『さぁ、ノエル。今日の主役が遅れたらダメよ。みんなもう待ってくれているのだから』

『ママ、ちゃんとごあいさつ、できるかなぁ?』

『大丈夫よ、いっぱい練習したでしょう。大きな声で元気よくを忘れないでね』

『うん!!』

『それじゃあ出るわよ。みんな待たせたわね!』

『『わあぁぁぁ!!』』

『やっと来た!!』

『ほらイーライ、前に出るんじゃない』

 僕がパパやお兄ちゃん、お友達のルディーとフリン、それからみんなの隣に移動したママ達の前に立つと、洞窟の中がし~んとなったよ。これから僕、みんなにご挨拶するんだ! 

『えと、きょは、ぼくのおたんじょびにきてくれて、おいわいしてくれて、ありがとございます!! ぼく3さいになりました!! うれしいです!! ほんとうにありがとごじゃましゅ!! ……ありがと、ご、ざ、い、ま、しゅ!! あれ?』

 あ~、失敗!! ますがましゅになっちゃった!!

『ハハハッ、普通に話す分には大丈夫だが、興奮したり慌てたりするとダメだな。まぁ、それももう少しすれば普通に話せるだろう』

『ノエル、大丈夫って言ったでしょう。落ち着いて最後まで元気によ』

 あ、ダメダメ、ガックリはダメ。今はみんなにご挨拶の時間だもんね。最後までしっかりと!!

『きょうは、みんなたのしんでくだしゃい!!』

『ノエル、お誕生日おめでとう!!』

『おめでとう!!』

『ノエル、おめでとうだぞ!!』

『ノエル、おめでとう!』

 お兄ちゃんとルディーとフリンが、僕の周りに集まります。あのね、今日は僕のお誕生日おめでとうの日なんだ。
 えと、パパやママお兄ちゃんと家族になるために、お友達にも出会うために、この世界に生まれてきた日。それが生まれてきてくれてありがとうの日で、とってもお大切な避難だ。

 他にもター君とかミーちゃんとか、お誕生日の子がいるよ。でも同じ誕生日の魔獣さん達もいるけど、違う魔獣さん達もいっぱい。パパは少し前にお誕生日で、ママとお兄ちゃんはまだまだ後。みんな誕生日は違うの。

 それで僕の誕生日は3回目で、僕は今日3歳になりました!! イーライお兄ちゃんは9歳。お父さんとお母さんはよく分かんないの。途中で数えるの止めちゃったんだって。
 でも何歳かは分からなくてもお誕生日おめでとうの日は、ちゃんと家族やお友達が集まるんだよ。だって大切な日だもんね。

『ノエルのために、お兄ちゃん大きなツノネズミを捕まえてきたぞ!!』

『わあぁぁぁ!! とってもおおき!!』

『今日はノエル1匹で食べて良いだからな!!』

『おにいちゃ!! ありがと!!』

『少し待て、今ツノを外してやろう』

『ノエルが大きなツノを噛めるようになるのは、あともう少しかかるかしらね』

『でもでもぼく、ちいさなツノとれた!!』

『ふふ、そうね』

『バキバキッ!! よし、これで良いだろう。さぁ、ノエル』

『ガブッ!! もぎゅもぎゅ……、ゴクンッ! おにいちゃ、おいしい!!』

『だろう! 何日も探した大物だからな!!』

『ご飯を食べたら、僕達からプレゼントある』

『うん、プレゼント。楽しみにしててね』

『お父さん達からも、プレゼントがあるからな』

『ぷれじゅえんと!! ……ぷれぜんと!! はやくたべないと!! でもおいしいおにく、すぐなくなるのダメ……』

『ふふ、プレゼントはなくなったりしないから、イーライにもらったツノネズミのプレゼントを、ゆっくり味わいなさい』

『うん!! もぎゅもぎゅ』

 イーライお兄ちゃんが、僕のために捕まえてきてくれた、とっても大きなツノネズミを、一生懸命噛み噛みします。

 誕生日嬉しいなぁ。だっていつも忙しいパパもママも、特訓で忙しいお兄ちゃんも、い~っぱい一緒にいられるんだもん。ルディーとフリンもずっと一緒に遊べるし。

 みんなで今日の、お誕生日おめでとうのために日のために準備したご飯を食べます。全部とっても美味しかったです。
 
『もぎゅもぎゅ、もぎゅもぎゅ……、ゴクンッ!! おにいちゃ! とってもおいちかった!!』

『そっかそっか!! よし、もっと特訓して、また美味しいお肉を狩ってきてやるからな!!』

『ぼくも、いっしょ!!』

『おう!!』

『『ごちそうさま!!』』

 いっぱいあったご飯は、あっという間に全部綺麗になくなっちゃいました。

『さぁ、じゃあ父さん達からのプレゼントだが、隣に……』

『ぷれぜんと!!』

 僕は隣の部屋に走って行こうとしました。でも、近くに置いてあった、さっきおパパが取ってくれた、ツノネズミのツノに躓いちゃったの。それで転んで、そのままコロンコロンって、少しだけ転がっちゃったよ。

『ありゃあぁぁぁ~!?』

『あら嫌だわ、体が血だらけじゃない。ノエル、こっちに来て』

 転がったらツノネズミの血が身体中に付いちゃったよ。ベタベタ~。ツノネズミの血はとってもベタベタしているんだ。だから体につくと動きにくくなっちゃうの。

 ベタベタ、ヨタヨタしながらお母さんの所に歩いて行くと、すぐにお母さんが水魔法で体を綺麗にしてくれました。それから風魔法で乾かしてくれたよ。

 あのね魔法っていう特別な力があるんだ! どんなものかっていうと、悪い奴を魔法で攻撃して倒したり、みんなを怖がらせたり、今みたいに自分達のために使ったり。色々なことができて。
 お父さんもお母さんは、とっても強い色々な魔法が使えるんだよ!! お兄ちゃんは今特訓中。僕は……、これから特訓するよ!!

『綺麗にしたからふかふか、もふもふになったわね』

『ノエルの毛は他の者達よりも長くふわっとしていて、本当に感触が良いからな』

『オレ、ノエルの毛、大好きだぞ!!』

 あのね、僕の毛はみんなとちょっと違うの。同じ歳の子よりも長いしふわふわしていて。お父さん達も他のみんなも、僕の毛をもふもふって言うんだ。
 人間達がそう言っていて、なんかその言葉があってる感じがしたんだって。だからもふもふって言うようになったって。

 洗う前は普通のもふもふ、でも今は洗ったばかりだからもっともふもふ。洗ったばかりだと、普通の時よりももっともふもふになるんだ。
 だから僕はブラックタイガーっていう魔獣でノエルって名前だけど、洗ったばかりの時はまるもふって言われます。毛がもふもふ過ぎて、まんまるに見えるんだって。だからまるもふ。

 他にも僕の好きなもふもふ名前があるんだけど、今はまるもふ。僕にはもふもふの名前がいっぱいなの。

『ノエル、気をつける』

『ちゃんと前見て、慌てて走っちゃダメだよ』

『えへへ、しっぱ~い』

『さぁ、プレゼントを置いてある部屋へ行きましょう』