STEは7人まとめて留置場に入れられた。よく、街で喧嘩をしていて捕まると、入れられるところである。
「何が詐欺罪だ。ろくに説明もないし。」
流星が毒づいた。
「俺たち、また檻の中に戻っちゃったな。なんか笑える。ははは。」
涼がそう言って笑った。
「あの時は生命の危機と、貞操の危機があったもんな。それに比べたら、今は余裕じゃないか?」
大樹も笑いながら言った。
「ああ、本当だ。あん時は怖かったもんなあ。あの時、お前たちが俺を守るって言ってくれたっけ。」
篤はそう言うと、大樹と涼の肩を抱いた。
「篤くん、覚えていてくれたんだ。へへ。」
涼が鼻の下を指で擦ると、
「守るって言ったのは俺だぜ。」
と、大樹が言った。
「分かってるよ、大樹。」
篤は大樹の頭を撫でた。いつもしっかり者の大樹。普段、誰も頭を撫でたりしない。
「あー。」
涼が大樹を指さしてニヤニヤと笑った。
「なんだよ。」
大樹は口を尖らせた。大樹の顔は赤くなっていた。
一方、大樹が「貞操の危機」と言った時、光輝がビクンと体をこわばらせていた。光輝はかなり危険な状態まで行き、顔が腫れるほど叩かれたのだ。
「光輝。」
流星は、そんな光輝の肩をそっと抱き、手でポンポンと肩を叩いた。光輝は、流星の方へ寄りかかった。
「あの時、僕を助けようとして頑張ってくれたよね。」
光輝が小声でそう言うと、
「いや、あれは俺にとって、ものすごく苦い思い出だよ。結局みんなの命の為だからって、光輝を犠牲にする事になって。」
流星は手をぎゅうっと握り締めた。
「ねえ、また脱走でもする?」
瑠偉が急にそんな事を言った。
「あの時は、外に出たら誰もいなかったけど、今度は外に出れば東京の街だぜ。必ず人がいる。」
碧央も続けて言った。しかし流星が、
「いやいや、あの時俺たちは人質だったから、人がいれば助けてくれただろうけど、今回は一応合法的に捕まっているんだ。誰も助けてくれないよ。」
と言った。
「そっか。」
ははは、と碧央は笑った。
「そもそも、ここから出るなんて無理だろ。」
大樹が言うと、
「また、歌でも披露しますよって?」
篤が冗談を言った。
「ははは、案外いけるかもよ?何しろ、僕たちは世界のスターだからさ。ははは。」
光輝がそう言って笑うと、メンバーもみんなで笑った。
だが、本当にそんな事になった。翌朝、留置場担当警察官から提案があったのだ。
「あなたたちもお暇でしょうから、どうですか、あちらでダンスなど披露していただくというのは。」
STEメンバーたちは、鋭く目を見交わした。これは、ひょっとすると逃げるチャンスかもしれない。
「そうですね、僕たちもここにじっとしているよりは、その方がありがたいです。ぜひ、そうさせてください。」
流星が答えると、
「よかった。それでは、どうぞ。」
担当官はそう言って鍵を外し、STEを檻から出した。
「あまり広い部屋はないのですが。」
担当官に案内された先には、多少踊れるスペースがあり、窓もあって明るい部屋だった。そして、数人の担当官が後からその部屋にやってきた。1人がスマホを取り出す。
「あの、本当にここでダンスを?」
流星がおずおずと尋ねる。
「お願いできますか?」
すると、担当官たちが拍手をした。STEのメンバーはびっくり。さっきまで威圧感を感じていたが、急に彼らに親近感を覚える。この人達、フェローかな?と思い始める。
7人は、急にスターの顔になった。最新曲をリクエストされ、ダンスの始まりの位置にそれぞれが付く。
担当官のスマホから流れる曲に合わせ、ダンスパフォーマンスを披露した。担当官は男性ばかりだが、みな目をキラキラさせて見ていた。曲が終わると、歓声が上がった。
「いやー、すごいです!本物を目の前で見させてもらえるなんて、夢みたいですよ。」
感激して、はしゃいでいる。
「ありがとうございます。」
留置場に入れられている事も一時忘れ、STEはにこやかにお礼を述べた。そこへ、どこからともなく歌が聞こえて来た。外から、アカペラで大勢の人が歌っているような声が。
