」
「三日分、お願いします。それと、チョコレート菓子は五日分お願いします!」
チョコレートはわたしの活力の元。ないなど許されないのです。
「はい。しっかりとご用意致します」
なんて仰々しくお辞儀するリュージさんに、わたしは恭しく頷き返した。ふふ。
「では、以上でよろしいでしょうか?」
「はい。お願いします」
足りないときはまた利用させていただきますわ。
「量が量なので、召喚にはかなりの魔力が必要となりますが、大丈夫でしょうか?」
「はい。問題ありません」
世界と世界を繋ぐには通常魔法師千人分の魔力を必要とするけど、おばあ様が道を作ってくれたので、馬車くらいまでなら余裕だわ。
「頼もしい限りです。また魔石を手に入れられたらお願いします」
長く生きた魔物から魔石が採れるけど、長く生きただけに強力に育ち、知恵も身につけている。見つけるだけでも一苦労だわ。すぐ逃げちゃうからね。
「はい。わかりました」
暇なとき王都巡りしますか。大きいのは大都市に流れて来ると聞いたことがあるしね。
「では、用意が調いましたら通知します」
「はい。出店──」
で、異次元屋を出た。
一瞬の喪失感ののち、宿屋の部屋に意識が戻った。
「ふぅ~。さすがに長居したわね」
異次元屋に霊体を飛ばすのも魔力は必要なのだ。
しばらくベッドに横になっていると、ピロンとスマホが鳴った。
ベッドから起き上がり、床に召喚魔法陣を描く。
「次元連結」
魔法陣が薄く輝き、異次元屋の転移魔法陣と繋がったことを示す。
「召喚」
で、商品が魔法陣に現れた。
「結構凄い量になってるわね」
鞄に収納魔法をかけ、気合いを入れて買ったものを詰め込みを開始した。