「あんたは2階の部屋を使うといい。あいつも急に連れてきたって、準備のしようもないじゃないか、まったく」
バルバラが2階へと案内してくれる。階段を上がり扉を開けると…予想通りのカオスだった。
「物置として使ってるけど、寝れないことはないだろ」
「いや、どこに寝るんだよこれ」
所狭しと物が置かれ、床にはかろうじて人一人分のスペースがある。
「床に、決まってるだろう?」
おい。何を言ってるんだコイツみたいな目はやめろ。口に出してはいないが、異世界は初心者だぞ?これが常識だと思ってしまったらどう責任をとってくれるんだ。
「…分かった。あとで片付ける」
「お前もあれだね。シンアルと同じで細かいことが気になるやつだね。いいかい、ウチは狭いんだ。客人用の部屋なんてないし、寝泊りできるとこなんて、この部屋以外には無いんだからね。贅沢言うんじゃないよ」
バルバラは荒っぽく言い放ちながらも、ちゃんと理由を教えてくれる。たぶん本当に、この家ではこの部屋くらいしかないんだろう。嫌がらせとかじゃないし、俺が嫌がったら困りそうな雰囲気がある。確かに、身寄りのない子どもを急に押し付けられたら困るだろうし、俺自身も元の世界の常識とかで判断するのは、それこそ贅沢だと思う。
「バルバラ、ありがとう」
「…っ、見るだけ見たらさっさと降りてきな!」
急にキレたかと思うと、返事も待たずに階下へ降りて行った。照れてるんだろうとは思うが、それは指摘しないでおこう。良い人に巡り合えて、良い人に預けられたんだし、まずはここでの生活に馴染めるように過ごしてみようと思う。
今日は初日ということもあり、必要最低限の家の案内をしてもらった。夕飯はまたも黒コゲの魚。一刻も早く食糧事情を改善することを心に誓った。食べながら、教会で拾われたことなど、俺のことについて少し話をした。
ついでに家事妖精について尋ねてみたのだが、家事が得意な妖精ということ以外はあまりよく分かっていないらしい。家人のいない家にいつの間にか入り込み、片付けや掃除、家畜の世話などを手伝ってくれる妖精だそうだ。
基本的には訪れた家に幸せをもたらすのだが、妖精らしい、いたずら好きな一面があったり、先取りして家事を済ませたりして怒らせてしまうと、その家に不幸をもたらすこともあるのだとか。
基本的には姿を見せないが稀に目撃されることもあり、人に似た外見、ややとがった耳と整った顔立ちをしていると伝えられている。エルフに似ているが、黒が交じったような銀色の髪はエルフには無い特徴なので見分けがつくとのこと。
なおこの特徴はあまり知られておらず、普通の人は俺を見てもただの人間としか思わないらしい。シンアルやバルバラは以前、本物の家事妖精を見たことがあるそうだ。
ただ、俺の外見が妖精よりも人間に近かったので、シンアルは完全な家事妖精ではなく、人間とのハーフあるいはチェンジリングなど、何か事情がある子どもと判断した模様。
何故俺が、とか色々疑問も残ったけど、とりあえず受け入れることにした。自分が種族的に何か混じってたからといって、特に困ることもないだろうし。むしろ分かったことがあった分だけ、少し安心した。
あとは明日からの生活について。 "今まで居なかったんだから特にやることはない、適当に家事でもしていろ" とのこと。当面は自分でやることを探して自由に暮らすことになりそうだ。寝具といえるかどうか怪しい、所々に得体のしれないシミのある布を渡されて就寝となった。
バルバラが2階へと案内してくれる。階段を上がり扉を開けると…予想通りのカオスだった。
「物置として使ってるけど、寝れないことはないだろ」
「いや、どこに寝るんだよこれ」
所狭しと物が置かれ、床にはかろうじて人一人分のスペースがある。
「床に、決まってるだろう?」
おい。何を言ってるんだコイツみたいな目はやめろ。口に出してはいないが、異世界は初心者だぞ?これが常識だと思ってしまったらどう責任をとってくれるんだ。
「…分かった。あとで片付ける」
「お前もあれだね。シンアルと同じで細かいことが気になるやつだね。いいかい、ウチは狭いんだ。客人用の部屋なんてないし、寝泊りできるとこなんて、この部屋以外には無いんだからね。贅沢言うんじゃないよ」
バルバラは荒っぽく言い放ちながらも、ちゃんと理由を教えてくれる。たぶん本当に、この家ではこの部屋くらいしかないんだろう。嫌がらせとかじゃないし、俺が嫌がったら困りそうな雰囲気がある。確かに、身寄りのない子どもを急に押し付けられたら困るだろうし、俺自身も元の世界の常識とかで判断するのは、それこそ贅沢だと思う。
「バルバラ、ありがとう」
「…っ、見るだけ見たらさっさと降りてきな!」
急にキレたかと思うと、返事も待たずに階下へ降りて行った。照れてるんだろうとは思うが、それは指摘しないでおこう。良い人に巡り合えて、良い人に預けられたんだし、まずはここでの生活に馴染めるように過ごしてみようと思う。
今日は初日ということもあり、必要最低限の家の案内をしてもらった。夕飯はまたも黒コゲの魚。一刻も早く食糧事情を改善することを心に誓った。食べながら、教会で拾われたことなど、俺のことについて少し話をした。
ついでに家事妖精について尋ねてみたのだが、家事が得意な妖精ということ以外はあまりよく分かっていないらしい。家人のいない家にいつの間にか入り込み、片付けや掃除、家畜の世話などを手伝ってくれる妖精だそうだ。
基本的には訪れた家に幸せをもたらすのだが、妖精らしい、いたずら好きな一面があったり、先取りして家事を済ませたりして怒らせてしまうと、その家に不幸をもたらすこともあるのだとか。
基本的には姿を見せないが稀に目撃されることもあり、人に似た外見、ややとがった耳と整った顔立ちをしていると伝えられている。エルフに似ているが、黒が交じったような銀色の髪はエルフには無い特徴なので見分けがつくとのこと。
なおこの特徴はあまり知られておらず、普通の人は俺を見てもただの人間としか思わないらしい。シンアルやバルバラは以前、本物の家事妖精を見たことがあるそうだ。
ただ、俺の外見が妖精よりも人間に近かったので、シンアルは完全な家事妖精ではなく、人間とのハーフあるいはチェンジリングなど、何か事情がある子どもと判断した模様。
何故俺が、とか色々疑問も残ったけど、とりあえず受け入れることにした。自分が種族的に何か混じってたからといって、特に困ることもないだろうし。むしろ分かったことがあった分だけ、少し安心した。
あとは明日からの生活について。 "今まで居なかったんだから特にやることはない、適当に家事でもしていろ" とのこと。当面は自分でやることを探して自由に暮らすことになりそうだ。寝具といえるかどうか怪しい、所々に得体のしれないシミのある布を渡されて就寝となった。