「何が詐欺罪だ。ろくに説明もないし。」
流星が毒づいた。
「俺たち、また檻の中に戻っちゃったな。なんか笑える。ははは。」
涼がそう言って笑った。
「あの時は生命の危機と、貞操の危機があったもんな。それに比べたら、今は余裕じゃないか?」
大樹も笑いながら言った。
「ああ、本当だ。あん時は怖かったもんなあ。あの時、お前たちが俺を守るって言ってくれたっけ。」
篤はそう言うと、大樹と涼の肩を抱いた。
「篤くん、覚えていてくれたんだ。へへ。」
涼が鼻の下を指で擦ると、
「守るって言ったのは俺だぜ。」
と、大樹が言った。
「分かってるよ、大樹。」
篤は大樹の頭を撫でた。いつもしっかり者の大樹。普段、誰も頭を撫でたりしない。
「あー。」
涼が大樹を指さしてニヤニヤと笑った。
「なんだよ。」
大樹は口を尖らせた。大樹の顔は赤くなっていた。
一方、大樹が「貞操の危機」と言った時、光輝がビクンと体をこわばらせていた。光輝はかなり危険な状態まで行き、顔が腫れるほど叩かれたのだ。
「光輝。」
流星は、そんな光輝の肩をそっと抱き、手でポンポンと肩を叩いた。光輝は、流星の方へ寄りかかった。
「あの時、僕を助けようとして頑張ってくれたよね。」
光輝が小声でそう言うと、
「いや、あれは俺にとって、ものすごく苦い思い出だよ。結局みんなの命の為だからって、光輝を犠牲にする事になって。」
流星は手をぎゅうっと握り締めた。
「ねえ、また脱走でもする?」
瑠偉が急にそんな事を言った。
「あの時は、外に出たら誰もいなかったけど、今度は外に出れば東京の街だぜ。必ず人がいる。」
碧央も続けて言った。しかし流星が、
「いやいや、あの時俺たちは人質だったから、人がいれば助けてくれただろうけど、今回は一応合法的に捕まっているんだ。誰も助けてくれないよ。」
と言った。
「そっか。」
ははは、と碧央は笑った。
「そもそも、ここから出るなんて無理だろ。」
大樹が言うと、
「また、歌でも披露しますよって?」
篤が冗談を言った。
「ははは、案外いけるかもよ?何しろ、僕たちは世界のスターだからさ。ははは。」
光輝がそう言って笑うと、メンバーもみんなで笑った。
だが、本当にそんな事になった。翌朝、留置場担当警察官から提案があったのだ。
「あなたたちもお暇でしょうから、どうですか、あちらでダンスなど披露していただくというのは。」
STEメンバーたちは、鋭く目を見交わした。これは、ひょっとすると逃げるチャンスかもしれない。
「そうですね、僕たちもここにじっとしているよりは、その方がありがたいです。ぜひ、そうさせてください。」
流星が答えると、
「よかった。それでは、どうぞ。」
担当官はそう言って鍵を外し、STEを檻から出した。
「あまり広い部屋はないのですが。」
担当官に案内された先には、多少踊れるスペースがあり、窓もあって明るい部屋だった。そして、数人の担当官が後からその部屋にやってきた。1人がスマホを取り出す。
「あの、本当にここでダンスを?」
流星がおずおずと尋ねる。
「お願いできますか?」
すると、担当官たちが拍手をした。STEのメンバーはびっくり。さっきまで威圧感を感じていたが、急に彼らに親近感を覚える。この人達、フェローかな?と思い始める。
7人は、急にスターの顔になった。最新曲をリクエストされ、ダンスの始まりの位置にそれぞれが付く。
担当官のスマホから流れる曲に合わせ、ダンスパフォーマンスを披露した。担当官は男性ばかりだが、みな目をキラキラさせて見ていた。曲が終わると、歓声が上がった。
「いやー、すごいです!本物を目の前で見させてもらえるなんて、夢みたいですよ。」
感激して、はしゃいでいる。
「ありがとうございます。」
留置場に入れられている事も一時忘れ、STEはにこやかにお礼を述べた。そこへ、どこからともなく歌が聞こえて来た。外から、アカペラで大勢の人が歌っているような声が。