誰でも出来る簡単なお仕事
しかも今回は長期のため、特別手当付き

他人と同じ空間にいても苦ではない方等募集します

期間は明日より一週間(休憩時間含む) 定員三名
勤務地 閑静な高級別荘地
仕事内容 観察

報酬 五十万円(手当含む)


「おい、五十万ってなんだよ。いつもの比じゃねーし。でも、観察でこの拘束期間ってことは、その場で交代か待機か」

 閑静なってことは、どうせ山奥なんだろ。
 んで、別荘の見張り。

 何のためになんて聞く奴は採用されないどころか、向こうに握られてる個人情報すら危うくなる。

 やるか、スルーするか。
 このメールが来てる奴らが選ぶ選択肢など、そこしかない。

「どーすっかな」

 金額はおかしなぐらいいい。どう見てもマトモな依頼ではない。
 しかも一週間、他の二人と一緒っていうのは正直嫌だが、それ以上の価値はある。

 やらない方がいいのは分かってる。
 見る前だって、ダメだって思ってた。
 なのに―—

 また腹の音が鳴る。
 何か食べたい。それも腹いっぱいに。
 それには金がかかるんだ。

 腹か、人生か。
 こんなバカな選択は誰もしないだろ。
 
 そう思いつつも、オレは応募しますと返信してしまっていた。
 
 仕方ないじゃないか。
 食っていくためには、金がかかるんだから。

 そう、現実から目を背けた。


 翌日の夜、指定された場所へ行くと二人の男が待っていた。
 一人はややでっぷりとした体形に、秋だというのに半袖で汗をかいている男。
 もう一人は細く色白で、神経質そうな眼鏡の男。

 お互いに顔合わせし、軽く挨拶をすると用意された車に乗り込んだ。