真面目な雰囲気を出しながら風呂に入ってこようとした瞬を追い出し、私は入浴を終えた。

その後、自分の部屋に行き、頭上をゆらゆらと浮かんでいる瞬に尋ねる。

「瞬は、いつまでここにいられるの?」

瞬はすぐに、またどこかに行ってしまうのだろうか。

「あー……。分からない。でも、俺の頭の中で、未練を晴らせっていう言葉がこだましているんだよなぁ」

「瞬に未練が残ってるから幽霊になってるってこと……?じゃあ、未練をずっと晴らさなかったらずっと一緒にいられる……?」

怖々と、瞬を窺いながら聞く。

「違うと思う。それ、今俺も思ったんだけどさ、そしたら3週間、って言葉が聞こえてきた。」

とても怖いことを聞いているはずなのに、あまりにも便利な瞬の脳に思わずはあ、と拍子抜けした声が出る。

「じゃあ、ここにいられるのは3週間で、その間に未練を晴らせなかったら消えちゃう、晴らせても消えちゃうってこと?」

「多分、そういうこと」

ひゅ、と息を呑む。

結局、一緒にはいられないという事実が脳内にチラつき、その思いを振り払うように敢えて明るく次の言葉を発する。

「……だったら、未練を晴らせた方が瞬にとってはいいことなんだよね?」

「まあ、俺が嬉しいな」

瞬がしっかりと頷く。

「それじゃあ、私、未練を晴らすの手伝うよ!」

無理やり作った笑顔に瞬が気づきませんように。

それだけ願って私は笑った。