翌日、俺が最初に手を付けたのは片付けだ。ここの生活に馴染もうとは思ったものの、流石に限度というものがある。というか異世界とか関係なく、この家の散らかりっぷりが普通じゃないことはシンアルの様子からも間違いないだろう。
昨晩は夕飯の準備で台所に入ろうとしたところ、足の踏み場もない状況だった。こんな台所でどうやって料理するのかと尋ねたところ、飛び石のように存在するわずかなスペースをぴょこぴょこ跳ね回りながら食材を探し、調理器具を見つけ、調理台らしきスペースで…魚を一気に黒焦げにした。
そんなアクションゲームみたいな動きされても、何の参考にもならないからな?とりあえず居間、台所、俺の部屋だけでも早急に何とかしたいところだ。
朝食を終えたバルバラに声をかける。
「バルバラ、居間から片付けようと思うんだけど、触っちゃだめなもんとかあるか?」
「全部だね」
「それじゃ片付けられねぇだろが」
「全部必要なもんなんだよ!」
「全部いっぺんに使うわけじゃないだろ!」
「使いたいときにその辺にあった方が便利だろうが!」
「片付けてそこから出しゃいいだろうが!」
「ふん!頑固なやつだね、好きにするといいさ」
バルバラはそう言って工房に籠った。どっちが頑固だ。まぁ許可も出たことだし、勝手に片付けるとしよう。元々綺麗好きというわけではないのだが、どうにもこの部屋の状態が我慢できない。これも種族特性だろうか?
片付け方にしても、どうすれば効率的に片付けられるか、収納の使い方、並べるときの種類分けなどが次々と頭に浮かぶ。片付け能力に何か妙な補正がついてるんじゃなかろうか。自分でも驚くほどのスピードで居間が片付いていく。昼過ぎになり、工房から出てきたバルバラが全身の毛を逆立てて驚いた。
「なんだい、こりゃあ!?」
「あぁバルバラ、ちょうどいいところに。そこに固めてまとめてある錬金系の器具とか素材、どこにしまえばいいか指示してくれ」
「え?あ、あぁ、こいつらは工房の棚と地下室に分けてくれれば…」
バルバラは戸惑いながらも、一つ一つ指示してくれた。朝と反応が違うのは、ちょっと驚いて判断力が鈍っているのかもしれない。よしよし今のうちだ。
「お、そうか。じゃあ昼過ぎたら少し工房にも入らせてもらうぞ」
「それはまぁ、しょうがないが。工房のものは勝手に触るんじゃないよ」
「分かってる分かってる」
バルバラは ”どんな魔法を使えばこんな…” などとぶつぶつ言いながら台所の方に向かったが、再び "なな、なんだこにゃあ!" と驚いていた。にゃあて。
・・・
工房もひどかった。それはそれはひどかった。さすがに居間よりも怪しげな器具や素材が多かったので、バルバラに指示してもらいながらの作業だったが、片付けよりも ”それはいつか使うから出しっぱなしにしている” 、 ”そこにないと落ち着かないから置いている” などと訳の分からないことを言うバルバラを納得させるのに時間がかかった。
前の世界で ”トキメかない物は捨てていい” って誰かが言ってたけど、怪しげな錬金素材類は何一つトキメかない。とうことは全部捨てていいんじゃなかろうか。
そういう趣旨のことを説明したのだが、何を言ってるんだこの馬鹿とばかりに叩かれる。根気強い説得に強制執行を織り交ぜての片付けは、必死の抵抗を受けた。今日一日だけで何回叩かれたか分からない俺の頭を犠牲にして、工房は夜までに見違えるほど片付いた。
おかげで俺の部屋の片付けは明日以降になったけど。
昨晩は夕飯の準備で台所に入ろうとしたところ、足の踏み場もない状況だった。こんな台所でどうやって料理するのかと尋ねたところ、飛び石のように存在するわずかなスペースをぴょこぴょこ跳ね回りながら食材を探し、調理器具を見つけ、調理台らしきスペースで…魚を一気に黒焦げにした。
そんなアクションゲームみたいな動きされても、何の参考にもならないからな?とりあえず居間、台所、俺の部屋だけでも早急に何とかしたいところだ。
朝食を終えたバルバラに声をかける。
「バルバラ、居間から片付けようと思うんだけど、触っちゃだめなもんとかあるか?」
「全部だね」
「それじゃ片付けられねぇだろが」
「全部必要なもんなんだよ!」
「全部いっぺんに使うわけじゃないだろ!」
「使いたいときにその辺にあった方が便利だろうが!」
「片付けてそこから出しゃいいだろうが!」
「ふん!頑固なやつだね、好きにするといいさ」
バルバラはそう言って工房に籠った。どっちが頑固だ。まぁ許可も出たことだし、勝手に片付けるとしよう。元々綺麗好きというわけではないのだが、どうにもこの部屋の状態が我慢できない。これも種族特性だろうか?
片付け方にしても、どうすれば効率的に片付けられるか、収納の使い方、並べるときの種類分けなどが次々と頭に浮かぶ。片付け能力に何か妙な補正がついてるんじゃなかろうか。自分でも驚くほどのスピードで居間が片付いていく。昼過ぎになり、工房から出てきたバルバラが全身の毛を逆立てて驚いた。
「なんだい、こりゃあ!?」
「あぁバルバラ、ちょうどいいところに。そこに固めてまとめてある錬金系の器具とか素材、どこにしまえばいいか指示してくれ」
「え?あ、あぁ、こいつらは工房の棚と地下室に分けてくれれば…」
バルバラは戸惑いながらも、一つ一つ指示してくれた。朝と反応が違うのは、ちょっと驚いて判断力が鈍っているのかもしれない。よしよし今のうちだ。
「お、そうか。じゃあ昼過ぎたら少し工房にも入らせてもらうぞ」
「それはまぁ、しょうがないが。工房のものは勝手に触るんじゃないよ」
「分かってる分かってる」
バルバラは ”どんな魔法を使えばこんな…” などとぶつぶつ言いながら台所の方に向かったが、再び "なな、なんだこにゃあ!" と驚いていた。にゃあて。
・・・
工房もひどかった。それはそれはひどかった。さすがに居間よりも怪しげな器具や素材が多かったので、バルバラに指示してもらいながらの作業だったが、片付けよりも ”それはいつか使うから出しっぱなしにしている” 、 ”そこにないと落ち着かないから置いている” などと訳の分からないことを言うバルバラを納得させるのに時間がかかった。
前の世界で ”トキメかない物は捨てていい” って誰かが言ってたけど、怪しげな錬金素材類は何一つトキメかない。とうことは全部捨てていいんじゃなかろうか。
そういう趣旨のことを説明したのだが、何を言ってるんだこの馬鹿とばかりに叩かれる。根気強い説得に強制執行を織り交ぜての片付けは、必死の抵抗を受けた。今日一日だけで何回叩かれたか分からない俺の頭を犠牲にして、工房は夜までに見違えるほど片付いた。
おかげで俺の部屋の片付けは明日以降になったけど。
