「みちる、さっきはどうしたの?瞬くんが亡くなってからのみちる、なんか無理してる感じがする。亡くなった次の日からはもう学校来てるし、最近上の空で一人言言ってることも多いし」
授業終わり、心配そうな顔をして、同じ陸上部で副部長をしている友達が声を掛けてくれた。
彼女には部長である私がいないことで、苦労をかけてしまっているはずなのに、こうして心配もさせている。
引退を目前に控えてはいるものの、本来ならある部活も今は私は休部中という扱いになっている。
最初はそこまで気を遣わなくて大丈夫だと思ったのだが、瞬の未練を晴らすための時間が作れているので大感謝だ。
「ううん、ちょっと授業で寝ちゃって、寝言を叫んじゃっただけだよ。ごめんね、心配かけちゃって」
申し訳なさそうに告げると、彼女はこちらを心配そうにじっと見つめてくる。
「本当に大丈夫だよー。ほら、あっちで呼ばれてるよ?」
教室のドアのほうを指さすと、困ったように笑いながらそちらに向かった。
「あーあ、心配かけちゃってやんの」
声が降ってきた方に視線を向けると、瞬が私の左斜め後ろ辺りでニヤニヤと笑っている。
「全く、誰のせいだか。……あ、瞬」
私は小声で囁く。
「ん?」
幸い私の席は窓側なため、風の音もあり、私の声はクラスのみんなには聞こえない、はず。
「未練のことちゃんと考えてよね。時間もないんだし」
「うーん、そうだなあ。未練……。あ、そうだ、あそこ行きたいかも」
「あそこ?」
「うん、八宮神社」
本日の予定の決まりである。